表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/81

12話

 このガキを連れてきたのはいいんだが、俺も金がないのだ。食い逃げするにしても俺一人なら逃げられるか? いや、瞬間移動すれば二人で逃げられるんじゃないか? まだほかの人を連れてってのはまだ経験がないが、俺なら問題なく行けるだろう。


「お兄さん、何を食べに行くの? 私のことは気にしなくていいよ。好きな食べ物選んでいいよ」


「ああ? この町で食い物屋って言ったら何があるんだ? 俺もさっき来たばっかりだからな。何があるかわからないんだが、どうするんだ? お前はわかるのか?」


「え? 私もスラムからほとんど出たことないから、行ったとしても近くの食べ物を売ってるお店から盗んでたくらいだよ……どうするの?」


 質問に質問で返すんじゃねぇよ。早めに殺されたいようだな。俺がわからないんだからお前が探すのは当然のことだろうがよ。使えん奴だな。


「お前が探せよ。俺が探すのは意味わからんだろ」


「ええー、お兄さんも探すの手伝ってよ。私だってよくわからないんだから」


「ああもう、ひとまず大通りに出るぞ。ここにいたところで飯なんて絶対食えないんだからな。ほら、早く行くぞ」


 俺はそういい、路地裏から出るために歩き始めた。

 だが、後ろにガキがついてきている気配がなかったので、振り返ると、ガキが座り込んでしまっていた。

 おいおい、どうしたんだ? 俺はまだ何も手を下してないぞ。倒れるようなことが起きたのも俺は見ていない。ということは、足を滑らせたか、つまずいたかでこけただけか。まったく、いらない心配かけやがって。


「何してるんだよ。早く来いよ。置いてくぞ」


「……待って……おなかが減って動けない……」


 は? 確かに腹が減って死にそうとは言っていたが、そこまで切羽詰まっていたとはな。

 でもここで置いて行くわけにも行かない。とはいえ、俺は飯をもっているわけでもない。どうすればいいんだ? ここまで何か飯を買ってきてもってくるか? それだと、時間がかかるかもしれないな。もういっそ、見殺しに……いやいや、そんなことをすれば今までの時間がすべて無駄になってしまう。俺が無駄な行為をしたという事実が許せん。却下だ。


「ほれっ、手を出せ、引っ張ってってやるよ」


「ほんと? ありがと……」


「なんだったら抱えてやろうか? そんなことで目立つのは嫌だな。やっぱり何とか自分で歩け」


 ガキが差し出した手を取り、引っ張って立たせる。

 驚く程に軽いが、これは俺の力が強化されていて強いのか、それともやせ細っていて軽いのかどっちなんだろうな? きっとどっちも要因としてはあるんだろうな。


「頑張って歩くよ。でもゆっくりお願い、いくら引っ張ってもらっててもきついから」


「わかったよ。癪だが今はお前のペースに合わせて歩いてやる。こんな俺が優しいことなんて滅多にないんだぞ。ありがたく思えよ」


 ガキの歩くペースに合わせて、ゆっくりと歩き出した。

 それにしてもゆっくり過ぎてストレスだな。この世界に来ての俺の移動といえば基本的に音速を超えていたからな。それに比べれば止まっているのと大して変わらないだろう。遅く感じるのも無理はないか。


「もう少し、早く歩けないのか? これじゃ、飯を食うまで何時間かかるかわからないぞ。お前が先に体力が尽きて死んじまいそうだ」


「ごめんなさい。これでも精一杯歩いてるんだよ。これ以上は命に関わるよ」


「じれったいな。もう抱えるぞ。よっと」


 ガキを片手でひょいっと抱え上げた。これは本来ちっちゃい子を抱えるときにするようなものだろうが、俺の力があればこのくらいのガキでも余裕だ。大体こいつは何歳なんだ?


 ビックリしたのか少し身構えているが、自分で歩くよりも格段楽なのかすぐに落ち着いていた。少し荒くなっていた呼吸も正常に戻っている。


「そういえばお前何歳なんだ? やけに軽いし、ちっさいが」


「どうだろう。14歳か15歳くらいじゃないかな。誕生日もわからないし、ちゃんとした年齢もわからないや。スラムで大体みんなそんな感じだよ」


「え? それじゃ俺と3歳くらいしか変わらないじゃないか? てっきり12歳くらいかと思ってたぜ。こんな抱えたりするような年齢じゃなかったな」


 これが前の世界だったらと思うと、あれだな、中学3年生を抱っこしている高校生の図になるわけだ。違和感が半端ないな。


「大丈夫だよ。歩くのもきつかったから、逆にありがとう。ちょっと恥ずかしいけどここには私のことを知っている人もいないし、私が知ってる人も似ないから」


「そういう問題なのか? まあ、気にしないならこっちのほうが早いからこれで行こうか。どこら辺に飲食店が固まってるとかもわからないのか? それだけでもわかれば進む方向が決まるんだが」


「多分、あっちだと思うな。私がこの町で生活してきて培われて勘があっちだって言ってるよ」


 なんとも信用ならないな。まあ、行く当てもないからとりあえずは従っておくけどさ。違ったときは覚悟してもらおうか。といってもまだ殺す気はないんだけどな。


「それじゃ、気を取り直して、飯を食いに行くか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ