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32話

 部屋に着いた俺たちはひとまず部屋の広さを確認する。


 ガチャっとドアを開け、中へと入る。


「案外広いね。これなら二人でも余裕だよ。よかったねシュウトお兄さん」


「え? どこが? 普通に狭いだろ。これで二人とかおばさんも狭いからやめとけって言うわ」


「贅沢言っちゃダメだよ。私なんていつも押し入れみたいな場所で過ごしてたんだからね。それに比べればこの部屋なんて天国だよ。ベットもあるんだよ? 最高だね」


 スラムで育ったネイスからしてみれば快適な空間なのかもしれないが俺からしてみればただの狭い一人部屋だ。

 これが価値観の相違ってやつか。育ってきた環境によって人はこうも変わるんだな。


「節約してお金を貯めなくちゃ。きっとお金が必要になる時が来るはずだよ。今から備えてれば負担も減っていいことづくめだよね」


「まあ、もうこの部屋で決まったから今日のところは我慢するしかないな。俺は床でも寝れるからネイスがベット使ってくれ。ベットでなるの楽しみにしてたんだろ?」


「シュウトお兄さんも一緒に寝ればいいよね? これくらいあれば二人でも落ちたりしないと思うよ?」


 ベットの狭さを心配して床で寝ようとしてるわけじゃないんだよな。俺は、ネイスが女の子だから気を使ってやってるんだよ。なんとも鈍感というか無頓着というか。


「そんなことは後でいいから飯食いに行こうぜ。おばさんも飯がついてるって言ってたしな」


「そうだね。もう夕飯の時間だし、私もおなかすいちゃったよ」


 俺たちは一階へおり、おばさんから食堂の場所を教えてもらった。


 夕飯は庶民的な感じの料理で質素な割に美味かった。流石は宿の飯だな。しっかりと美味い料理を提供してくるのにはかなり好感が持てるな。これなら、明日もここでいいかもしれない。明日の朝飯も楽しみだ。




 飯を食い終わったので、部屋へと戻る。


「おいしかったね。私こんなにおいしいものばかり食べてて大丈夫かな? もう昨日までの生活に戻れそうもないよ」


「戻る必要ないから心配するな。ネイスだって立派に冒険者としてクエストをこなしたじゃないか。ネイスの魔法はなかなかのもんだったぞ」


「ありがとう。でも、私はシュウトお兄さんのおかげで冒険者になれたし、まだ生きてられるんだよ。これからは恩を返すつもりで頑張るよ」


 そういえば、最初あった時は死にそうな感じだったもんな。

 今にも餓死しそうなほど弱弱しかったし、俺が飯に連れて行くときも歩けるような状態じゃなかったな。

 飯を食うだけでここまで回復するんだから、飯の重要さがよくわかるな。


「それじゃ、私はお風呂に入ってくるよ。浴場も一回にあるって言ってたから、シュウトお兄さんもお風呂行くよね?」


「ああ、俺もちゃんと風呂に入っとかないとな。なんだかんだ昨日は野宿だったから風呂入ってないし」


 俺たちは部屋を後にし、一階の浴場に向かった。


 もちろん、男女は別だ。

 浴場はそこそこ広く、温泉って感じだった。軽く泳げそうな広さだな。

 長風呂するタイプでもないので、サッと体を洗い、温泉に使ってすぐに出た。


「数日ぶりの風呂は意外に気持ちよかったな。おっと、風呂上がりのコーヒー牛乳はないのか?」


 きょろきょろと脱衣所の中に自販機でもないかと探したが、残念ながらそれらしいものはなかった。

 異世界なので自販機はないにしても冷たい飲み物くらいは置いてあってもいいのにな。


「しょうがない。部屋に戻るか」


 コーヒー牛乳を諦めた俺は、部屋へと帰った。




 部屋に戻ってきたが、流石にネイスはまだ戻ってきていなかった。


 ネイスも女の子だもんな。風呂には時間がかかるだろう。俺なんて多分10分も入ってなかったんじゃないか? 


「明日はどうするかな? また、モンスターを討伐に行ってもいいが、俺たちのランクじゃまたリザードマンの討伐になるだろうな。早く、ギルドマスターから連絡がくればもっと上のランクのクエストにも行けるんだろうがそうなってしまえば目立つのは避けられないしな……それか、リザードマンの討伐に行って、ついでにほかのモンスターも狩りまくるか? そうすれば、魔石も大量にゲットできて報酬が上乗せになるよな」


 魔石を大量に持って帰ってくる新人冒険者とかおかしいか。無駄に目立つことになるな。適度に持ち帰ろう。少し余分に倒しちゃったっていいわけできるくらいが最適だな。モンスターに出くわして戦闘になったとか言っておけば問題ないだろう。


 ガチャ。


 俺が考え込んでいるとネイスが戻ってきた。


「シュウトお兄さん戻ってたんだ。まあ、私のほうが汚れてたし時間がかかるのは当たり前かな」


 ドアの方を見ると、風呂上がりのネイスが視界に入る。

 なんだ? 髪が綺麗になっていてまるで別人だ。あの店員が可愛いって騒いでなのがよくわかるな。髪がぼさぼさな状態でもかなりかわいかったがこりゃまたあの店員に服貰えそうだな。


「どうしたの? 私まだ汚れてる?」


「いや、まるで別人だなと思ってな」


「そうかな? しっかり髪も洗ったからそのおかげかな」


 こりゃまた別の要因で目立つことになるんだろうな。

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