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3話

 ああ、この光が消えたら俺も異世界か。なんだか感慨深い気持ちになってしまうな。これからは大暴れして滅茶苦茶人生エンジョイしてやるぜ。


 周囲を覆っていた光が消えていく。

 さぁて、まずはなにから壊してやろうかな。いっちょ派手に城とかいいかもしれないな。まあ、そんなことしてしまったら国から指名手配されてしまうんだろうが、俺からしてみればそんなことどうってことはない。無敵の力を手に入れている俺には怖いものなんてないのさ。


 完全に光が消え、視界に入ってきたのは薄暗い空間だった。

 目が光に慣れてしまっていたせいかよく見えない。それでぼんやり見えるのだから視力も大幅に強化されていることは間違いないだろう。


「ここはどこだよ? どこかの家の中か? それにしては明かりがないのが腑に落ちないな」


 暗闇に目が慣れ、もう一度周囲を見渡すと……どうやら、洞窟のような場所にいるみたいだ。もしかしたら、どこかの地下ってこともあり得るかもしれないが。


「おいおい、あのじじいなんてところに俺を転生させてるんだよ。最初はど派手に町を壊滅差せてやる予定だったってのによ。まさか、俺の考えを読まれてたりしないよな? 俺が暴れられないよう、こんな洞窟に転生させてたりは……流石に考えすぎか」


 じじいにはめられたんじゃないか一瞬不安になったがかなりあほそうだったし問題はないだろう。たまたま、あのヘンテコ儀式でここが選ばれてしまったに違いない。でもまあ、最初は魔物退治でもしてやろうか? 初手に暴れるのも芸がないよな。


「この洞窟にボスモンスターみたいなのがいれば手っ取り早いんだけどなぁ……そう都合よくもいかないか。さっさとここを脱出しようか」


 俺は、右手に力を貯め、まっすぐ解き放った。


 ズガガガガーーーーーー!!!!!!


 俺の右手から放たれたエネルギーの塊は洞窟の壁をまるで無視して飛んでいくかのようにまっすぐ飛んで行った。


「お、適当にやってみたにしてはうまくいったな。これはマジで最強の力を手に入れてるわ俺」


 大穴が空いた壁を俺は高速で走り抜ける。


「早い、早い、早いぜーーー!!! ハハッ、こりゃ気持ちいいな。風を切る感触がたまらねぇ!!」


 音速を優に超え、なおも加速する俺はダッシュの余波でさらに壁を削りながら、走り続けた。


 外の明かりが見えたので俺は急停止した。

 

 シューーーー!!!!

 

 音が俺に追いつくことができず、俺が足を止めて数秒してから風を切るような音とともに突風が吹き荒れた。


「もう外かよ、もう少し走ってたかったぜ。さあ、これからどうするかな? まずは、強力な魔物を討伐するにしても居場所がわからないと話にならないからな。そうだ!! 探知系のスキルも使えるんじゃないか?」


 どうやって使えばいいのかよくわからないがそれっぽい感じで目を閉じ、集中してみた。

 すると、周囲に存在している者たちの生命力と言えばいいのだろうか? それが手に取るようにわかった。俺からどのくらい離れているのか、力の程度はどのくらいなのか。自分の力はそこが知れないのでわからないが、ひとまず一番近くの巨大な生命力を有する個体にあたりをつけた。


「まずは、こいつからやっちゃいますか。人間だってことはねぇと思うから……なんで確信をもってそう言えるんだろうな。なんだか不思議な気分だぜ。これも力の恩恵ってことか。痛い思いをした甲斐があったってもんだな」


 また走るんじゃつまらないから今度は空でも飛んでみるか。


「うううりゃーーーーー!!!!」


 地面を渾身の力で蹴り飛ばした。


 ボゴーーーーン!!! ガガガーーーーー!!!


 蹴りの威力はすさまじく、俺は先ほどの走るのとは比べものにならないスピードで空を駆けた。

 ふと、後ろを見ると、そこが見えないほどの大穴が空いていた。


 はは、ありゃやべぇな。そこの見えない穴を空けてしまう蹴りってなんだよ。やばすぎるだろ。なんか笑えてくるな。それに、力は入れたがあくまでも飛ぶようであり、攻撃用で放った訳ではないのにあの威力だ。もし俺が本気で攻撃を放ったら、この星はどうなってしまうんだろうか? また一つ楽しみができたな。これは俺も命がけでの挑戦になるから、最後の楽しみに取っておこうかな。


「それにしてもはえぇーー!! これならあと5秒で目的地に到着だ」


 心のなかでカウントダウン。

 ゼロになったタイミングでブレーキをかけるために前方に向かってパンチを放った。


 完璧な力加減で放たれたパンチの威力で俺は一瞬、空中でぴたりと静止した。

 すぐに重力が働き、俺は自由落下を開始する。

 先ほどまでのスピードと比べればごみのようなものだが、案外楽しいもんだ。


 ドオォーン!!!


 隕石が落下したのではと思うほどの爆音を上げ、俺は地面へ着地した。

 当然無傷である。普通の人間だったら、木っ端みじんに砕け散っているとことだが、あの高いところから飛び降りたときに足に来る感じも一切ない。もはや俺に死角はない。


「確かこのあたりだったよな。どこに居やがるんだ?」


 再度、魔物を探すために感覚を研ぎ澄ます。

 すると、どういうわけか反応がきれいさっぱり消えてしまっていた。


「なんでだ? 間違いなく反応はちょうどここだったぞ。一体どうなってるんだ……待てよ、ちょうどここ?」


 ふと、足元を見ると、半径50メートルはありそうなクレーターができていた。

 俺が魔物の頭上から降ってきたとしたならばどうだろう。この威力で肉片すら残さずに消えてしまったのではないだろうか?


 まあ、いいか。討伐数1ってことでいいだろ。てか、これで倒せるんだったら、今までの移動の余波でとんでもない数の魔物を屠ってそうだけどな。よっしゃ目標達成だ。次は暴れるぞ。

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