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74話

 そう言えばドラゴンの討伐報酬っていくらもらったんだっけかな。金に頓着なさ過ぎて忘れちまった。確か一気に全額は用意できないとか言って後に保留になってる分もあったよな?


「個別クエストについては理解してもらえましたか? これからはAランク冒険者でも手に負えないと判断されるようなことが起きれば、シュウトさんにも当然声がかかることがあるのでご了承ください」


「できるだけ俺を頼るのは最後の手段にしておいてくれよな。俺だっていつでも暇してるわけじゃないんだ。毎日忙しく過ごしてるんだよ。俺よりも先輩のSランク冒険者たちを頼ってくれ」


 そうだよ、俺が指名されるなんて最後でいいんだ。Sランク冒険者の中では俺が一番の新参者だ。力関係は俺がダントツの一番なのは間違いないが、ほかの奴らにもプライドがあるだろう。俺に任せるってなる前に勝手にやってくれるさ。いざとなれば、腕を治してやった恩を使ってアスリーに押し付けよ。


「我々のほうでも、誰が適正か判断して個別クエストを発令するようにしていますので、こればっかりは誰に声がかかるかわかりません。現状、自由に動けるSランク冒険者はアスリーさんとシュウトさんのみなんです。直近で発令されるようなことがあれば、必然的に二人のどちらか、もしくは両方に声がかかりますね」


「だったら、アスリーだけにしてくれ。アスリーじゃどうしても役不足って言うんだったら考えてやってもいいが、死ぬ気で頑張れば何とかなるレベルなら俺には声をかけないでくれよ」


「私に死ねと言ってるのですか? シュウト、私は貴方の実力をこの目で確かめました。悔しいですが、私よりもシュウトの実力のほうがほんの少しだけ勝っています。ですので、危険な時は同行してください」


 何だよ、ほんの少しって。天と地ほどの差があるってことを理解してるだろうが。でも、アスリーが俺に頼んでくるってのも悪く無いな。最初なんて俺のことを強そうに見えないとか抜かしてたもんな。間近で見てりゃそりゃ俺の実力も理解できるか。正直、まだアスリーが死ぬってなってもなんの感情も湧かないが……いや、ちょっとくらいは助けてやろうって思うか。まあ、一度は一緒にダンジョンに潜った仲間だもんな。このよしみで助けてやるか。


「アスリーさんを見殺しにするなんて私が許さないからね。大丈夫ですよアスリーさん。シュウトお兄さんは私が引っ張ってってでも連れていきますから」


「ネイスちゃんがそう言ってくれるんだったら安心ですね。今回の件で私も自分だけではどうにもならないことがあるということを知りましたので、さらに修行に励もうかと思います」


「いくら修行したところで俺には追いつけないと思うが、頑張れよ」


 努力をすれば結果は伴うなんてのは、まやかしだ。都合のいい決まり文句だ。俺のこの力も努力で手に入れたもんじゃないしな。そうだな、努力をすれば少しくらいは強くなるんじゃないか?


「ネイスさんがいれば、シュウトさんも個別クエストに参加してくれそうですね。これで私たちも安心できます」


「ボメリさん任せておいてください。シュウトお兄さんは私が連れていきます!!」


 勝手に話を進めていくなよ。なんで、ネイスがいれば俺が個別クエストに行くってなるんだ? 理解不能だ。


「おいおい、俺を動かすのはそんな簡単なことじゃねぇぞ」


「まだ言ってるの? シュウトお兄さんはSランク冒険者になったんだよ。強さには責任が伴うんだから。それに報酬もきっとすごい額になるんだよ……えへへ、何買ってもらおうかなぁ」


「ネイス、まさか金が目的なんじゃないだろうな? 俺に稼がせて、自分が使おうって腹だろ?」


「まっさかぁ、私は自分の働きに見合ったお金を貰うだけだよ。でもね、私はシュウトお兄さんのサポートとして個別クエストにも着いて行くから、報酬は山分けだよね?」


 こいつ強欲すぎる。俺についてきてサポートだって? ドラゴンとの戦闘でも骸骨との戦闘でも一切役に立ってないだろ。精々、俺の話し相手になってる程度だ。それが、報酬を山分け? 笑えない冗談だな。


「残念だが断る。報酬は99パーセント俺のものだ。余った1パーセントをネイスにくれてやる。これでも多いくらいだろ?」


「ひどいよ……私とシュウトお兄さんはずっと一緒に活動してきた仲なのに……」


 ネイスが目を潤ませながら上目遣いで俺のほうを見てくる。

 待ってくれ、これ前にもやられたことなかったか? くそ、これじゃあ俺が悪者みたいじゃないか。当然の権利を主張してるだけだろ。


「ネイスちゃんを泣かせるつもりですか? シュウトはどうせお金なんてあっても使い道なんてないですよね? だったら、ネイスちゃんに上げたらいいじゃありませんか」


「まてまてまて、俺が責められるのは納得いかん。俺がクエストをクリアしたなら、報酬はもちろん俺のものになるはずだろうが」


 ジトっと、アスリーからも視線を向けられる。

 ボメリ何て、ネイスを気遣って頭を撫でてやってるんだけど。ネイスの見た目に騙されてやがる。


 まずいぞ、このままじゃ、この場でこれからの報酬は山分けってことにされてしまうんじゃないか?

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