53話
王都に着いたのはよかったのだが、門を見つけて入口を探すところからというのがかなりめんどくさい。もういっそ、どこでもいいから壁に穴を開けて中へ入るか、壁をジャンプで飛び越えて中へ入りたい。もちろん、この話をネイスにしたら全力で止められたので実行には移せないのが残念だ。
「もう、シュウトお兄さんは私が目を話なら何をしでかすかわかったもんじゃないよ。壁を壊すなんてありえないからね。ジャンプもだめだよ」
「冗談だって、俺も本気で行ったわけじゃねぇよ。壊したほうが楽に入れるなって思っただけだ。ちゃんと入口を探せばいいんだろ?」
門番がいて検問とかあったら壁を壊そう。ネイスもきっと許してくれるはずだ。
「道なりに進んでいけば入口につくはずだよ。目の前に見えるでしょ」
俺たちが瞬間移動してきたのは道のすぐ横の茂みなのでここからでさえすれば道にはたどり着ける。しかし、本当にこの道が入口につながっているという保証はあるのか? 否!! そんなことは言えない。いや、普通に考えてつながってるか。
「行きますよ。ここでじっとしてても埒が明かないから。早く冒険者ギルドの本部を目指そうよ」
「わかってるってそのくらい。俺もいろいろな想定をしていただけだ。備えあれば患いなしっていうだろ?」
「それはそうだけど、シュウトお兄さんは一体に何に備えてたの? めんどくさいことをしたくないようにしか見えなかったけど……」
ぎくっ、バレていたか。
俺がめんどくさがるなんて日常茶飯事だからネイスに気が付かれてもしょうがないか。
「まあまあ、早く行こうぜ。また中へ入って冒険者ギルドを探さないといけないんだ。ここで時間を無駄にしている暇はないぞ」
「それは私のセリフだよね。シュウトお兄さんが駄々こねてたんでしょ。まったく、子供みたいなんだから」
俺たちは潜んでいた茂みから脱出し、道に沿って入口を目指した。
「おい、あれ門番じゃねぇか? 嘘だろ、まじかよ」
めんどくせぇ。やったろうかな。
「何を心配してるの? シュウトお兄さんもしかして前科持ちだったりする? 何もやましいことをしてないなら何も気にしなくても大丈夫だよ」
「俺はまだ綺麗なままだ。心も透き通ってるぞ。悪いことなんて生まれてこの方、一ミリもしたことねぇよ。ただめんどくせぇだけだ」
俺が行った悪行といえば……最初に町を滅ぼしたくらいか。まあ、あれは不可抗力みたいなもんだ。しっかりじじいのいう通りモンスターを倒したあとで、前世の憂さ晴らしだったからノーカンだろう。それにもう記憶から消えかかってるぐらいだし、大したことじゃないなきっと。
「結構並んでるね。私たちもここに並ばないといけないのかな。急いでるって言ったら先に通してくれれば楽なんだけど」
「それだ!! 俺たちは急いでるんだよ。故にこんなしょうもない検問を受けている暇なんてない!! よし、壁を飛び越えて入るぞ!!」
「勢いで押し切ろうってったってそうは行かないよ。ダメだからね。そんなことしたら冒険者ギルドに行く前に留置場に行くことになるんだから。王都なんだよ。王様がいるんだよ? 警備も厳しくなるのは当然だよね」
チッ、無理か。ネイスも面倒そうだったからいけると思ったんだがな。流されちゃくれないか。あぁあ、また無駄に時間を使うことになっちまうな。
「わかったわかった、並べばいいんだろ? 俺だってこれくらいは待てるさ。ネイス様に従いますよ」
「最初からそうしてよね。無駄にごねるんだから」
ひとまず、列の最後尾に並び、検問を突破することにした。
「次、どうぞ。こんにちは。身分証をお願いします」
思いのほか、列はスムーズに進んでいき、俺たちの順番が回ってきた。そこまではよかったのだが、衛兵のお兄さんに身分証の提示を要求された。
身分証何てものもってたっけな俺。プライバシーの観点からお見せできませんっていうしかないか。
「シュウトお兄さん。持ってる? 私はスラム街で生活してたからそういったものは持ってないよ」
「俺もだ。まずいって、これじゃ不審者だと思われるぞ。王都に入れて貰えないって」
「どうしました? 確認するだけなのですぐに終わりますよ」
この衛兵を強行突破するしかないのか。すまない。お兄さん。あんたに恨みはなかったんだ。ただ運が悪かっただけなんだ。
「シュウトお兄さん。何考えてるの? そうだ!! 冒険者カードは身分証にならないのかな? ギルドマスターも冒険者カードが誤動作するのはありえないって言ってたしいけそうだと思わない?」
「はい、冒険者カードで問題ありませんよ。確認いいですか?」
なんだよそれなら先に言えよな。身分証なんていうから冒険者カード何て思いつきもしなかったわ。
衛兵に俺たちは冒険者カードを見せた。
「シュウトさんにネイスさんですね。指名手配もされていませんね。大丈夫です、ようこそ王都へ」
指名手配されてないかの確認なのかこれは? ここで検問してるのがわかってたら指名手配犯何て絶対来ないだろ。意味あるのかよ。
俺たちは無事に王都へ入ることができ、冒険者ギルドの本部を探してさまようことになるのだった。




