chapter8 衛兵との会話
オレは――目を覚ました。
「……あれ? 知らない天井だ」
思わずポツリとつぶやく。
見上げた天井は、どこか宿舎のような造りをしていた。
あれ? どうなったんだっけ?
オレは頭の中で、これまでの出来事を整理する。
異世界に召喚されて、追放されて、ゴブリンに襲われ、
ホブゴブリン率いる群れに襲われ――なんとか勝って、
フラフラになりながら歩いて……たしか、城門が見えて――。
「……城門!?」
オレはガバッと飛び起きた。
「よう、兄ちゃん。やっとお目覚めか?」
声のした方を見ると、若い衛兵のような男が椅子に腰かけていた。
「あの……」
何がどうなってるのか聞こうとしたが、
オレが言葉を発するより先に、彼が口を開いた。
「兄ちゃん、城門の前で倒れてたらしいぜ。
見つけて運んだのはオレの先輩なんだがな。
事情を聞こうにも意識がなかったからよ。
兄ちゃんが目を覚ますまで、交代で見張らせてもらってたんだ。
――悪いが、ちょっと事情を聞かせてもらっていいか?」
「ああ、なるほど……」
オレはようやく状況を理解し、頷いた。
「悪いが、この水晶に手をかざしてくれ」
そう言って衛兵は、机の上から水晶玉を取り出した。
「これは?」
オレが首を傾げると、彼は説明してくれた。
「簡単な検査用の魔道具さ。
犯罪者や殺人を犯した者は赤く光り、
そうでない者は青く光る。
それに一部のステータスが表示される仕組みになってるんだ。
表示されるのは、レベルの高い能力4つまでだな」
「なるほど……」
オレは言われたとおり、水晶に手をかざした。
すると、光が走り、水晶の中にステータスが浮かび上がる。
■◆■◆■◆
【名前】ケイタ・コクジョウ
【種族】人間
【年齢】16歳
【性別】男
【レベル】18
【称号】【異世界人】【唯一職】【召喚されし者】【追放者】
【体力】780/780
【魔力】1100/1100
【攻撃力】580
【防御力】410
【俊敏性】620
【職業】無職
【能力】
計算Lv5/分析力Lv4/風魔法Lv3/魔力操作Lv4
【固有スキル】
変遷の器/アイテムボックス
■◆■◆■◆
……なんか、すごい上がってるな。
レベルもステータスも大幅アップ。
しかも風魔法まで覚えて、レベル3になってる。
そして案の定、アイテムボックスも習得していた。
――ゴブリン二十体とホブゴブリンを倒した成果、ってやつか。
そう考えていたそのとき。
「兄ちゃん……まさか召喚者だったのか!?
なら――“ディルティーナ王国”は……。
神々の掟を破って、禁忌の儀式を発動させたってのは本当だったんだな!?
兄ちゃん、ここから動くなよ!!」
衛兵の兄ちゃんは、顔を真っ青にして部屋を飛び出していった。
オレはただ、ぽかんと口を開けて見送ることしかできなかった。
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