52話
「それで? 王都って一体どこにあるんだ? できれば地図とか用意してくれるとわかりやすいんだが」
「シュウト君は王都に行ったことないのかい? わかったすぐに準備させよう。君、頼んだよ」
「はい、ギルドマスター」
ギルドマスターがお姉さんに指示をだし、地図をもってきてもらった。
受け取った地図を見るが、でかい大陸の中にいろいろな町の名前が書いてあるだけでどこが王都なのか、いやこの町がどこなのかすらわからない。町の名前がわからないことがこんなところで弊害を生むなんて。
「どれが王都なんだ?」
「うむ、このセイラムが我が国の王都だ。ウェイロウからは西の方角だね。どうだい? 瞬間移動はできそうかな?」
「ああ、場所さえわかれば問題ない。それじゃあ、本部への連絡頼むぞ」
俺たちは冒険者ギルドを後にし、王都へ向かうため一度宿へと戻った。
「本部からの返事が来ててよかったね、シュウトお兄さん。でも、瞬間移動が使えるのはせっかく隠してたのになんでばらしちゃったの?」
「いや、普通に考えて移動に数日かかるなんてありえんだろ。俺がもつと思うか? どうせ、しびれを切らして瞬間移動で移動するに決まってる。そうなるくらいなら先に言っておいたほうが驚かせないですむと思ったんだ」
「うーん、でもそれなら王都に瞬間移動で向かってから数日時間をつぶして冒険者ギルドの本部へ行けばよかったんじゃないかな? それも嫌だったの?」
なんだその完璧な案は……流石は俺の参謀だ。いや、しかしここで素直にその考えはなかったと認めるわけにはいかない。なんとか言い訳を考えなくては。
「それだったら、数日無駄に過ごすことになるだろ? 時間は有限なんだ。有効活用しないとな」
「そうかな? 王都の観光でもしながら過ごせばいいと思ったけど、お金もあるんだし。でももうギルドマスターにも言っちゃったしね。関係ないか」
「ああ、俺が戦闘だけの男だと思われるのも癪だ。なんでもできるってところを見せつけておかないとな。ハハッ」
くうぅ、金もあるんだ。数日まったりするくらいでちょうどよかったじゃないか。今度からはネイスの意見も聞いてから返事するようにしよう。俺だけで適当に決めたら、またこうなっちまう。
「地図を貸してくれ、瞬間移動の準備に入る。座標を指定しないと使えないからな」
「はい、地図だよ。それで、ここが私たちのいる町らしいからギルドマスターの言った通り西の方角に王都はあるよ」
「西か……あっちだな。ちょっと集中するネイスは静かに待っててくれ」
王都の方角へ感知を広げるため、目を瞑り集中する。いつもは自分を中心に円を広げるように感知領域を広げればいいのでかかる時間は少なくてすみそうだ。
ちょんちょんと肩を叩かれた。
なんだ? ネイスの奴、集中するから静かにしてろって言ったのになんで俺に触ってるんだよ。
ネイスに説教するために目を開けた俺の視界には少し申し訳なさそうにしている顔が見えた。
「ごめんね。でも、伝えた方がいいかなって思ったから……」
「急を要することか? 言ったよな、俺は集中するからって。トイレ行きたいとかなら別に行ってきていいぞ。それくらいは待っててやるから」
「違うよ!! あのねシュウトお兄さん。そっちは西じゃないよ。シュウトお兄さんが向いてるほうは東なんだ。あまりに自信満々だったから私が間違ってるのかと思って見てたけどやっぱり違ってたからさ。すぐに言わなくてごめんね」
なんてこった。俺は間違いを正してくれているネイスに逆切れ気味で文句言っていたってことかよ。なにそれ、恥ずかしい。
「すまん。それを伝えてくれようとしてたんだな。悪かった。それじゃ、今度こそ集中する。待っててくれ」
俺はゆっくりと反対を向き、目を瞑った。
遅れを取り戻すためにいつもよりも速度をあげ、感知を広げていく。
大分広げたところで一際反応が集まる地点を見つけた。おそらくここが王都だろうな。間違ってたらまたここから瞬間移動を使えばいいし、ひとまずここに移動しようか。
「見つけたぞネイス。多分ここが王都だ。目立たないように外に瞬間移動するから俺につかまってくれ」
「わかったよ。うん、いつでもいいよ」
「それじゃあ行くぞ」
そういうと、俺は瞬間移動を発動した。
パシュンと、見ていた視界が消え、新たに綺麗に整備された道が目に入った。
座標を指定はうまくいったようだ。王都の外の道の脇に移動できている。
「やっぱりこの感覚にはなれないね。本当にすごいよシュウトお兄さんは。こんな魔法を使ったって言うのに疲れた素振りすら見せないもんね」
「別に俺にしてみれば大したことないからな。疲れるほどじゃないだけだ」
「ふふっ、謙遜しなくてもいいのに。あっ!! あっちみて。お城が見えるよ」
ネイスが指さした方を見ると、確かに城がそびえ建っていた。
方角さえわかっていれば瞬間移動も楽勝だな。流石にここが王都で間違いないだろう。よっしゃ、冒険者ギルドの本部とやらを目指しますか。




