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5話

 俺がおじさんを殺すところをまじかで見ていた人間どもはさらにパニックに陥る。


「人が……人が消えたぞぉーーー!!!」


「なにものよ!! 人の姿をした魔物に違いないわ!!」


「きゃぁぁぁーーーー!!!!」


 おいおい、俺のどこが魔物に見えるって言うんだよ。目が腐ってるんじゃねぇか。ムカつくから、今、俺に向かって暴言を吐いていたおばさんも殺そう。


 手を前にかざしてグッと握りこむ。先ほどのおじさんと同じようにおばさんも音もたてずに世界から消滅した。こんなにも簡単に人の命がこの世界から失われてしまうという事実に俺は歓喜した。


 まるで人がごみのようだ。もう俺にとっては人間の命なんざその辺の石ころと同じ、いや、ほこり、チリ、空気? まあなんでもいい、ゴミだーーー!!!


「また人が消えたぞ!! 一体何が起こってるんだ!!」


「きゃぁぁぁーーーー!!!!」


 うるさいやつらだな。どういう教育を受けてたらこんな騒ぎたてるんだよ。まったく親の顔が見てみたいぜ。まあ、見る機会もなく殺してしまうんだがな。大体なんで俺はこんなに暴れようとしてるんだっけ? 考えてもわからねぇわ。そんなことどうだっていい俺の勝手だ。

 うんざりしながら、周囲を見渡す。この場から逃げ出した者が多いせいかかなり人数が減っているような気がする。まずい、このままじゃ俺が暴れたところで逃げ遅れた間抜けだけしか残っていないという最悪の状況が生まれてしまう。俺はもっと果敢に向かってくる奴らを圧倒的な力量差でぼこぼこにしてやりたいっていうのに。


「おーい、どこかに俺に向かってくる馬鹿な奴はいないのかーーー!!」


 かなり大きい声で叫んだつもりだったが、悲鳴などの雑音に阻まれ、誰一人として聞こえては居なさそうだった。


 くそが、一人で気分よく叫んだってのにとんだ赤っ恥だぜ。許さん、ここで騒いでいたやつらは皆殺しだ……いや待てよ。ここでギャラリーを減らしてしまうのは得策ではないな。どうにかして俺の言葉をこいつらに聞かせてやりたいんだが……そうだ!! 心の中に直接語り掛ければうるさいとか関係ないじゃないか。天才かよ俺は。そうと決まれば実行に移すだけだ。


【あーあー、てすてす、聞こえますかー?】


 パニックに陥っていた者たちが驚愕の表情で黙る。

 どうやら成功したようだ。俺に不可能はない!! この調子で少しでもまともなやつをここに呼んでみようか。


【早く来ないとここにいる奴ら全員皆殺しにしちまうぞ。腕に覚えのあるやつは急いでこい。俺は逃げも隠れもしねぇ】


 バッと、周囲の雑魚どもが俺のほうを向く。どうやら、話の内容から俺が直接語り掛けていることを察したのだろう。まあ、お前らは運が悪かったんだよ。どうせ、この町は滅ぶ運命なのだから、順番が早いか遅いか、それと恐怖する時間が長いかってだけだ。運のいいやつらは気が付いたらあの世にいっていることになるんだからいいよな。でも、何も知らずに死ぬのは俺はまっぴらごめんだがな。


「誰かーーー!!! 誰か助けてくれーーー!!!」


「きゃぁぁぁーーーー!!!!」


 さっき上空へ放った火球とこいつらの悲鳴がいい感じに人をここへ呼び寄せるだろう。魔物がいる世界だ、町の中にも自警団くらいはあるだろう。あとはそいつらが来るのを待つだけだな……退屈だし、1秒経つごとに1人ずつ殺していくってのもいいな。


「何をやってるんだ貴様!!」


「おい、何があった? 何がどうしたらこんな状況になるって言うんだよ」


 お? なんか来たぞ。

 俺が退屈で1人ずつ殺そうか考えていたタイミングで集団が現れた。

 見ると、甲冑を着てそれぞれが剣や槍などで武装している。俺の読み通り自警団かそれに準ずる何かだろう。

 やっと現れたぜ。それにしても計ったように完璧なタイミングで現れたものだ。もう少し遅かったらここにいる奴らは全滅していてもおかしくなかったてのにな。


「人に名前を尋ねるときはまずは自分からだろ? 礼儀くらいわきまえろよ、カスが」


「なんだと!? 貴様舐めた口を聞きやがって!!」


「こんな奴あっしらの敵じゃありませんぜ大将。さっさとやっちまいましょうぜ」


「そうだ。ここにいるみんなも私たちが来たからにはもう大丈夫だ。ケレンモス最強の騎士団の力を見せてやろう」


 うわぁー、気持ちいい。前世ではこんないきる機会なんて皆無だったもんな。どうだろう。俺のドヤ顔決まってるか? くそぉ、自分で確認してみてぇ、最高にムカつく感じでやってるつもりなんだけどな。


 それにしてもこいつら、騎士団だったのか。最強とかほざいていたが、俺の生命力感知では普通の人間と大差ない雑魚ばかりなんだけど大丈夫か。ちょっと息を強く吐いただけで全員殺せそうなんだが。


「フゥーーー」


 試しに息を吐いてみる。


 ゴォォォーーーー!!!


 まるで嵐が吹き荒れるかのような突風が巻き起こり、あたりにいた人間はなすすべもなくどこかへ飛んで行ってしまった。


 威勢よく現れた最強の騎士団(笑)も一人残らず消えてしまっていた。


「やばい、俺の口臭大丈夫だったかな?」

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