66話
ひとまず様子見で何か打ってみてもいいだろうか? いや、俺の場合様子見じゃなくて終わっちまうか。
「シュウトお兄さん、まずいよ、なんか骸骨さん怒っちゃってるよ? 付与魔法のおかげで魔力に当てられてないから大分ましだけどこれ絶対なかったらた大変なことになってるって」
「スケルトンではないと思うわ。それにしてもこんな王都周辺に現れたダンジョンにしては強すぎるってギルドマスターもおかしいって言ってました」
「俺からしてみればこんな奴何も関係ないレベルのモンスターでしかないぞ? 二人とも危ないから下がってろ」
骸骨めがけて魔力を放出してやりたいところだが、もう少ししゃべってくれてもいいんだぞ? 俺は少し話をしてみたい気分なんだ。なんてったってしゃべる骸骨だぜ? 初めて見たぞ。
「愚かな人間ども、作戦は整ったか?」
「作戦会議してた訳じゃねぇよ。俺がお前ごときに作戦を考える何て無駄な時間を使うわけねぇじゃねぇか。大体お前は何者なんだ? しゃべる骸骨何て強そうじゃねぇか?」
「我は偉大なる魔王様の幹部、その一人であるボボボンド様の右腕、死者の王。リッチロード様だ。今回はボボボンド様の命令を受けて強い反応を持つ人間が複数暮らしているこの町の周辺で情報収集を命じられたのだ」
情報が一気に入ってきて俺の頭はもう限界だ。こいつは一体何を言っているんだ? 魔王様? 幹部? 右腕? どれがこいつの本体ですか? もっと簡潔に自己紹介してくれよ。おれにわからんぞ。
「魔王軍の幹部ということですね。通りでこの魔力の反応の強さだというところかしら」
「わ、私、魔王軍の幹部と戦っちゃってるんだ。すごいよ、シュウトお兄さん。これで私も人類の英雄の仲間入りだよ」
「実際に戦うのは俺なんだがな。二人はゆっくり観戦しておいてくれ。おい、なんとか骸骨。お前の命運はこの俺に出会ってしまった時点で尽き果てているのだ。もうめんどくさいからこっちから行くぞ」
魔力を左手に集中さえ、魔力弾を放つ。
シユウウゥゥイーー。
俺の手から放たれた魔力はバレーボール程度の大きさの弾となり、骸骨に向かってすさまじいスピードで飛んで行った。
ドゴゴゴン!!
何か硬いものに直撃したような音がフロア一体に響いた。
手ごたえ的にはどうやらガードでもされたみたいだ。俺がモンスターを屠った時はこんな手ごたえではなかった。魔力の障壁でも展開して防御に徹しているのかもしれないな。
「ハハハッ、我には通常の魔法は効かん。スキル魔法無効を常時発動しておるのだ。この程度の魔法では我にはかすり傷一つ負わせることもできぬわ!!」
なんか得意げに宣言してくるが、今のは適当に魔力を飛ばしただけの攻撃に過ぎない。まだ俺は魔法を使ってすらいないのだ。それを防いだくらいでここまでどや顔できるのはこの骸骨の才能かもしれないな。
「ちょっとはやるようだな。それじゃあ、次はどうだ?」
今度は同じ用に魔力を貯めて、炎を放った。
ゴゴゴゴゴゴゴ!!
フロアを飲み込みそうなほどの爆炎が骸骨を包み込む。
燃え盛る炎の中で骸骨は微動だにしない。これは燃やし尽くしたかと思ったが。
「ハハハッ、炎をに変えたところで無駄な足掻きじゃ。我には魔法を効かんと行っておるだろうが。これ以上無駄な攻撃を続けるようじゃとこっちから攻撃を仕掛けることになるぞ?」
炎もダメだったか、てか、ダンジョンの中だから本気を出すわけにも行かないんだよなぁ。あやまって生き埋めになるのなんて馬鹿らしい。
「シュウトお兄さん。効いてないよ。大丈夫? 私が手を貸そうか?」
「ネイスは黙って隠れてろって、俺はまだ小手調べ程度の攻撃してしてないから安心してそこで見てろ。ダンジョンが壊れないように調節しながら攻撃するの以外に難しいんだぞ?」
「なに? 貴様はそのようなことを気にしておったのか? 我が作ったダンジョンがそう簡単に崩壊するはずもないじゃろうが、我をコケにしおってからに」
骸骨さんの謎の怒りポイントに触れてしまったようだな。無駄に怒って魔力を増幅させている。これは攻撃が来るぞ。
「今度は我の攻撃を防いで見せよ。エンシェントブリザードフラッシュ!!」
なにやら長ったらしい名前の魔法を唱えた骸骨の右手から、吹雪のようなものが呼び出され、俺に迫って来る。
シュゴゴゴゴゴーー!!
ノーガードで全部受けてみたがただの涼しい風でしかなかった。何て名前負けな魔法なんだ。今の何て俺が一回効いただけじゃ魔法の名前を覚えられなかったぞ? ブリザードなんちゃらだったよな。
「なぜだ? なぜ貴様は我の魔法を受けて当然のように立っておるのじゃ?」
「はあ? お前の魔法が雑魚だからだろうが、俺は防御なんて何もしてねぇぞ。まさか今の魔法が切り札とか言わねぇよなぁ? 拍子抜けにもほどがあるぞ」
少し煽り気味に挑発してみる。もしかしたら何かすごい魔法を見せてくれるかもしれない。何といってもこの骸骨さんは魔王軍の幹部なのだから。
「我を愚弄したことを死ぬまで後悔させてやる。くらうがいい我の最強最高の魔法。エンシェントブリザードフラッシュカノン!!」
骸骨の叫び声と共に、今度は両手から吹雪のようなものが放たれた。
またしても俺に対しては涼しい風でしかなかった。
もういいよな。このくそ骸骨倒しちまってもいいよな?




