27話
「ひどいよ、私を置いて行こうといるなんて。リザードマンの魔石を持って帰らなくちゃクエストをクリアしたっていう証明もできないんだよ?」
「おっと、そりゃ困るな。ちゃんと拾ってきたか? 別に置いて行こうとか思ってなかったんだけどな、ただ帰りたいって気持ちが勝ったというか……」
「それを置いて行ったって言うんだよ。もちろん、魔石はしっかり回収してきたよ。私に抜かりはないからね」
まさか、ここまで怒らせることになるとは。俺は先に歩き出した程度のものだと思ってたんだがネイスにこう言われちゃ置いて行った同然か。
帰り道も歩いて帰るつもりなんだろうか? 記念すべき初クエストを瞬間移動で楽をするのはお気に召さないらしいもんな。
「ネイス、帰りはどうするんだ? 俺としては早く帰りたいから瞬間移動使いたいんだけどさ。やっぱり初クエストだから歩いて帰るか?」
「うーん、どうしようか。確かに私も疲れたし……よし、瞬間移動で帰ろう。町の近くまで瞬間移動で移動してそこからは歩こうよ。あんまり早く帰ってきてもおかしいから」
「了解。それじゃ、早くこっち来て俺につかまれ」
ネイスが俺の服をつかんだのを確認してから、俺は瞬間移動の移動先を探す。
来るときに通った道は開けていていきなり人が現れたらすぐにバレてしまう。そう考えると、城門の周りだろうか? 門があるところじゃなかったら人もいないだろうしな。
俺は移動先を絞り込み、瞬間移動を発動する。
「ほら、着いたぞ。ここなら、誰にも見られる心配もないだろ?」
「へ? ほんとだ。これ数回程度じゃ到底慣れそうにないよ。なんだか不思議な感覚だね」
「そうか? 俺は最初から違和感なく使えてたぞ」
「シュウトお兄さんが特別なだけだよ。私だって結構適応できてるほうだと思うよ」
瞬間移動を使ったあとの感覚に違和感なんて覚えたことがないからな。急にそんなこと言われても何もわからない。
一息ついて、周囲を見渡してみるが、俺の予想通り人影は見当たらなかった。
誰にも見られてないな。見られていたら排除しないといけないからめんどくさいんだよな。ネイスになんか言われそうだし。
「門の方に行くか。できるだけ近くにしたつもりだからすぐそこだと思うぞ。もう少しで俺も金が手に入るな。まずは何に使おうか?」
「今日の宿代と夕飯代だよ。それと、私に服を買ってくれるっていたよね? 私はこれでも構わないけど、シュウトお兄さんは目立つの嫌何でしょ」
「そうだった。俺の記念すべき初クエストの報酬は一体いくら残るんだろうか? もっとぱあっと、いろいろ使えるぐらい稼ぎたかったな」
そんなこといっても無駄なのはわかっているのだが、愚痴でも言わないと俺の気持ちはおさまらない。
大体ネイスが居なければ服に金を使うことなんてないんだ。いや、ネイスが居なかったらそもそも冒険者なんてなってねぇわ。ここは我慢してまたクエストをこなしていこう。
俺たちは冒険者ギルドへと戻ってきた。
時間も夕方になっているのでクエストを終えた冒険者たちでごった返している。ものすごく鬱陶しい。
「おいおい、なんでこんなに冒険者がいるんだよ。俺たちが来た時なんてこの半分もいなかったぞ」
「しょうがないよ。今は混む時間帯なんだからさ。朝と夕方が冒険者ギルドの混雑する時間なんて常識だよ。クエストを受注するのと、クリア報告をしに来る冒険者たちでいっぱいになるんだから」
「はあ、それじゃあの列に並ばないといけないのか。ネイス、一人で並んできてくれよ」
「またそんなこと言ってるの? シュウトお兄さんも一緒にクエストを受けたんだから一緒に来ないと。クエストクリアしたことにならなくても知らないよ」
そりゃ、俺も一緒に並ばないとダメだよな。なんとか、この列に並ばなくてもすむ方法はないのか?
全員が列に並んでたら大混雑するのは当たり前だろ。代表者一人でここはいいだろ。
「そういえばこのクエストって報酬はいくらなんだ? クエスト受けるときに書いてそうだけど」
「4000ゴールドですよ。あれ? 私言ってなかったかな? 結構報酬がいいから選んだんだけど……」
「聞いた記憶ないぞ。どうなんだ4000ゴールドあれば宿代と服は足りそうか?」
「相場はよくわからないけど、贅沢しなかったら十分足りる金額だと思うよ。だから、私もこのクエストを選んだんだからさ」
4000ゴールドってことは一人頭2000ゴールドか、それでボスである俺が9割頂くからネイスが実際に貰えるのは400ゴールドだな。
まあ、必要なものに当てて残った金しか俺の手元に入ってこないんだけどな。
列に並び、待つこと十数分。
俺たちの順番になり、無事報酬の4000ゴールドを受け取ることができた。
魔石を専用の機械に読み込ませることでモンスターの種類がわかるらしい。
それにしても冒険者ギルドには便利な道具がそろってるな。討伐対象以外の魔石も一緒に買い取ってくれるらしいので次からは見かけたモンスターは狩りつくそうと心に決めた。




