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1話

 俺の人生はつい今しがた終わりを告げた。

 一体全体俺が何をしたって言うんだよ。こんな目に合わなくいちゃ行けないんだ? 

 体から流れ出す血が勢いを弱めることはなく、命を燃やし尽くした。






「よくきたのう。お主は死んだのじゃ。ここは死後の世界なのじゃ」


「おじいさんは何者ですか? 俺は死んでなんて……」


 さっきのトラックにはねられて光景がフラッシュバックする。

 信号を無視して交差点に突っ込んで目の前に現れた大型トラックに俺はなすすべもなく引き殺されたのだ。その間、俺には抗うことすらできず、ただ迫りくるトラックを呆然と眺めていた。


「思い出したかの? ずいぶんショッキングなものじゃったぞ。よく即死せずに持ちこたえたものじゃ。そのせいで余計に苦しむ羽目になったともいうがの」


「思い出したよ。おじいさん。俺は確かにトラックにはねられて死んだんだ」


「なんの罪もないおぬしが理不尽に命を奪われたことはわしからしてみても思うところがあってじゃな。今回は特別に異世界へと転生させてやることにしたのじゃよ」


 なんだって? 俺が異世界に転生だと? そんな話になっていたのか?


「ちょっと展開が早すぎてついていけてないよおじいさん。もう少しわかりやすく説明してくれよ。」


「そうじゃのぉ。まあ、おぬしは死んだからかわいそうじゃなと思ったわしが救済してやろうというこのなのじゃ。しかし、ちょっとばかし異世界は危険での、スーパーチートで最強な力を授けてやるから安心するのじゃ」


「おお、ありがとうおじいさん。危険な世界ってところだけを聞いたら、ぶん殴りたくなるけど、最強になっての転生だって言うんなら俺も大歓迎だ」


 これはとんだ棚ぼただ。死んでしまったのはつらいし、悲しいけど、今までの人生にはそれほどの未練を感じていない。パッとしない人生だった。何をやっても平均以下それどころか、落ちこぼれだ。すべてが平均以下の男としてさげすまれる日々だった。そんな人生に終止符を打ってくれたのは少し感謝かもしれないな。いや、そのまま死んでたら感謝とか感じるわけもない、ただひたすらの憎しみだけだ。


「具体的にはじゃの。魔物と呼ばれる危険な奴らが巣食っておるんじゃ。そこにおぬしには転生してもらうんじゃが、せっかくだしの、魔物退治でもしてもらおうかと思ったんじゃ。そうすればわしからしてみてもメリットのあることじゃしな」


「最強だったら、魔物なんかにやられなりしないんだよな? 異世界で魔物退治なんて誰もが一度はあこがれる展開じゃないか。おじいさん、俺に任せてくれ。俺がすべての魔物を駆逐してやるよ」


「おお、その意気じゃ。早速、おぬしに力を授けようと思うんじゃが、1つだけ問題があっての。脳に多大な負荷がかかる都合上、精神崩壊を引き起こす可能性があるんじゃ。それでもおぬしは力を望むか?」


 なんだって? 精神崩壊? そんな危険な副作用があるだなんて聞いてないぞ。でも、最強の力を授かるために代償を払う展開にはちょっと胸アつだな。ここでひよったってしょうがないんじゃないか? 男だったらここで華々しく散るくらいの覚悟で挑むべきなんじゃないのか? どうせ今までの人生はゴミみたいなものだったんだ。ここで行かなくちゃまた同じような人生を送ることになってしまう。そんなのはもう嫌だ。俺は生まれ変わってイケイケの人生を送るんだ!!


「覚悟を今決めました。俺にその能力をください。絶対に精神崩壊に抗って見せます。どうせ、能力がなくちゃ魔物がいる世界で生きていけないんだ。一思いにやってください」


「いい覚悟じゃ。それじゃあ、行くぞい。はあぁぁーーーー!!! きえぇぇーーー!!!」


 途端におじいさんが奇声を上げた。

 それっぽいポーズを取ったり、変顔をしてり、やりたい放題だ。もしかして俺はおちょくられているんじゃないだろうか? このおじいさん、実は対して力ももっていないんじゃないだろうか? そんな不信感にかられるほどに胡散臭さしかない。


「へやっかあああぁぁーーーー!!! とれもなこぉぉーー!!」


 いや、もういいよ。おれの周りを儀式のように歩き、変顔とへんてこなポーズを決めまくる。これで俺は強くなれるのか? そんなわけないだろう。いくら何でも無茶苦茶だ。


「もうおじいさん、やめてくれ。ふざけるんだったら最初から期待なんてさせないでくれよ」


「はあ、はあ、はあ、何を行っておるのじゃおぬしは……大事な儀式の最中なのじゃぞ。ダメってじっとしておくんじゃ。こぉぉーーー!!!」


 もううんざりだ。おじいさんは汗だくになりながら懸命に儀式とやらを続けているが、俺には何の変化も現れていない。これで強くなれるんだったら、俺だって今頃スーパーマンのような力を手に入れていないとおかしいじゃないか。時間がかかりすぎだっての。


「これでしまいじゃぁぁあーーー!!!」


 そういうと、おじいさんが最後に決めた。

 次の瞬間――とんでもない頭痛が襲ってきた。


「いたいいたいたいたいたいたいーーー!!!」


「来たようじゃな。耐えるのじゃ、それに耐えられなければ力を手にすることはできぬぞ。その激しい頭痛に打ち勝った先にこそすべての能力が授かるのだ」


「ああああーーー!!!」


 尚も頭痛は続く、頭が割れそうなほどに痛い。こんなの耐えられるはずがない。

 ついに俺は耐えられなくなり、地面に転がった。しかし、頭痛の波は衰えるどころか激しさを増す一方だ。


「助けてくれーー!! もう無理だーー!!」


「気をしっかりもつのじゃ。まだまだこんなものじゃないぞ」


 俺の頭痛はこの後しばらく続いた。

 気を失ってしまっていた俺が目をさました。

 なぜか妙に心が軽い気がする、それに力に満ち溢れているような……


「起きたか? 喜ぶのじゃ。見事に成功じゃ、おぬしは最強の力を手に入れてたのじゃ」


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