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45話

「……きて、起きてよ」


 誰かに揺さぶられているような感覚で目を覚ました。

 目を開けると、ネイスがもう起きていて俺を揺さぶりながら起きるよう促していた。


「うん? ……俺は寝過ごしたのか?」


「ううん、まだ早朝だよ。でも、今日は昨日の報酬が貰える日なんだよ? 朝早く起きて冒険者ギルドに向かわなくちゃ。私たちが一番について一番報酬貰うんだよ」


 待ってくれ。早朝だと……まだいつもなら絶対に寝ている時間帯じゃないか。いくら報酬でテンションが上がってるからって俺までおこさないでくれよ。それに俺が一番報酬をもらうことなんか確定事項だろ。


「一回落ち着くんだネイス。はやく行ったところで報酬は増えはしないぞ。それどころか冒険者ギルド側の準備が整っていなかったら待つことになる。それじゃ、時間の無駄だろ? ほら、いい子だから二度寝しようぜ」


「何言ってるの? 私なんて今日が楽しみすぎて二時間前には起きてるんだよ。結構待ったほうだと思わない? 早く行くよ」


「それはいくらなんでも早すぎるだろ。その二時間何してたんだよ。もっと時間は有効に活用しようぜ」


「もちろん、昨日の私の雄姿を振り返ってたんだよ。ついでに反省点もしっかりまとめておいたかあ次の戦闘ではもっと役に立って見せるから」


 第一、今回の戦闘ではまったく役に立ってないんだがな。これを言うとまた怒られるので今回は大人の俺が黙っておいてやろう。


「はあ、なんか二度寝するような気分じゃなくなったな。絶対にまだ早いとは思うが今から準備して冒険者ギルドに向かうか」


「うん!! 私は先にご飯食べてくるからシュウトお兄さんも急いで来てね」


 それだけ言い残して脱兎のごとく部屋を出て行ってしまった。


「はや。金の亡者度合いがとどまることを知らんな。もう少し慎みを覚えてくれよ頼むから」


 俺も顔を洗い、歯磨きを済ませ、食堂へと向かった。




 昨日とはメニューの違う朝食を食べ、すぐに出かけることとなった。


「今日もおいしかったね。ほんとここの宿に決めた私はセンスの塊だと思わない? どう?」


「そこに関しては割と感謝してるぞ。ネイスの記憶力にはかなり助けられてるしな。これからも道案内はネイスの仕事だからちゃんと道を覚えとけよ。俺は五回は通らないと記憶に残らないから期待しないでくれ」


「もう、何も考えてないからでしょ。覚えようと思って歩いてたらシュウトお兄さんもきっと覚えられるよ」


「やだ、めんどくさい」


 なんで俺がいちいち道を記憶しながら歩かないといけないんだよ。俺には瞬間移動があるんだぞ。これさえあればどこへだって一瞬、道を覚えておいて向かう必要なんてないんだ。目的地さえわかればいいんだから楽だよな。


「そんなんじゃいつまでたっても道に迷っちゃうよ。少しは覚えていかないと」


「やだ、俺には瞬間移動があるからそんなことする必要ない」


「そうだけど。結局瞬間移動だって移動する場所を覚えてないと意味ないよね? 冒険者ギルドの場所覚えてる?」


「当たり前だろ。確か……こっちだ」


 俺は確信を持ち、冒険者ギルドの方角を指さす。

 それくらい俺だって覚えてるんだよな。流石に舐めすぎだ。


「惜しいね。こっちだよ」


 ネイスは俺とはほぼ180度違う方角を指さした。

 いやいや、まさかそんな馬鹿な。冷静になって考えてみるがやはり俺の指さした方角が正しいはずだ。ネイスのやつまさか俺をひっかけさせてだまそうとしてるな? はっ、そんな簡単なひっかけにだまされる俺じゃねぇんだ。


「いいや、こっちだね。だまそうってったってそうは行かねぇぞ。俺の記憶力を舐めすぎだ」


「何言ってるの? なんでシュウトお兄さんをだます必要があるのかな。シュウトお兄さんが指さしてる方角には冒険者ギルドはないよ。ましてや、この町に来てからそっちに行ったことなんてないんだけど……」


 嘘だろ……。顔がどう見ても冗談を言っているようには見えない。まさか本当に俺は意味のわからない方角を自信満々に指さしていたとでもいうのか?


「だから、道くらいは覚えようって言ってるんだよ。これじゃ、いくら瞬間移動できても目的地にたどり着けないよね?」


「でも俺は今まで自分の行きたい場所に瞬間移動できてたぞ? あれ? なんでだ?」


 よく考えてみると、毎回俺は生命力感知で反応を感知しつつ場所を決めてたからそのおかげか。そうだよ、俺には無敵の能力があるじゃないか。ちょっと時間はかかるが道何て覚える必要ないんだ。


「えーと、そういえばこの町に来た時もなぜかうまく瞬間移動できてたよね。どうして?」


「俺が探知魔法で場所を決めてから瞬間移動してたんだ。だから、道何て覚える必要なんてねぇ」


「そうだったんだ。じゃあ、シュウトお兄さんは一生瞬間移動で移動するんだね? すごい楽しくなさそうだな」


 楽しくないだと? なぜだ、目的地に一瞬で着くんだぞ。まさか、その過程を楽しむとでもいうのか? 歩きながら向かうことで道中にある店を見つけることができるとかそういうことが言いたいのか?


「まあ、私がいるから大丈夫だよ。このくらいはきっちこなすから。ほら、冒険者ギルドはあっちだから行くよ」


「わかったから引っ張るなって」


 ネイスに引っ張られながら冒険者ギルドに向かった。

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