33話
風呂上がりで綺麗になったネイスも加え、今後の作戦会議を行う。
俺としてはさっさと高難度のクエストをクリアしていき、がっぽり稼ぎたいところだ。
「うーん、そうだね。クエストの難易度を明日から急に上げるのは難しいと思うよ。まだ、ギルドマスターからのシュウトお兄さんの処遇についても回答なんて来ないと思うし。しばらくは今日と同じようなクエストをこなしていくことになるんじゃないかな?」
「それだと金が稼げないじゃないか。いくら魔石を持って帰れば追加報酬が貰えるからってちまちま稼ぐのなんて性に合わなねぇ」
「駄々こねないの。シュウトお兄さんだって、無駄に注目を浴びるのは嫌なんだよね? だったら、今はおとなしくしておくしかないよ」
なんでこの俺様がリザードマンみたいな雑魚モンスター狩りをしなきゃいけないんだよ。俺はあのくそじじいからの指令もあって強いモンスターを狩らないといけないんだぞ。まあ、そんな急いでモンスターを狩りまくる必要はないんだろうけどな。あのじじいだって許してくれるだろう。今だってモンスターを狩っていることには間違いはないのだから。
「まったく気乗りしないが、このまま低難度のクエストをこなしていかなくちゃいけないってことか? 勘弁してくれよ」
「しょうがないよ。私だってシュウトお兄さんの真の実力についてはわからないんだよ。冒険者カードの能力値なんて参考にしかならないんだから。リザードマンじゃ実力を測るには役不足だったね」
「当たり前だろ。せめて、あいつらの1000倍は強いモンスターじゃないと話にすらならないな」
暴れたりないせいか無性にむしゃくしゃしてくる。
俺が我慢しないといけない理由がわからない。
「ほら、今日はもう寝ようよ。明日も朝から冒険者ギルドに行ってクエストを受けなくちゃいけないんだよ」
俺の寿命も相当長いんだろうし、気長に行くしかないのか……。
「わかった。今日はもう寝るとするか。それじゃあ、ベットは好きに使ってくれ
ネイスにベットを譲り、俺は床で寝ようと転がろうとした。
「ちょっと待ってよ。私さっきも言ったよね? シュウトお兄さんを床で寝せて一人でベットを使うなんてできないよ。ちょっと狭いかもしれないけど一緒に寝よ?」
服の裾を引っ張られ、寝転がるのを止められる。
そういえばそうだったな。なぜかはわからないが、ネイスは俺が床で寝ることをよしとはしてくれないんだ。
だって、このベットに二人で寝るのはどう考えても狭いじゃないか。
「いいから、ネイスも狭いって思ってるんだろ? 俺のことは気にしなくていいからベット使ってくれ。俺は床だろうが地面だろうが関係なく寝れるから」
「だから、ダメだって。なんで私がベットでシュウトお兄さんが床で寝るの? せめて反対だよ。どうしても一緒に寝るのが嫌だって言うなら私が床で寝るからシュウトお兄さんがベットで寝ていいよ」
「どうしてそうなるんだよ。別に一緒になるのが嫌って言ってるわけじゃないぞ。ただ、ネイスに気を使ってやってるんだ」
なぜか引き下がらないネイスに半ば呆れながらもベットで寝るように諭す。
しかし、どう頑張ってもネイスがベットで寝ることを譲るようには思えないな。
「私に気を使う必要なんてないよ。スラムで生活してた時はベットなんて一回も使ったことないよ。いつも硬い地面で寝てたんだから」
「はあ、わかったよ。どうしてもダメだって言うなら、一緒に寝るか? それならいいんだろ?」
「もう、早くそういってよね。助けてもらった私が一人だけいい思いできるわけないんだから」
結局ネイスに負けて一緒に寝ることになった。
今のネイスは今日買ってきた服ではなく、この宿が貸出している浴衣のような寝間着姿だ。それも、風呂に入ったおかげでぼさぼさだった髪も綺麗になっているし、汚れているという印象は一切受けない。ただの美少女と化している。俺がもしも前世のままだったら、大いに緊張したことだろう。緊張で一睡もできずに明日の朝を迎えることになっていたかもしれない。だが、今の俺はそんな感情は湧いてこない、鋼のメンタルなのだ。いくら隣にネイスが寝ていたとしてもまったく動じずに寝ることができるはずだ。
「シュウトお兄さん、もう少しそっちに詰めてください。これじゃ、私がベットから落ちるよ」
「これ以上壁に寄ったら、俺は壁に密着して寝ないといけないじゃないか。狭いのはわかってたんだから少しは我慢しろよ」
「うう、無理なら。私たちがくっつくしかないね。ちょっと恥ずかしいけど大丈夫かな」
そういうと、ネイスが一層密着してきた。というか、ほぼ抱きついてきているようなものだこれは。なんでこんな狭い部屋にしたんだよ。服に使う予定だった金もあったのに二人部屋にすればよかったんだ。
「それじゃ、明かりを消すよ。おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
ネイスが明かりを消したあと、流石に少しは眠れないかと思っていたがそうはならず、俺はあっという間に眠りについた。




