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17話

 見事に瞬間移動に成功した俺はラッキータウンの路地裏へとやってきた。やはり俺には瞬間移動の才能があるらしい。今なんて、座標を指定するまでにかかった時間はコンマ何秒の世界だろう。もう少し訓練すればノータイム瞬間移動を習得できそうなレベルだ。そうなれば、どんな危機的状況になったところで俺にはピンチになりえないということだ。そもそもこの強さでピンチになることなんてないだろうが、今みたいに、金の問題とかの時にすぐに逃げれるから便利だとでも思っておこう。


「お兄さん、私のことを抱きかかえてる場合じゃないよ。早くお金を払って謝ろう? 騎士団が来ちゃうって」


 俺に抱え上げられじたばたしていたこいつはどうやら俺が瞬間移動したことに気が付いていないみたいだ。一緒に瞬間移動したやつに気づかせないほど違和感のなさはもう瞬間移動マスターといってもいいだろう。


「おい、よく周りを見てみろ。どこに騎士団が来るって言うんだよ」


「え? お兄さん何言ってるの? ……あれ? お店の中じゃなくなってる?」


「やっと気が付いたか。これも俺の力の一部だぞ。何が起こったかわかってないようだから説明しておいてやるが、さっきの店からこのラッキータウンまで瞬間移動したんだ。あ、ラッキータウンってのは俺がこの町の名前知らないから勝手に言ってるだけだからそこはあんまり気にするなよ」


「ちょっと待って。意味が分からないよ。瞬間移動なんてそんなふざけたことできるはずないよ」


 できるはずがないって言われてもだな。簡単にできてしまうのだからしょうがないだろ。むしろ、この世界で俺にできないことを探すほうが困難だわ。


「今やって見せてやっただろうが。それが事実だ、できるはずないとかじゃねぇよ。現に店から路地裏に来てるだろ?」


「確かに、そこは説明が付かないけど……それに、こんな場所私も知らないよ。ほんとに、違う町まで一瞬で移動したの?」


「だからそういってるだろ。俺の瞬間移動だって。これがあるから、お金なんて準備する必要なかったんだ。絶対につかまることもないし、完璧だからな。食い逃げ最高だわ」


 ついカスみたいなことを口走ってしまったが、お金を持っていなくて、絶対に逃げられる手段がありますってなったら、誰でも食い逃げを洗濯するよな。俺だからやったってわけじゃないよな?


「ダメだよ。お金はちゃんと払わなくちゃ。あの店の人たちに迷惑かけることになっちゃうよ」


「いや、お前だってスラム街にいたころは食料盗んで生活してたんだろ? 全然人のこと言えねぇじゃねぇかよ。俺だって金がなかったんだしょうがないだろ?」


「うぅ、私は生きるのに精一杯で……」


 盗みにいい悪いなんてものはないんだ。どんな理由があれ、盗みを働いた時点でもれなく犯罪者だ。しかし、俺はただの犯罪者じゃないぞ。完全犯罪者なのだ。確実につかまることがない。よって、俺は犯罪者ではない。


「まあ、お前が盗みをしてたとかはどうでいいんだよ。これからも金がなかったらこの手法で食い逃げする予定だからちゃんと覚えとけよ」


「ダメだよ。これからは冒険者になってちゃんと稼いだお金でご飯を食べなくちゃ。せっかく稼いだお金を使わないで食い逃げするだなんて許されないよ」


「ああ、はいはい。俺がお金持ってたら払ってやるよ。俺も払いたくなくて払わなかったわけじゃないからな」


「約束だよ。私みたいに不幸な人をうまいないようにできることはやらなくちゃいけないからね。次したら、許さないから」


 こいつに許してもらう必要はどこにもないんだけどな。かといって殺すわけにもいかない何とも面倒だ。

 まあ、金が有り余って仕方ないって状況になったらいくら俺でも飯代くらいは払ってやるよ。むしろ、倍の値段を払ってやってもいいな。


「それじゃ、この町で冒険者ギルドとやらを探すか。それでいいんだよな?」


「いいよ。私はこの町はわからないから役に立たないと思うけど、どこに冒険者ギルドがあるかの目星くらいはついてたりする?」


「まったくないぞ。俺だってここには飲食店を探しに立ち寄っただけで、すぐに町から出てしまったからな。どこに何があるかとかはさっぱりだ」


 そういえばこの町にも飲食店を探しに来たんだったな。俺、滅茶苦茶食い意地張ってるみたいになってるけど、別にそういうわけじゃないからな。腹も減らないし。


「それじゃあ、今回も私の勘の出番だね。うーん? あっちかな」


 ガキは路地裏から出て右のほうを指さした。絶対に適当ってことはわかってるんだが、さっきの勘は当たっていたことを考慮して今回は一応いう通りにしてやることにした。これで本当にあってて反対に行ったりしたら時間がとんでもなくもったいないからな。


「冒険者ギルドを目指して出発だな。お前も少しは役に立てよ。戦闘とかでは役に立つ必要はないから雑用的なところで頼む」


「任せてよ。スラムで培ったスキルを存分に発揮してあげるから」


 こうして俺たちは冒険者ギルドを探して歩き始めた。

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