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サレ妻は異世界で次期皇帝から溺愛されるも、元の世界に戻りたい。  作者: 専業プウタ@コミカライズ準備中


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28/32

28.私と結婚してください。

「ラキアス皇子殿下、花火は紫色が一番出すのが難しいそうです。私はでもその紫色が一番好きです。皇子殿下の瞳の色だからです」

まるでとうとう伝えてしまった告白を伝えたかのように、ステラが震える声で言ってくる。


「僕は自分の瞳の色が嫌いです。瞳の色が紫でなければ、もっと自由なのにといつも思っています。僕が皇帝になったら真っ先に紫色の瞳が皇族の血が濃いだなんて根拠のない迷信だと宣言します。カルマン公女、あなたもこの瞳の色の足枷をかけられてきたでしょう」


「お互いの瞳の色を好きだと伝え合う愛の告白方法を童話で読んで、ラキアス皇子殿下とやりたかったのです。私は紫色の瞳でよかったと思っています。この瞳の色だったからこそ、殿下を私のものにできるのですよね」


僕はステラが泣きそうな顔で僕に伝えてきた言葉を聞いて反省した。

彼女はただ僕を好きだとそれだけを伝えてきている。

それなのに僕は彼女を見ようとせず、酷い言葉を浴びせてしまった気がする。


「カルマン公女は童話などを読むのですか? 今度、話を聞かせてください。僕たちにはこれからたくさん時間があるのですから」

僕の言葉にステラの顔が安堵の表情に変わった。


一生に一度の恋をミランダにした。

だから、これで満足しないといけないのかもしれない。

僕にひたすらに好きだと伝えてくる、不思議な女の子を愛せなくても大切にするべきだろう。



♢♢♢




「ミランダ女王陛下、今更ですが世界一の男を振って良かったのですか? 」

帰りの馬車でエイダンが私に尋ねてくる。


「確かに美して優しくて、何もかも持っているラキアスは世界一の男ですね」


私は思わず苦笑いをする。

ラキアスは見惚れるあまり時が止まってしまうかと思うほど美しくなっていた。

心優しく、私を愛してくれる彼に寄りかかりたくなってしまう気持ちを抑えるのは容易ではなかった。


「でも、私が欲しいのは世界一の男ではなく、私と助け合ってくれる相棒なのです。エイダン卿、ミラ国に戻ったら私と結婚してください」


私の言葉にエイダンが目を丸くする。

私もこちらの世界で成人する。

周囲からは結婚を望まれるようになってきた。


元の世界で成功したとは言えない結婚をしているので、前向きにはなれなかった。

そのような時に10年相棒のように助け合って過ごしたエイダンのことが頭に浮かんだ。


「俺と結婚って正気ですか?結婚したら、結構なことを俺とあなたはしなければならないのですよ。俺の子供を産む覚悟があるのですか?」


エイダンが頬を染めていってきた言葉に、私は思わず肩を落とした。


「今、いやらしいことを沢山想像しましたね。結婚とはそう言うことではないですよ。共に共闘し人生を歩んでいくことです」


私は8年近く元の世界で結婚生活の現実を知っている。

結婚とはふわふわした夢物語ではない。

共に違うバックグラウンドを持った人間が一緒になり、変化に立ち向かっていくものだ。


「また、悟りを開いた仙人のようなことを言っているのですね。ミランダ女王陛下は相変わらず不思議な方です。俺くらいしかあなたの相手は務まらない気がします」


彼との結婚はミラ国民とミラリネの境界線をなくす助けになるだろう。

私は結婚に愛だけを求める夢見る少女でも、悟りを開いた仙人でもない。

結婚に人生を歩む相棒を求める現実主義者であり、自らの結婚によって国にもたらす利益を考える女王だ。


「それはこっちのセリフですよ。エイダン卿、あなたは7歳の子に口づけを乞う変態です。ミラ国の未来ある子供たちの為にあなたの身柄は私の方で管理させて頂きます」


私が言った言葉にエイダンは微笑むと、目を瞑り顔を近づけてきた。

私はそっと目を瞑り彼の口づけを受け入れる準備をした。




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