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7.他国に侵略されれば皆奴隷です。

「ミランダ王女殿下、正式に抗議させてください。息子が王宮から出ていくよう王女殿下から言われたそうです。ミラリネの小僧に暴力まで振られたと言ってました」


私が貴族会議の場に出席するなり抗議の声を上げた人間がいた。


「今から、貴族会議が始まるというのに騒がしいですよ。それから、発言する時は名前を名乗ってください。しかもミラリネの小僧とはなんですか ?あなたは自分の息子をミラ国の小僧と言われたらどう思いますか? 自分が貴族だと思うなら品位を保ってください。エイダン卿はミラ国の正式な騎士です。丸腰の彼を6人の挨拶もできない無礼な騎士達が、訓練をサボって木刀で痛ぶってました。私はその場で彼らを王宮から追い出したかったのですが、彼らが無礼さに目を瞑れるくらいの実力があれば追い出すのはやめようと思ったのです。1対6でエイダン卿と戦って勝てば、目障りであろうエイダン卿のことを追い出すと条件をつけて戦わせました。秒で彼ら6人は負けていましたよ。騎士としての適性が息子さんにはないようですね」


私の言葉に顔を真っ赤にしたその貴族は、今度はミラ国王陛下にくいついた。


「ミランダ王女殿下はどうしてしまったのでしょう。ミラリネと我々を同列に扱うなど気が触れてしまったのでしょうか? 」


「シアン侯爵、娘に対する侮辱は王家に対する侮辱だ。下がりなさい。向こう1ヶ月貴族会議への出席を禁じる」

一段上がったお誕生日席に座ったミラ国王陛下の言葉に、シアン侯爵は悔しそうに部屋を退出した。


ミラ国王陛下は私が自分の娘ではないことに気が付かないのだろうか。

でも、これまでの彼とのやり取りから彼は愛情を持って娘に接しているのは分かる。


「それでは、貴族会議を始めます」


マゼンダ子爵によると、貴族会議を取り仕切るのは宰相であるルアー公爵だとのことだった。

藍色の髪に夜空のような瞳をした静かな雰囲気を持った方だ。

彼が声を上げた途端、周りの空気が張り詰めたように変わったところを見ると周囲から一目置かれてそうだ。


「皆、昨今ミラ国は侵略の危機に瀕している。そこでミランダ王女からこの国を国として保つ為の提案が3つあるらしい。7歳の子供の意見としてではなく、一国の王女の意見として耳を傾けて欲しい」


ミラ国王陛下の言葉に私は心強くなった。

事前に私は国王陛下に貴族会議で提案したい内容を話しておいた。


国王陛下はどれも貴族達を納得させることは難しい内容だと言った。

しかし、それくらい大きくこの国は変わらないと生きていけないだろうから、提案してみなさいと後押ししてくれたのだ。


「では、先程問題になっていた騎士団についての話からしたいと思います。現在、騎士団はミラ国に3つあります。私は王家の持つ騎士団を完全な実力主義で選抜し出世できるものにしたいと考えております。ミラリネを含む全国民を対象にした騎士選抜試験を開き、そこで剣術や武芸に優れているものを採用するのです。昨今、エスパルは奇襲攻撃など汚い手を使ってミラ国の侵略を試みています。ミラ国には最強の騎士団が存在すると言うことを、他国が知れば早々簡単には攻められない国になるでしょう」


「ミランダ王女殿下、ポール・スルガと申します。この度は愚息がミランダ王女に無礼を働き申し訳ございませんでした。王宮から追い出されるという厳しい処分には疑義を唱えたいところもございます。それ以上に、やはりミラリネという異物を王宮に入れたことが間違いだったのではないでしょうか」


スルガ伯爵の息子は今回処分した6人の中の1人だった。


「私に無礼を働いたから、息子さんが処分されたと思っていらっしゃるのですか?今までの私の話を聞いていたら、そのような発言はできないはずです。私は息子さんが訓練をサボり、同じ騎士である人間に対して暴行を働いていたから処分したのです。愚かな人間でも補うほどの実力があれば良いと思いましたが、残念ながら騎士とは思えないほど軟弱でした。皆様、前回エスパルの侵略を防いだのはミラリネだということをお忘れですか?訓練されているであろう、我が国の騎士団より彼らは頼りになるのです。貴族という特権階級のことは一度お忘れください。他国に侵略されて奴隷になれば、ミラリネや貴族も皆同じですよ」


私の言葉に貴族達が騒がしくなった。



「ミランダ王女殿下、殿下がレオハード帝国のラキアス皇子に嫁げば全て解決することではないですか?エスパルに侵略されようと帝国が守ってくれるでしょう。殿下とラキアス皇子の婚約の話はどうなったのですか?」


スルガ伯爵の言葉に、周りが同意の声を次々とあげる。

みんな7歳の女の子に自分達のために身を売れと言っている状況を、おかしいとは思えないのだろうか。





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