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78話

「ねぇ、アスリーさんもいいって言ってるんだから行こうよ。シュウトお兄さんもいちいち王都から戻るのは面倒でしょ?」


 面倒とまではいかないが、宿代も浮くし、今の俺なら美少女の家に泊まったところで心は動かない。


「それじゃあ、今日は泊まらせてもらうか。本当にいいんだな?」


「腕を治してもらった恩もあるのだからこれくらいのこと何でもないですよ」


「やったぁ、お泊りだね。まだ時間あるのに夜が楽しみだよ」


 驚くほどあっさり決まってしまったな。


「アスリーの家に泊まるのはいいんだけどさ、これからぱあっと行くんじゃなかったのか? 先にそっちを話すべきだろ」


「そうだったね。何といってもシュウトお兄さんのSランク冒険者昇格祝いだよ。もちろん王都で一番高いお店にいかないとね」


「大きく出たな。ネイスが俺に奢ってくれるんだよな?」


 当然お祝いされる身の俺は金を出すつもりはない。ネイスに奢ってもらう気満々だ。

 一つ不安なのは、俺たちが王都での店の知識がないってところくらいだろうか。それもアスリーに事前に聞いておけば解決だ。


 Sランク冒険者はこの世界でも二十人前後しかいない冒険者の頂点だ。俺はわずか数日でそこまで至ってしまったのだ。やりすぎた感が否めないな。


「本当は奢るつもりだったんだけどね、シュウトお兄さんがダンジョンで余計なことしたから罰としてシュウトお兄さんに払ってもらうから。ちなみにアスリーさんも同意見だからね」


「え? アスリーも来るのか?」


 予想外の展開に驚きを隠せない。

 アスリーも俺の昇格祝いに参加するのか? それも俺のおごりで。意味不明すぎて王都を壊滅させたくなってきたんだが。


「その反応は流石にひどいと思いますよ。私たちは一緒のダンジョンをクリアした仲間ではありませんか。ご飯を食べに行くくらい当たり前です」


「それが普通のご飯だったらな。でも今回は俺の昇格祝い何だよ。それも、なぜか俺の奢りってことになってるな」


「それはシュウトが全面的に悪いので仕方ありませんよ。あの行為ばっかりは一体何のために行ったのか見当も付きません。ただただ、私とネイスちゃんを不快にしただけです」


 そこまで本気で言うことないだろ。

 俺だって遊び心くらいは残ってるんだよ。ふと思いついたしょうもないことを実行しちまう年頃なんだ。


「でも今俺お金あんまり持ってないぞ。報酬もまだ受け取ってないし……あ、今日のダンジョンをクリアした報酬ってどうなるんだ? 俺がそうどりってことになるのか?」


「今回のダンジョンは昇格試験を兼ねていたので、報酬は出ませんよ。惜しいですね。これが通常の個別クエストであれば相当な報酬を貰えていたに違いありませんね」


「ふざけんなよ。あのおっさん。この俺をただ働きさせようなんていい度胸してるじゃねえか。ちょっと抗議しに行ってくる」


「待ってよ、シュウトお兄さん。そんなことしても無駄だって。ほかのSランク冒険者の人たちも昇格試験では報酬は貰っていないはずだよ。それを特別扱いしてくれるなんてありえないよ。それにまだドラゴン討伐の報酬も満額受け取ってないんだからお金に汚くなるのもどうかと思うよ」


 俺は特別扱いするべきだろ。ギルドマスターですら、驚愕するほどのステータスに魔法の数々、俺の気分を損ねて冒険者をやめられたらどれだけの損害が出ると思ってるんだ? 普通に最強の冒険者を失うってことなんだぞ。


「手持ちがないのであれば、ここは私が立て替えて起きましょうか? 幸い、今日のシュウトの昇格試験へ同行するという個別クエストをクリアしたばかりでお金は入る予定ですから問題ありませんよ」


「足引っ張ってたのに、アスリーだけ報酬貰えるとかずるくないか? 俺にも少し分けるのが筋ってもんだろ」


「私は個別クエストでシュウトは昇格試験なのですよ。明確に違いがありますよね。ですから、私が報酬を受け取るのはなんら不思議なことではありませんよ」


 俺の中では納得は行かないが、ギルドマスターがアスリーに俺の試験への同行をいらしていたのならばそれは個別クエストに違いない。たまたま、今回は俺の実力が凄すぎて足を引っ張る形になっていたが、通常であればSランク冒険者が下位の冒険者に遅れを取るなんてことはありえないはずだ。


「おとなしくアスリーさんに立て替えてもらいましょう。それが一番無難でいいところへいける選択だと思うよ」


「それはわかってるけどさ、アスリーに金借りるってなったら、今日おまけでアスリーがついてくるじゃないか。それはなんか違うだろ」


「ストップ!! 今の発言はシュウトのほうがおかしいですよ。私はお前ではありません。シュウトのSランク冒険者としての先輩ですから。何かわからないことがあれば私に何でも聞いてください」


 よくわからないが急に先輩風吹かせてきたぞ。

 とはいえ、冒険者になって日が浅い俺たちでは知らないことをたくさんして知っていること自体は事実だ。ここはアスリーも一緒に連れて行って情報をいただく方が賢そうだな。

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