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29話 友達からのお見舞い



 入院でまーったく動けない時間がとっても長い。


 瞼を閉じて色々考えている。


 今回の怪物大量発生は各学園から戦力を募った。学園間の連携を取る良い機会になっただろう。


 これまでは場当たり的な抵抗で、今ひとつ後手に回った対応しかできなかった。各学園間で連携が取れれば時代は変わるだろうか。私の伝手で手伝いたい。


 愛衣は今どうしているだろうか。


 子供を引き取ってみたものの、結局私は鉄砲玉なので何時死ぬか分からない。仕事に不満は今更ないが、責任を果たせないのに引き取って良かったのか。


 緊急時に校医に預かってもらう手筈は整えた。でも、愛衣に寂しい思いをさせている。


 今回、敵の危険度を高く見積もった。だが、私が出しゃばって生徒達の成長の機会を奪ってはいないだろうか。


 子供に過保護なのは結構だが、私がいなくなった後それでは困る。結果論かな。


 思考が色んな方向に散っていく。心なしか後ろ向きかも知れない。


 今回私の身体は念入りに痛めつけられたようで、いつもなら再生が追いついていた箇所も怪我が治らない。


 物量と連撃で、念入りな消耗戦に持ち込まれた結果だ。体細胞も再生と破壊を繰り返し、あんまり良くない状態らしい。オブラートな表現するね。


 これまで再生型の怪物に行っていた戦法を、逆に喰らわされた形になった。私が怪物相手に持久戦を行っていたのに、上をいかれた。悔しい限りである。


 相手の戦略にまんまと乗せられた。


 ん?つまり私は、再生型の怪物だと思われている?怪物達から?


 とっても心外である。



 まあ、いいんだそんなことは。


 私の意識回復が情報解禁となってから、色んな人がお見舞いに来てくれた。心肺機能はそこそこ戻ったので、人工呼吸器を外して挨拶。


 と言っても窓越しの通話だが。


 軍からは我當さんが来てくれた。諸々の後始末について教えてくれたり。


「お久しぶりです、禅苑特任一佐。これは私たちからのお見舞いです。お受け取りください」


 いっぱい包みを持ってきた三佐。軍にも結構知り合い多いからなぁ。気を遣わせてしまったかもしれない。


 お返しはどうしようかな。


「こんにちは、我當三佐。あの後どうなったか教えてもらえる?」


 富士五湖から昆虫人間が湧き出し、物量で押されてやばかった人類。

 なんか私が倒したやつが司令塔だったらしく突如撤退。再び富士五湖と樹海を縄張りに退却していったらしい。


 現在、相手は統制のない散発的な戦闘を繰り返している。軍も、ごたついていた割には機能復旧が早い。きちんと対応しているらしい。


 ステルス機能も私が倒した巨大ボスの能力だったらしく、現在は敵をモニタリングできているとのこと。大量の敵が富士山に陣取っている様子を見せてくれた。魔力観測レーダーが真っ赤っか。


 精度の高い調査により、ステルスの解けた富士山麓には更なる大型個体が生息する事も判明。


 ますます危険度が上がっていく。八つ首の大蛇と交戦した話も出てきた。さすが富士山だぁ。


 適度に狩らないといけないため、新たに学園と軍の提携基地を新設することになるそう。予算は仮決定したそうだ。


 それ私が聞いてもいい話?我當さん?曖昧な笑みで誤魔化さないで?


「で、お身体の方はご無事ですか?」


 私の質問に先に答えてくれたが、こっちの体調が心配だったらしい。


 彼は眉間にシワを作り、厳しい目つきがより厳しくなる。


「見かけよりヘーキよヘーキ。ちょっと大げさなのよこの機械。部屋の面積埋めすぎよね、ねぇ?」


 会話中も大きな音を立てて稼働する機械。


 実はまあまあヤバいのだ私の体。


 富士五湖の雑魚戦では、私の生命力を敢えて低くすることで高火力を実現していた。[特殊技能]を逆手に取った策。


 わかる人向けに言えば、火事場ビルド、げきりゅう発動圏内、夜叉戮の飴である。


 ゲームが現実になったようなこの世界、流石にそこまで甘くなかった。


 生命力が低すぎて一部元に戻りきらない臓器があった。クソデカ機械くんは私の魔力操作の補助から臓器の代替まであらゆる事をしてくれている。


 血液の透析や酸素、二酸化炭素調節までこなす第二の心臓だ。私が自家中毒で死なないのもコイツのおかげ。悪く言ってゴメンねクソデカ機械くん。


 その辺を勘付かせるわけにはいかない。


 対外的には軍の人間だから。技術を漏らしたくない。


 個人的には友達だから。心配かけたくない。


 でも誤魔化しきれないみたいで、目つきは鋭くシワは深くなっていく。


「...そうですか。お元気になられる事を我々一同、祈願しております」


「...そう、ありがとう」



 学園からは西先生が来てくれた。まあ直前まで一緒に飲んでたからね。


 今度また飲み直そう。


 マスターと一緒になにやら悪だくみしていたようだが。軍OBとこのタイミングでなんかやってるのはクロでしょう。


 絶対人事とか干渉している。知らんぷりしたい。


 でも君たち割と私に伝えるよね。やめてよ、私は口軽いんだから。


 実は愛衣のお世話とかやってくれていたらしい。そういえばクローン体の戸籍をでっち上げた時、事務作業の担当でしたね。

 その節はお世話になりました。今もお世話になっております。


 そうか、バーで話した時鋭いなコイツとか思っていたけど当たり前だった。私、もしかしたら情報管理下手?人生二周目にしては迂闊だよな色々。


 愛衣の現状を聞く。生徒も助けてくれているらしい。

 この世界、余裕はないけど、人は優しい気がする。助け合いが大事だからだろうか。


 ...元気にやってるかな、私がさみしくなってきた。


 一応健康らしい。でも少し元気がないとか。うーん、私がいなくなって元気いっぱいと言われても悲しいから、複雑な気分。


 しょげていると慰めてくれた。やさしい。


 西先生は生活必需品や私の携帯などの私物を置いて帰って行った。事前に頼んでおいた仕事はきっちりこなすキャリアウーマン。


 仕事も山積みだろうに、わざわざ助かる。


 女の友情よね。もしくは持ってった酒のつまみが気に入ったか。



 学生代表として加州ちゃんがお見舞いに来てくれた。誰が行くか揉めに揉めたらしい。


 そんなにみんな嫌だったのか...


 いや、いいんですよそんなことは。ははは。それよりも加州ちゃんのことだ。


 今回の戦いでは大活躍だったそうで、敵の伏兵狩りに[忠犬八光]が凄まじい戦果を挙げたそうだ。


 今回の敵は技と速さの対人戦特化型。アサシンのように動かれてしまうと、まだ育っていない一年生から狩られていってしまう。


 敵の熟練兵にゲリラ戦を挑まれるだけで学園崩壊の危機だった。


 そこを探知しただけでも大金星。殲滅も完璧だったらしい。そして私の救出もやってくれた。


 ありがてえ、ありがてえ。拝んでも足りねえぜ!


 えへへ、今度いっしょにご飯食べよーね。

 いっぱい奢ってあげちゃう!焼肉行っちゃう?お寿司行っちゃう?


 両方、この世界では超高級である。お腹いっぱいお食べ、若人よ...


 低身長ゆるふわガール加州寿、まじ推しである。


 しかしなにやら浮かぬ顔である。雰囲気もいつもみたくゆるふわな感じじゃない。研ぎ澄まされ、引き締まっている。なぜだ...富士山戦闘から結構経ったよ?


 世間話をすることしばし、突然、欲しいものを聞かれた。なんで...私が奢る約束では...大人のやくめでしょ...


 いきなり欲しいものを言われても...


 そうだなぁー、今の所は健康?


 あかん、空気が凍った。しまった、今私が言うと洒落にならん。全身、管まみれ包帯まみれだから笑えん。


 えっと、じゃあ美味しいシイタケとかで...


 前のバーベキューの時に思ったのよね、キノコ炙って食べたいなって。炭火でじっくり炙った椎茸。分厚いやつ。


 醤油を傘のところにさっとかけて焦がしてさ、きのこエキスが溢れたところにバターもかけちゃったりして。


 美味しい椎茸がいいです。


 まあ、しばらくは点滴と流動食なんだけどな!

 ガハハ!


 あかん、また空気が凍った。



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