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21話

「長い時間拘束しちゃってごめんなさいね。ギルドマスターから本部へすぐに連絡が行くと思うから気長に待ってて。それじゃあ、これで登録は一応終了だから。いい冒険者ライフを」


「ああ、サンキュー。俺は別にネイスと同じEランクスタートでもよかったけどな。また何かあったら言ってくれ」


 問題を後回しにしたような感覚が残っているものの、一通り終わったみたいだ。

 これから、モンスターを討伐するだけでお金が貰えてしまうボーナスタイムへと突入だ。激熱だ。


「シュウトお兄さん、早くクエストを受けよ? まだ、今日中に終わらせて戻ってくるくらいならきっと大丈夫だよ」


「そんなに急がなくても平気だぞ? 俺には瞬間移動があるんだからな。どこへだろうと一瞬、帰る時も一瞬だ。まさにチートだな」


「ほんとだ、でも急がないと宿とかを取ったりする時間もいるんだよ。どちらにせよ急がなくちゃ」


 宿を取るか、昨日野宿したのがまるで嘘のようだな。一切の不快感も抱かずに、荒れた大地へ寝転がっていた俺は大分おかしなことをしてたんだろうな。

 今日はふかふかの布団で寝れると思うと今からわくわくしてきたぜ。それに腹は減らないが、味を楽しむことができることを発見したおかげで飯も楽しみだ。


「ネイス、なんか適当なクエスト選んでくれ。俺がいるからどんな強いモンスターでも構わないぞ。報酬重視で選んでくれ」


「そんなことしちゃって大丈夫? 私たち今日冒険者になったばっかりの新米だよ? さっきの登録のお姉さんとギルドマスターにはシュウトお兄さんの力がバレてるからいいけどほかの人にはまだ知られてないんだよ。すっごい目立つことになると思うなぁ」


「今のなしで、適当に目立たない程度に行こう。報酬はできるだけいいものを選べよ」


「うん、わかった。ちょっと物色してくるね。といっても私もモンスターに詳しいわけじゃないから過度な期待はやめてね」


 楽しそうにクエストが張られている掲示板の方へ小走りで向かっていった。

 危ない危ない、ネイスに言われてなかったら、問答無用で最難関クエストを受注してしまうところだったぜ。そんなことをすれば、またギルドマスターが出てくるだろうな。そして、ギルドマスターは俺の力を知っているから、クエストを受けさせてくれたりしてな。無謀だからやめておきなさいとか言ってくれた方が目立たないのか? いや、ギルドマスターが出張ってきてる時点で手遅れか。


「おい、あんちゃん。見ねぇ顔だな。もしかして新入りか?」


「ドリュージさん。こいつさっき冒険者登録してやしたぜ。なぜか奥の部屋に入って言ってやしたが……きっと訳アリですぜ」


 ネイスを待っている間にへんてこな二人組に絡まれてしまった。

 先に声をかけてきたでかいほうが偉そうな雰囲気を出してるな。

 普通に考えれば、初心者の俺をいびりにでも来たと考えるのが自然だ。うざいが、ここで暴れてたらダメだ。我慢だ我慢。


「俺らがいい狩場を教えてやろうか? 初心者はいきなり身の丈に合わないクエストに行っては痛い目にあってるのをよく見かけるからな」


「流石兄貴。誰にでも優しい!! 男の中の男でやす」


 うん? 見かけによらずいいやつらなのか? もしかして初心者の俺を心配して声をかけてくれた優しい冒険者なのか?


「悪いが、連れにクエストを選ばせててな。一応あまり難しくないクエストをって言ってあるから大丈夫だ。気を使ってくれたのにすまない」


 我ながら、嫌味にならないように返答できた自信があるぞ。これなら、気を使ってくられこの二人にも感謝している感じも出るし完璧だ。


「お? そうか。まあ、あんちゃん。困ったことがあればいつでも俺に声をかけてくれよ。俺はBランク冒険者のドリュージだ、これからよろしくな。それで、こっちがプボルンだ」


「俺っちにも頼ってくれてもかまわないでやすぜ。こう見えても兄貴と俺っちはこの町じゃそこそこ名の知れた冒険者でやすから」


「ありがとな。是非困ったことがあったら頼らせてもらう。それと、俺はシュウトだよろしく頼む」


 まさか、いきなりこんないい冒険者たちと交流を持つことになるとはな。俺のどこが運が雑魚なんだよ。いや、まてよ、運が雑魚の俺がこんな親切な人たちにめぐり合うものなのか? ダメだダメだ、せっかく親切にしてくれた人を疑うなんて……やば、適当にそれっぽいこと言ってみたがなんの罪悪感もないわ。


「それじゃあなシュウト。初クエスト頑張れよ」


「頑張るでやんすよ」


 二人は俺に手を振りながらギルドから出て行った。

 いい人たちだったが、俺からしてみれば本当にどうでもいいことだったようだ。まるで、心が動かない。だましに来てるんだったらこれは完璧な心の持ちようなのかもしれないな。そうだな、あいつらはきっと俺をだまして金でも奪うつもりなんだろう。


「シュウトお兄さん。いいクエスト見つけたよ。私がEランクだから、ギリギリ受注条件をクリアしてるから、難易度もそこまで目立つほどじゃないと思うな。見てみて」


「ほう、どれどれ……」


 俺は、ネイスからクエストの用紙を受け取った。

 そこにはリザードマン5体の討伐と書かれていた。

 あ、これ一瞬で終わるやつだ。

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