20話
「こんなでたらめな能力値ありえないわ。普通だったらSでも相当珍しいのに、SSSなんて……」
「ずるいですよ、お兄さん。強いって言ってたけどまさかこんなに強いなんて。でもここまで強いならすぐに冒険者としても大成功できるね」
「だから言ってただろ、俺の力を舐めるなって。まだまだこんなものじゃねぇからな。SSSなんて能力値におさまるようなレベルだと思ったら大間違いだぜ」
冒険者カードの限界を超えていることを考慮すれば俺はSが100個は並ぶレベルの能力値を持っているに違いない。
それに俺には、瞬間移動をはじめとして、自分がしたいことをなんでもできる力が備わっているんだ。こんなカードごときで測られるような力じゃないんだよ。
でも、知能と運はカードの範囲内ってのが癪だな。このカードを作ったやるを殺しそうか? どれどれ、知能D、運E……見ただけでわかるなこりゃ。カスみたいな能力値ってことか。
「シュウトさん。これは私の手にはおえないわ。一度ギルドマスターを呼ぶからここで待ってて貰ってもいい? すぐに呼んでくるから」
「ああ、早くしてくれよ。俺たちはモンスターを討伐して金を手に入れなくちゃいけないんだからな」
お姉さんは受付の後ろの扉を開け、消えていった。
ギルドマスターとか出てくるのかよ。めんどくせぇな。別に冒険者には、金を稼ぐこと以外の目的でなったわけじゃないから大事にされても困るんだおよな。俺がSランク冒険者を目指してるとかだったら、ここでギルドマスターにアピールしていいランクから始めさせてもらったりもしたんだろうが、生憎そのつもりは一切ない。
「お姉さん、行っちゃったね。目立っちゃってるけど大丈夫? お兄さん。いや、シュウトお兄さんって言ったほうがいいかな?」
「そういえば、俺もさっきお前の名前知ったんだったな、ネイス。ずっとこいつとか言ってたから名前も聞いてなかったな。まあ、俺のことは好きに呼んでくれて構わないぞ」
「うん、それじゃ、シュウトお兄さんって呼ぶから。あまり大事にならないといいね」
正直、水晶で能力値を測るって言われた時からある程度のことは覚悟してたからな。どう考えても俺の能力値はぶっ壊れてるからなにか起きるだろうってな。
ガチで水晶割れるんじゃないかと期待してたがヒビが入るだけだったな。地味に悔しい。
「ごめんなさい。シュウトさん。それに、ネイスちゃん。ここで話すのもなんだからギルドマスターの部屋に案内しろって言われちゃって。ちょっと来てもらっていいかしら?」
「そうだな。ここで話すよりは目立たずにすむかもな」
「ありがとう。ギルドマスターが待ってるからこっちへ」
俺たちはお姉さんについて、奥の部屋へと進んだ。
奥には廊下があり、いくつかの部屋があった。
その一つに俺たちは通される。ドアに思いっきりギルドマスターって書いてあったからここがギルドマスターの部屋なのだろうな。
「は、初めましてシュウト君。よくぞ我がギルドへ君を歓迎するよ」
40代後半から50代前半くらいのおじさんが部屋で待っていた。
俺を見ると、少し緊張した様子で挨拶をしてきた。
いくらギルドマスターとはいえ、俺みたいにぶっ飛んだ能力値を見るのは初めてなんだろうな。当然だろう。俺みたいなやつがゴロゴロ存在していたら生命力感知に引っかかってないとおかしいからな。モンスターでそれなりに強い奴らはいたが、人間と思しき反応なんてどれもたいしたことなかったしな。まだ、世界中に感知を広げる前だったからもしかしたら、数人くらいはましな奴がいるかもしれないが。
「念のため冒険者カードを見せてもらってもいいかね。私も聞いただけでは信じられなくてね」
「構わないぞ。好きなだけ見てくれ」
そういうと、俺は右のポケットにしまっていたカードを取り出し、ギルドマスターへ渡した。
自分の目で見ないと信じられないってのはしょうがないことだ。なんせ俺という存在自体がでたらめみたいなもんだから。
「ありえない。こんな能力値あり得るはずがない!! いや、でも冒険者カードが不具合を起こすことはもっとありえないのか……」
「マスター、私も同じ気持ちです。念のためもう一度測定を行いましょうか? 水晶はヒビが入ってしまってますので今度は予備のもので」
「いいや、その必要はない。カードと水晶が不具合を起こすことは決してあり得ない。ここに書かれていることはまぎれもない真実なのだよ。にわかには信じられないがね」
なんなんだこの冒険者カードに対する圧倒的信頼は。
でも、あんまり何回も測定させられるはめんどくせぇからありがたいが……めんどくさいからといってここで暴れてしまえば、金を手に入れる方法が消えてしまうってのが難点だ。
「本来の規定ではシュウト君はAランク冒険者として登録するべきなのだろうが……どうしたものかね。この能力値は明らかにSランク冒険者すら凌駕してしまっている。だが、Sランク冒険者になるためには一定の偉業を成し遂げてないければならない」
「どうしましょうマスター。ここは一度本部へ報告したほうがいいのでは?」
「そうするほかあるまいか。すまない、シュウト君。君の力は私の手にも余るようだ。一度ギルド本部へ報告させてくれないか? もちろん、ランクを保留にするだけだから今日からクエストを受注してもらって構わない」
本部へ報告か。また面倒なことになったな。クエストを受けれるっていうなら問題はないか。
「ああ、ランクに興味はないが、どうしても報告しなくちゃならないっていうならいいぞ。俺は普通に討伐をこなしてるから」
「すまない。ありがとう。それでは、またランクが決まり次第連絡させてくれ」
こうして俺とネイスはギルドマスターの部屋を後にした。




