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4話

 おそらく神様の指示通り強力な魔物を倒したはずなので、これから俺は好きに暴れさせてもらおうと思う。一匹魔物を倒したら、一回暴れる。実にバランスがいいではないか。これから何をしてもいいのかと思うと心が踊る。


「まずは、生命力の反応が多い町を目指してみようか。しょぼい村にいきなり現れて大暴れしたころで残念感しか生まないよな」


 周囲の生命力を探るために、俺は目を閉じた。


 割と近くに強い生命力の反応が点々としている。しかし、今の俺には関係のないことだ。魔物を倒すのはクリアしたからな。次に魔物を倒すのは俺が大暴れした後だ。

 おれは雑魚反応が集まっているところを探した。


「見つけたぞ。何個か強い反応も混じっているが、ほぼ全員がただの人間に違いない。数も適度に多くていいだろう。まずはここに決めたぞ」


 目的地を定め、また足に力を込める。

 いや、待てよ。またこの移動方法を使ったら着地の余波だけで町が壊滅してしまうんじゃないか? それは流石に味気ないな。もっと、こう目立ちつつ、衝撃を抑える方法はないものか? でもいくら衝撃を抑えたとしても時間がかかってしまうんじゃ意味がないんだよな。素早く移動できて、人も殺さない。そんな移動方法はないのか? 


 洞窟を走り抜けたように目的地まで走るか? いや、あれも周囲への影響は計り知れないだろう。音を置き去りにするほどのスピードだったのだ、近くに人が居たりしたらひとたまりもないだろうな。さっきみたいに飛んでいくのは論外だしな。着地をゆっくりにすればいいのか? 無理だな。さっきもパンチの衝撃でスピードを打ち消したわけで俺自身が空を飛べるわけではないからな……うん? 待てよ。なんで俺は自分が空を飛べないと思い込んでいるんだ? 鳥だって空を飛べるのに最強の力を手に入れている俺が空を飛べないわけないじゃないか。


「ふんっ!!」


 気合いを入れて、空を飛ぶイメージを頭の中で浮かべる。

 すると、俺の体は音もなく重力に逆らい浮遊した。


「なんだ、楽勝じゃないか。ちょっとイメージするだけで飛べるなんて拍子抜けにもほどがあるぜ。よっしゃ!! これでひとっ飛びだ」


 シューーーー!!! ゴゴゴーーーーー!!!


 すさまじい勢いで空を飛び出した俺は慌てて停止する。


「なんだよこれ。走るよりも比べものにならないくらい早いじゃないか。こんなので飛んで行ってたら危険すぎるだろ」


 止まってまた音が追いついてきた。

 自分自身には聞こえていなかったがとんでもない爆音だ。一体俺は何になっちまったんだよ。規格外にもほどがあるだろ。今まで何一つとしてやろうと思ってできなかったことなんてないぞ。それどころがすべてが想定を軽く凌駕した水準だ。


 もうこれだったら瞬間移動すらできる気がする。瞬間移動なら誰を傷つけることもなく町へ到達することができるだろう。流石にできないかもしれないが試してみるだけ試してみようか。できなかったとしても今後のためにはなるだろう。一度試しておくのも悪く無い。


 目を閉じて、集中する。そして、先ほどの生命力が集まっていた場所を思い浮かべて、呪文を唱えた。


「しゅんかん、いどぉぉぉぉーーーー!!!」


 自分でもあほみたいだなとは思うがふざけてみたい年頃なんだ許してくれ。


 すると、周囲の景色が一瞬にして変わった。


 俺が作ったクレーターのど真ん中にいたはずが、周囲に建物が立ち並ぶ町へと移動していたのだ。


「おいおい、マジでできちまったよ。もう俺は全知全能なんじゃないかってレベルだな。できないことを探すほうが難しいだろ」


 どうやら俺は大通りのど真ん中に移動してきたらしく、周囲を歩いていた何人かは異常なことが起きていることに気が付いているようだ。


「見て!! いまあの人急に現れたわよ!!」


「俺も見てたぞ!! 何者なんだあいつは」


「信じられない、人が急に……」


 最後の人は驚きのあまり気を失ってその場に倒れこんでしまっていた。

 まずいな騒ぎになる前にここから離れようか。いやなぜ? 俺は暴れに来たんだろうが、せっかくのチャンスを棒に振ってトンずらするなんてありえんだろ。ここは盛大に花火っぽい魔法でも打ち上げてこいつらの気を引いてやろうかな。


「そりゃ!!」


 手のひらを頭上へかざし、何かを飛ばすイメージで力を解き放った。


 ごぉぉぉー!!!! ボォォーーン!!!!


 高く打ちあがった俺の炎魔法のような何かは轟音と熱風をまき散らし、上空で爆発した。


「「「「うわわあぁぁぁぁーーーーーー!!!!!」」」」


「「「「きゃぁぁぁーーーー!!!!」」」」


 俺に気が付いていなかった人間どももこの爆発には気が付いたのか、悲鳴をあげながらパニックに陥っていた。

 なんて気持ちいいんだ。いま、この場は俺が支配している。こいつらがいくら泣き叫ぼうが俺の気分次第じゃすぐお陀仏だ。そうだ、俺はこれがやりたかったんだよ。


「な、なんなんだ貴様は!? 一体何が目的だ!?」


 腰をぬかして地面にへたり込んでいる30代くらいのおじさんがおびえながら問いかけてきた。


「何が目的かって? なんなんだろうな? 俺にはわからねぇわ」


 とりあえずうざかったので、おじさんを消滅させた。

 おじさんを包むように力で握りつぶしたのだ、跡形も残るわけもなく、ただ、何もない空間だけが残った。


 あ、つい殺しちまったな。そういえば人を殺したのは初めてだ。特に何も感じないな。

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