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25話

 とてつもなくもったいないことをしていたことを図らずも知ってしまった俺は大いに気分を害していた。

 最悪だよ。俺が今まで倒したモンスターは国を滅ぼすことができるようなレベルのモンスターばかりのはずだ。そいつらの魔石だぞ? とんでもない高値で売れたに決まっている。ああ、くそが、考えても無駄だ。また倒してくればいいじゃないか。あんなやつら俺の相手じゃないんだから。


「モンスターが魔石になるって言うのは結構常識的なことなのか? 俺は今初めて知ったんだが……」


「え? 本気で言ってるの? 常識中の常識だよ。冒険者じゃない人に聞いても知らないなんていう人いないってば、シュウトお兄さん一体どこからきたの?」


 おいおい、マジかよ。あのくそじじい、それくらいの説明はあってもいいだろうがよ。

 無駄にくそ長い儀式ばっかりしやがって重要なことを伝えてねぇんだからな。モンスターの討伐を命令しておいて、そのモンスターを倒した後のことは何も教えてないって何なんだよ。むしゃくしゃしてきたな。


「まあ、遠い田舎から出てきたんだよ。まだ、この国の常識はわからなくてな。特に気にしないでくれ」


「そうなの? わからないことがあったら私に聞いてね。スラムで培った知識なら教えてあげられるからね」


「すまんな。よろしく頼む」


 ついつい、気分が悪かったので、ネイスを殺してしまいたいという衝動を何とか抑え込み、何気なく、返事をする。

 ここで、ネイスを殺したところで俺の気分は晴れないし、時間をかけてまで助けた意味がなくなってしまう。それよりもクエストの続きだよ。そっちのほうが重要だ。早いとこあと2体も討伐して町に戻りたい。


「シュウトお兄さんどう? 近くにまだリザードマンはいそうかな?」


「ちょっと待て、今探してるから……ダメだ。それっぽい反応はないな。少し山を登るか」


「そうだね。このあたりにいないとなると、上を目指すしかないかも。大丈夫、リザードマンはレアモンスターって訳じゃないからすぐに見つかるよ」


 俺の感知に引っかかっているモンスターどもはどいつもこいつも上の方をのんびりと歩いている様子だ。麓には冒険者たちも来やすいから基本的にモンスターは少ないんだろう。討伐されればそりゃ数も減るよな。


「まだ体力は大丈夫か? 疲れてたりするんだったら、俺が一人で行って速攻2体狩って来るが?」


「私は体力ないわけじゃないからね。スラムで生活してたんだよ。筋力は身についてないかもしれないけど体力にはそれなりに自信あるんだから。まだ全然平気だよ」


「そうか? それなら、さっさと行くぞ」


 出会ったときのように今にも倒れてしまいそうな感じは一切しない。

 まるで別人のようだな。外見は薄汚れたぼろ雑巾みたいなままなのに不思議だ。表情やら雰囲気やらでかなり印象は変わるもんなんだな。俺もネイスの汚れたままの恰好があんまり違和感なくなってきたもんな実際。でも、早く服を買ってやらないと、町では目立つから困ったもんだ。


 俺たちはリザードマンを探し山を登った。

 とはいえ、本格的な登山という程ではなく、ほんの少し坂を登った程度だ。

 少し標高も上がったので、モンスターが俺の感知に何匹も引っかかる。


「ネイス、このあたりで十分そうだ。周囲に10体近いモンスターがうろついてるぞ。今度は騒がないように気をつけろよ」


「だから、さっきのはシュウトお兄さんが私をおどかしたせいだからね。囲まれたら、困るんだから今度は変なことしないでよ」


「俺が二回も同じことするわけないだろ。そんな芸がないことできるか。やるにしても別の方法でやるから安心しろ」


「どこに安心できる要素があるの? やり方を変えたらやっていいとか言ってないからね」


 二回も後ろだ!! とか言っても引っかからないだろし、次はまた違う驚かし方を考えないといけないな。


 それにしても、こんなに一気にモンスターが増えるもんなんだな。麓にはほとんど反応がなかったってのに、ほんとにしょぼい反応はいくつか感知していたが、明らかにリザードマンではなかったもんな。流石に反応が弱すぎる。おそらく、スライムか何かだろうな。


「大丈夫? このままここにいたらモンスターに囲まれたりしない?」


「そんなへましねぇよ。それに、まだ俺たちはモンスターどもにバレてるわけじゃないんだからこっちに向かってやってくるわけないだろ?」


「リザードマンはその中に居そう? もしいたら、リザードマンだけ倒して早く撤退しようよ」


「ちょっと待て。やってみるから」


 今までの単に生命力を感知するものから、モンスターの種類が特定できる感知へと切り替えを試みる。

 どうやったら、いいのかわからないので、それっぽいイメージでやってみたところ、感知していたモンスターたちの中から、リザードマンが識別できるようになった。どうやら、一度戦ったモンスターはわかるようになったみたいだな。ほかの反応はまだモンスターの種類はわからない。


 周囲をうろついていた反応からリザードマンを4体見つけた。右の方に2体、左後方に2体だ。さあて、どっちを殺してやろうかな。


「わかったぞ。あっちと、あっちに2体ずついるぞ」


「わかったって、シュウトお兄さんの探知魔法でモンスターの種類までわかったってこと? 何それ、すごすぎるよ。まさか本当にできるなんて……」


 自分でいったんだろ。ない驚いてるんだ。この俺にできないことなんて存在しないってそろそろ学べよな。

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