47話
俺はギルドマスターに言われた通り、顔をすっぽり覆う鉄仮面のような鎧フル装備になった。
「これで誰も君の正体はわかるまい。ちょっと窮屈だろうけど少しの間我慢してくれ。もちろん、ギルド本部にはこの前の件と合わせて、シュウト君がドラゴンを討伐したと伝えるからそこは安心してほしい」
「そうなのか? だったら、俺はSランク冒険者になっちまうんじゃ……」
「実力は申し分ないどころか余裕でクリアしているんだろうけどね。流石に君をSランク冒険者に認定するには活動期間が少なすぎると思うよ。もしかすると、ドラゴンの件も合わせて本部から呼び出しがあるかもしれない。その時はまた伝えよう」
まあ、冒険者を初めて一週間足らずで最高ランクであるSに到達してしまうのも味気ないな。もうちょい、苦労してなったほうが達成感もあるだろうし、当分はお預けで構わないかもな。魅力に感じるのは正直高ランク帯のクエストに挑むことができることぐらいだもんな。ネイスは喜ぶかもしれねぇが。
「それじゃあ、行こうかシュウト君。みんなの前では君はシュウタとしてふるまうんだよ」
「わかってる。しゃべることもねぇから気にするな」
俺たちはギルドマスターの部屋をでて、元の場所へと戻る。
「おお!! 来たぜ、シュウタさんだーー!!!」
「「「「おおおおおーーーーー!!!!!」」」」
俺が登場しただけでこの歓声である。しかも今回は閉鎖した空間での歓声だ、響き方が尋常じゃない。少しは声を抑えろよ。あほどもめ。
「みな、今日は早朝からよく集まってくれた。それでは、緊急クエストの報酬を配っていこう。シュウタさんには最後に渡すから、順番に並んでくれ」
「「「「おおおおおーーーーー!!!!!」」」」
だからそれやめろってな。地味にネイスも混じって喜んでいるのが見える。完全に浮いているが可愛いな。
「よっしゃ!! 俺が一番乗りだぜ。へへっ、今日はこの金でぱぁっと酒を飲み行ってやるぜ」
「ずりぃぞ。俺もほぼ同時についてただろうが。俺だってこの後は豪遊だ!!」
威勢のいい冒険者たちが我先にと報酬を受け取る列に並んでいく。
いつものように一列では捌けないのだろう。受付のお姉さんたちが5人も出張ってきている。
「実際、今回のクエストの報酬って一人大体いくらぐらいなんだ? 緊急クエストは報酬がうまいって聞いたけど」
「うん? そうだね、魔物を倒した数に比例して報酬は上がるが、基本的に一人30000ゴールドは貰ってるんじゃないのかい。彼らもBランク以上の熟練冒険者たちばかりだ。それ相応の報酬を用意しておかなければならないよ」
俺たちがやったリザードマンのクエストいくらもらえたっけ。確か2000ゴールドくらいだったよな? おいおい、一回のクエストでその15倍ってうますぎるだろ。毎日緊急クエスト発令されろよ。
「え? 5000ゴールドって少ないくないですか? 私もシュウタさんとギルドマスターと一緒にドラゴンと戦ったんですよ。抗議します」
「ネイスさんは一緒について行っただけで特に役に立っていたわけではないと報告を受けてるのですが……」
「誰がそんな報告したんですか? まさかギルドマスターですか?」
やめてくれよ。俺にまで聞こえるような声で報酬にケチをつけるのは。実際ネイスはついてきただけで何も役には立ってないだろ。5000ゴールド貰えただけでもありがたいと思って受け取っておけよ。
「ギルドマスター、俺の報酬をちょっとネイスにあげてくれよ。文句言って騒いでるみたいだからさ」
「シュウト君がいいならこちらとしては構わないが、わかった。少し待っててくれ」
ギルドマスターはネイスが文句を言っている受付のお姉さんのところへ行き、耳打ちをした。
「ネイスさんすいません。5000ゴールドではなく50000ゴールドでした。一桁見間違っておりました。どうぞお受け取りください」
「ありがとうございます。やったぁ」
50000ゴールドを受け取ったネイスは嬉しそうに列から離れて行った。
ありがとうギルドマスター。おかげでネイスの機嫌はかいふくしたようだ。
しばらく、ほかの冒険者たちの報酬の受け取りが続いた。
いくら、Bランク以上の冒険者に限るとはいえ、大量の冒険者でごった返していたので報酬を配り終えるまで1時間程度を要した。
その間俺は、ぼぉっと立っていただけである。くそ暇だった。
「よし、みな受け取りはすんだな。それでは最後に今回の討伐クエストの立役者のシュウタさんに報酬を渡そうか」
律儀にほかの冒険者たちのほとんどは自分の報酬の受け取りがすんだにも関わらず残っていたので。ここでもさらに歓声が起こった。
俺も100000ゴールドくらいは貰えるんだろうか? いや、ドラゴンを倒したんだもっと貰ってもいいくらいか。でもあんまりもらいすぎても使い道がなくて困るな。いっそネイスに全部あげるか? それは流石に甘やかしすぎだな。
ギルドマスターの正面にたち、報酬を受け取る準備は万全だ。さあ、いくらくれるんだ?




