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67話

 涼しい風がやみ、両手を前に突き出した骸骨が現れる。


 表情は骨なのでわからないが、もしこいつに肉がついていて表情がわかったらきっと驚愕に震えていることだろう。今の魔法はちょっと切り札みたいなノリだったもんな。


「まずいよ、シュウトお兄さん。アスリーさんが今の攻撃をくらっちゃった。右腕が凍っちゃってる」


「何やってんだよ。だから隠れとけって言ったじゃねぇか」


 てか、こいつの攻撃って腕が凍るようなレベルの攻撃だったのか? 俺なんてもろにくらったが涼しい以外の感想何て出てこないぞ。


「ごめんなさい。回避はしたのだけれど、あまりに広範囲でよけきれませんでした。まさか私が足を引っ張ることになってしまうなんてお恥ずかしい限りです」


「いいから、下がってろって。俺もこいつの魔法を見たからって少し遊びすぎてたわ、すぐに片づけるからそこでおとなしくしてろ」


 おそらく凍傷になっているであろう右腕をかばいながらアスリーが後方へと下がる。ネイスには俺のかけておいた防護魔法があるから心配はないが、まさかアスリーが負傷するとはな。


「なぜ貴様はピンピンしておるんじゃ!? 我の最大の魔法じゃぞ? 貴様、一体何者じゃ?」


「今のが最強の魔法だったのか? それなら俺のお前に対する興味もこれで尽きたな。そろそろ終わりにさせてもらおうか」


「図に乗るなよ人間風情が!! 貴様の魔法は我には効かん、故に我に対する有効な攻撃手段を貴様も備えておらぬではないか。この勝負、魔力が先に尽きた方が負けじゃ。我に魔力切れという概念は存在せん。絶望するがよい、人間よ」


 どうやら俺の魔法はもう勝手にこいつに通じないことにされているみたいだ。まだ全然本気を出していないというのに早とちりもいいところだ。ここのダンジョンを破壊しないよう威力を抑えてあると言っただろうが。


「シュウトお兄さん、大丈夫? 早く決着をつけないとアスリーさんの手が……頑張ってシュウトお兄さん!!」


「そうだな、アスリーの治療もしなくちゃ行けないもんな。それじゃ、決着をつけるとするか」


 俺は今まで通り魔法を放つことはせず、骸骨との距離を一気に詰めた。


「何!? 消えた!?」


 俺の姿をとらえることができないのか、真横にいるはずの俺を見失い慌てふためいている。


「どこみてるんだよ。こっちだ」


 ガンッ。


 右手で骸骨の顔面にストレートを振りぬいた。


 グシャッ、ゴォォン。


 障壁のようなものを突き破り、骸骨へ吸い込まれた俺の右こぶしは、骨が潰れるような音をあげ、頭蓋骨を粉砕した。その勢いを殺すこともできないままフロアの壁へと激突した。


「ガァ!! 我に何をした人間!? 我の魔力障壁をどうやって破ったのだ?」


「まだ生きてるのかよ、案外しぶといじゃねぇか。大体もう頭が潰れてるだろ? 死んどいてくれよ」


 頭は綺麗に吹き飛んでおり、もはやどこから声を発しているのかまったくわからない。面倒だが、体中を粉々にしないとこいつは死なない類のモンスターなのだろうか?


「一度まぐれ当たりをしたくらいで調子に乗るでないぞ。我には不死の祝福が刻まれておる。ただの人間でしかない貴様にはどうすることもできぬわ!!」


 不死のスキルか。それなら死ぬまで徹底的にぼこぼこにするしかないか。ちょっと面倒だから瞬間移動でこいつを宇宙にでも捨ててきたらダメかな。いや、それだったら俺まで宇宙に行かないといけないから危険か。無駄なリスクを負うのはよしておこうか。


「それじゃあ、お前の不死性と俺の力、どっちが上か力比べと行こうか?」


 いまだたてていない骸骨の前まで行き、体を踏み抜く。


 ガシャッ。グシャッ。


 骨を潰すような音が響き、骸骨の体は見る見るうちに粉々になっていく。


「やめろ!! やめるのじゃ!!」


 どこからともなく発される声を完全に無視し、俺は残っている骨を足で砕き、潰していく。


「よし、これくらいであらかた大丈夫だろう。あとは細かい骨を一気に燃やして終わるとするか」


 ただの炎だとまた耐えられてめんどくさいことになりかねないので、先ほどまでの炎とは違い、聖属性の魔力を練りこみ、俺の炎に聖属性を付与することにした。骸骨に効くのは聖属性だと相場が決まっている。これなら跡形もなく焼き尽くしてくれることだろう。


「もう流石にしゃべれないよな。これで終わりだ」


 粉々に散らばっていた骨めがけて炎を放つ。


 ゴウゴウと燃え盛る炎は、骨を跡形もなく燃やし尽くした。やっと、討伐完了だな。俺としたことが思ったよりも時間を食っちまった。俺も無駄に様子見をしてしまったせいだな。なんか強い魔法を使いそうな雰囲気をかもしだしていたこいつが悪い、きっとそうだ。


「アスリーさん。大丈夫ですか? 右腕が……」


「ネイスちゃん、ありがとうございます。心配かけてしまい申し訳ないのですが、私もSランク冒険者の端くれとしてこの腕はもうもとには戻らないことくらいはわかります。大丈夫、剣は片手でも握れますから」


「そんな悲しいこと言わないでくださいよ。大丈夫です、きっとシュウトお兄さんだったら直してくれます」


 おいおい、そんな重症だったのかよ。早く言えよな。俺もまだ回復魔法とかは使ったことないからなぁ。


「あ、シュウトお兄さん。アスリーさんの腕が……」


「任せとけって、ネイスの頼みだ俺が治してやろうじぇねぇか」


 アスリーの右腕に俺の左手をかざす。これが普通だったら治らない怪我何て関係ない。そんなこと俺には関係ないんだ。治れ!!


 アスリーの腕が俺の魔力の光に包まれた。この世界に来て初めての回復魔法だ、効かないはずがない。どんな怪我だって一瞬で治して見せるぜ。


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