ジョードプルにてー新ミッション
〈ジョードプルにてー新ミッション〉
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・弦eyes
サヤはノリノリで精神世界に戻った。
うむ、罰としては失敗だったか?
ぼくの肩にはフリーズしたように半透明で固まったサヤがいる。
こうしておくと、簡単にこちらに戻って来れるそうだ。
とりあえず、ぼくは鈴さん達のテーブルに戻った。
「弦太さん、今晩、あの宮殿のレストランにみんなで行こうって誘われたんだけど、どう?」
ぼくが座ると鈴さんが聞いてきた。
「宮殿ってあの?」
鈴さんが頷く。
ジョードプルには、まさに『マハラジャ』と呼ばれる存在の子孫がいて、今でも大金持ちだそうだ。
そのマハラジャは今でも宮殿を所有し、ホテルとしても使用している。レストランのみの利用も可能だ。
「貧しいインドばかりでなく、豪華なインドも見るのも悪くないかもね。」
『マハラジャ』の世界も覗いておくべきかもしれない。
「でも、問題があって。高級ホテルでもあるからある程度のドレスコードがあるんじゃないかと。」
「そうなんだ。オレも詳しくは知らないけど日本の感覚でもTシャツではまずいだろ?」
「そっか、鈴さんは何か着れそうな服はある?」
鈴さんは首を振る。
「どんなのがいるんだろ?」
タラチャンに聞くと考えながら答えた。
「ジャケットとか襟付きのシャツかな。藤はこの前仕事の時着てただろ。あとは、クルタパジャマとか?」
「パジャマ?」
「寝間着じゃないぜ!クルタ・パジャマ。パジャマはズボンって言う意味だ。まぁ、寝間着のパジャマの語源だぞ。」
「女性は?」と鈴さん。
「女性はサリーとか、かな。」
民族衣装を買って着替えまでして行くかどうか。
サリーねぇ・・・悪くないかも、と鈴さんが呟く。
「弦さん、私は着てみたい。それにお父さんの写真の場所にも興味がある。ちょっと大変だけど、一緒に行ってくれないかな?」
「民族衣装を着るのも面白いかもね。行ってみようか。」
「服代も含めるとけっこうなりそうけどいいのか?」
「大丈夫です。旅はこういうことが醍醐味です。」
「そうだな。俺も楽しくなってきた。」
ぼくらが盛り上がる中、只一人タラチャンが残念そうに呟いた。
「はぁ、では今日の夕飯はここで食べないのか。残念だ。」
藤さんが笑って言った。
「じゃ戻ってきたらここでビールでも飲むよ。だからしっかり冷やしておけよ!」
「OK、たくさん冷やして待ってるよ!!」