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14話

 これだけ飲食店があったらどこに行くか迷っちまうな。

 外観から推測するに、あそこは質素な感じの定食屋と見た、あっちは高級そうだから寿司だきっと。お、あっちは見るからにファンキーだからインドカレーだろう。はは、絶対ちげぇわ。


「お兄さん、何か食べたいものはあるの? 私は字が読めないからなんて書いてあるかわからないや。役に立たなくてごめん」


「俺は美味けりゃ別になんでもいいぞ。まずかったら暴れちまうかもしれんがな。それと金額は気にしなくていいぞ。我に秘策ありだ」


「本当に? それだったら私はお腹いっぱいご飯を食べてみたいな……でも私だけこんなに幸せな思いをしてもいいのかな?」


「そんなこと気にするなよ。お前は自分から行動したから、今俺と一緒にいるんだ。それだけで十分だろ」


 お腹いっぱい食べたいと来たか、俺も今なら無限に食えるんじゃないか? 腹が減らないということは満腹中枢もバグってるだろ。吐くまで食っても何も感じなかったりしてな。いや、味も感じなかったら最悪だ。それだけはないことを願おう。


「とりあえず、今日はここにしようか。なんか見た目が美味そうだ」


「うん。で、ここはなんのお店なの? 看板はあるけどなんて書いてある?」


「いや、見てない。完全に外だけ見て今決めた。ほら、料理でも見た目は重要だろ? そこに気を使ってるところは大抵美味いと俺は思うんだ。だからここにした。それ以外に理由はない」


 チラッと看板を見ると、ドンゴラスと書かれていた。

 これは料理名じゃなくて、店の名前だろう。看板に店の料理名を書いてある店なんて見たことねぇからな。前世でも看板と言えば店の名前だったし、アピールしたい料理があるなら、旗でもたててるだろ。


 このままこいつを抱えて店に入るのも目立つので、店の前で一度降ろした。


「ほら、流石に店には歩いて入れよ。もう、飯は目の前だ、気張れ」


「それくらいは頑張るよ。ここで力尽きるなんてあんまりにも無念だしね。まだ、ご飯を食べてないのに死ねないよ」


 ガラガラと引き戸を開け、店内へ入る。


「いらっしゃいませ!! お客様2名様ですか? え?」


 店員らしきお姉さんがガキを見た瞬間、表情を曇らせた。


 結構露骨に反応するもんなんだな。やっぱりスラム街にいるような奴は来てほしくないのか?


「失礼ですがお客様。お連れ様はもしかしてスラムから連れてきたんじゃありませんか?」


「スラムってなんだよ。さっきどぶに落ちて汚れてるだけだ。気にするな」


「ですが……ほかのお客様の迷惑に……」


「うるせぇな。気にするなって言ってるだろ!! 早く案内しろよ。ちゃんと金は持ってんだからな」


 金なんて持ってないが、てか持ってても払う気ないがな。

 それにしてもめんどくさい店員だ。こいつも仕事だからしょうがないのかもしれないが、あんまり俺に小言を言ってたら命はないってところを見せとかないといけないか? まあ、今日はバーサクモードじゃなかったのを幸運に思うんだな。


「わ、わかりました。こちらへどうぞ」


 観念したのか、店員は俺たちを店内へ案内した。


「こちらにお願いします。また、注文が決まりましたお呼びください。それでは、失礼します」


 窓際の端の席に案内したのは少しでもほかの客の目に入らないようにするためだろうか? まったくしょうもないことしやがって。俺が窓際の席が好きじゃなかったらどうなっていたことか。本当にいろいろ考えて行動してほしいもんだ。


「お兄さん……ごめんなさい。また迷惑かけちゃって、やっぱり私汚いよね?」


「ああ、汚いな。そんなに気にしなくてもいいだろ。どうせ、今日ここにいる奴らなんて二度と会うことないんだからな。どう思われようがなんの意味もない。気にするだけ無駄だ」


「そうなのかな。うん、それじゃあ、気にしない」


 どうせ、俺の瞬間移動でまた違う町へ行くんだ。いちいちこんなことで気にされても面倒だ。てかこいつもいつまで生かして置くかわからないしな。俺の気分次第ですべて決まるんだ。でもまあ、すぐに殺さなくてもいいかな。


 おっとそうだった俺たちはここに飯を食いに来たんだった。

 雰囲気からしてファミレスみたいな感じか? ハンバーグとかあったりするのか? パスタとかもありそうな感じだな。


「見て見て、見たことない食べ物ばっかりだよ。うわぁ、どれも美味しそうだなぁ」


 メニューを広げ、一人ではしゃいでいる。こうしてみると、結構かわいいのかもな。服はぼろ衣で髪もぼさぼさだけど。大事なのは外見じゃないもんな。いや、外見は大事だわ。


 俺もメニューを見てみる。あ、字が読めないこいつも横に絵が載っているからわかるってことか。確かに実際に見れた方がいいよな。異世界にしては気が利くじゃないか。


「ねぇ、お兄さんはどれにする? 先に決めていいよ」


「そうだな。それじゃ俺はこの一番人気って書いてるやつにするか。一番人気だ、はずれってことはないだろ」


「確かにそれも美味しそうだね。じゃあ、私もそれにするよ」


 なんだ、同じのにするのかよ。別に食い比べをしたかった訳じゃないから別に構わないんだが。


 俺は先ほどの店員を呼び、注文を済ませた。あとは料理が来るのを待つだけだ。

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