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64話

 2階から5階をすべてショートカットし、最後の階段の前へと移動した。

 最後の階段は入り口や1階のものよりも不気味というか、少しぼろっちい気がする。


「ハハッ、本当にこれはやってられませんね。5分もかからずダンジョンの主の階層何て、今まで私たちが行ってきたダンジョン攻略が何と滑稽なことなのでしょうか? 一体どれほどの時間を短縮したのでしょうね」


「さあな、途中モンスターもいたからそれと戦うのにも時間はかかるからな。ざっと1階に2時間はかかるとして10時間くらいは短縮したんじゃないか? どうだよ? 俺のすごさが少しはわかったか」


「すごすぎてシュウトなしじゃ金輪際ダンジョンに潜れない体になりそうです」


 俺もこの前のドラゴンの討伐の時に似たようなことを味わってるからな。瞬間移動をすれば一瞬で終わることを数時間かけて山の山頂まで冒険者どもと一緒に登ったんだ。あれも思えば時間の無駄だったな。どうせ、瞬間移動のことを話すんだったらあの前に話しておけば、心置きなく瞬間移動を使用することができたんだよ。


「どうした? さっきからなんか静かだぞネイス? 防護魔法効いてないか?」


「そういう訳じゃないよ。でも、ここに移動してきてからすごい嫌な感じがしてて。きっとこの先にいるボスモンスターのせいだよね?」


「え? 俺は何も感じないぞ。微かに下から魔力が漏れ出ているような気もするけど」


 まさかネイスが言っているのはこの魔力のことだろうか。でもこれしかないよな。嫌な感じがするほどの魔力でもないと思うが、ネイスと俺じゃ保有している魔力量も全然違うしネイスにはきついんだろう。


「ネイスちゃん気持ちはわかるよ。私も魔力はそれほど多い方ではないから、この魔力に当てられるのは少し答えてるからね。これから先ついてくるなら気合いを入れないと持っていかれるかもしれないから気を付けてね」


「アスリーさんもなんですか? やっぱりシュウトお兄さんがおかしいだけなんですね。わかりました。私も頑張ります」


 気合いで何とかなったりはしないと思うんだけどなぁ。何も準備してないよりかはマシか。


「俺が防護魔法にプラスして魔力遮断結界でも張ってやろうか? 使ったことはないけど、たぶんできるだろうし」


「やったこともないことを無責任にできるだろうなんて言うのはいただけないですね。それに一度も試さずに効果があるかなどの確認はどうやって行うつもりですか?」


「いや、いらないならいいんだ。二人ともこの先もっときつくなるかもしれないが頑張れよ」


 アスリーが言わんとしていることも十分理解できる。俺は自分で作ろうと思った魔法を作れてしまうからあれだが、その場で適当に作ったような魔法の効果を信頼できないよな。1回魔法を展開させてもらえれば効果はわかるんだけど。


「いらないとは言ってないですよ。私は即席でそんな便利な魔法を作れるか疑問に思っただけです」


「私もできればほしいな。まだ最後の階層に下りてないのにこれなら一体目の前に対峙したときはどれほどの圧になるか想像もできないよ」


「はあ、しょうがないな。それじゃあ、効果は……自分以外の魔力を遮断するとかでどうだ? これでいいか。今回も付与魔法で行ってみよう。ほらよっ」


 俺がそう呟くと、二人の体を付与魔法の光が包んだ。

 ネイスには防護魔法を付与してあるので2重になるがそこらへんは影響を受けないようにしてあるから問題ないだろう。


「すごい。さっきまであった嫌な感じがまったくしなくなったよ。これなら私も戦えそうだよ」


「ダメですよ。ネイスちゃんは手を出したらシュウトの試験になりませんから。本当にシュウトはおかしいですね。ですが、今回はありがとうございます」


「まあ、気にするな。一番強い俺が二人を守るのなんて当然のことだ。この下で待っているモンスターも俺が瞬殺してやるから。おっと、それと一度俺が今付与した魔法の効果を試してみてもいいか?」


 即席ではあるが、効果は問題ないと思う。しかし、ここで再度確認しておくのが俺なのだ。万が一、いや、億が一、魔法の強度が足りないとかなったら俺の面目丸つぶれだ。一度俺の魔力放出を受けられるかテストしておこう。


「効果を試すってどうやるの? もう十分効果を実感できてるよ?」


「こんな漏れ出た魔力を遮断するくらいは当然できて当たり前なんだ。もっと、強い魔力を受けても大丈夫かどうか確認しておきたいわけだ」


「そういうことなら構わないですよ。どうぞ?」


 アスリーが人柱になってくれるようだ。ちょっとネイスに魔力を向けるのは気が引けてたからありがたい。


「それじゃあ、遠慮なく行くぞ? ビビって泣き出すなよ」


 俺は今まで完璧に抑え込んでいた魔力を解き放つ。とはいえ、ここは地下なので全力で開放したりしたら生き埋め確定なのでそれなりに調整しながらである。


 体の周囲に魔力が可視化するほど濃密に集まり、真っ赤に燃え盛っている。


「ちょっと待って。ストップ、ストップ、お願いだから止まってぇーー!!!」


 アスリーがいつもの敬語を崩してまで必死に叫んでいる。


「悪い、ちょっと魔力を放出しすぎたか?」


「あれがちょっとなわけないと思うのだけれど……規格外の魔力でしたよ……」


 なんか顔色が悪くなって疲れてしまっている様子だ。流石に俺の魔力を完全に遮断するほどの強度を持ち合わせてはいなかったみたいだな。次はもう少し強めに付与してみるとするか。


「これで準備完了だな。いざ、ボスを対峙と行こうか」


 俺がそのまま歩き出すと、アスリーがよろよろと俺の後をついてきた、よく見るとネイスも余波をくらっていたのか同じような歩き方になっている。これは力の調節ミスってしまったみたいだ。


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