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驚きの事実なんですが?

54

 片井くんが落ち着くのを待って俺たちは城の中に入った。

 王都は魔物に襲われて陥落したと聞いていたワリに城も被害が少ないらしい。


「ねぇ、片井くん。どうなってるのかいい加減教えてくれない?」

「ん? ぁあ……なんて言えばいいのかわからないからな。時屋さんに聞いてくれ」


 何がどうなってるのかまったくわからず、説明を求めてもこの調子だ。

 仕方無しに片井くんに案内されたのは正面の階段を登ってすぐの扉の先、謁見の間とでも言うべき部屋だった。

 中央にはまっすぐと伸びる赤絨毯が敷かれ、左右の床は白い大理石が広がっている。

 本来なら正面に2つ並べられた椅子には偉そうな王様がふんぞり返っているのかもしれないが、座っているのは若い1人の男だった。

 ボリボリと頭をかきむしりながら、椅子の前に急拵えで置かれた机に山積みされた書類に悪戦苦闘しているのが見て取れる。


「時屋さん、ちょっといいですか?」

「ん? どうしたの片井くん」


 片井くんに声をかけられた男は手を止めて顔を上げる。

 これといって特徴のない男だった。


「実は、行方不明で探してもらってたクラスメイトが見つかったんです。状況が知りたいらしいんですけど、俺はうまく説明できそうにないんでちょっと時間もらっていいですか?」

「おぉ、おぉ! 見つかったの? よかったじゃない。うん、いいよ」


 どうやらクラスメイトたちは男――時屋さんとやらに俺の捜索をお願いしていたようだ。

 迷惑をかけたようで申し訳なく思う。

 時屋さんはそんな俺が見つかったと聞いて心底歓迎した様子で頷いた。


「君が柳野くんだね? はじめまして。俺は時屋ときや 瀬能せのう、君たちの前にこの国に召喚された勇者だ」

「はじめまして柳野……え!?」


 俺達の前に召喚された勇者!?


「ははは、驚いた? 君はこの世界のことを他の子より知ってるみたいだね」


 勇者召喚は3年に1度、俺達の場合は2年経たずに召喚されたが、前回召喚された時屋さんはそれでもこの世界で2年近く生きていることになる。

 しかも、洗脳されて命を惜しまず戦っていたのにこうして生きているということは驚くべきことだろう。


「まぁいろいろとあるけど、まずは謝らせてもらおうかな。僕がこの国を脅したせいで召喚が早まって君たちが召喚されたんだ。ごめん」

「え!? いや……あの、頭を上げてください」


 話が理解できないので詳しく聞いてみると、時屋さんは大学の講義中に召喚された人間の1人だったそうだ。

 俺のように召喚されてすぐ洗脳が解けたわけではなく、ドリンコ王国との戦争に出て戦いのさなかに崖から転落し何故か洗脳が解けたらしい。

 どうすればいいのか散々迷ったが、カクトー王国の様子を探ろうと王都に来てみると他の召喚された仲間は全員が討ち死にし残されたのは時屋さんただ1人だったそうだ。

 その時屋さんも崖から転落したことで死亡扱いされていたことを利用してこの世界のことをいろいろと学んでいったそうだ。

 一緒に講義を受けていた友人らの敵を討つために。

 そして完全に復讐の準備が整ってはいないがもう少しで完了するというところでカクトー王国の王族を恐怖に怯えさせようと闇に紛れて城の内部にいろいろとダメージを与え、ついでにこの国を滅ぼすと犯行予告を残していったという。

 その結果、恐怖に駆られた王族が俺たちを召喚したのだ。

 まさかそのせいでまだ完全に準備が整っていないのに召喚を強行するとは思っていなかったそうで、そのことは自分の責任だと謝罪されたわけだ。


「あの……俺たちが召喚された理由はわかったんですけど、なんでみんなの洗脳が解けたんですか?」

「あぁ、それはこの世界のことを学ぶ中で偶然どうやって洗脳したのかがわかったからだよ。どうやってやるのかがわかれば、どうやって解除するのかもわかるでしょ?」


 大学生ってすげぇ……

 いや、時屋さんがすごいだけか?

 少なくとも俺はそんなのまったくわからない自身がある。


「まぁ、君たちという新たな被害者が出てしまったけど、この国の人間にばれないようにみんなの洗脳を解除して、俺が復讐を決行するまで洗脳されたふりを続けてもらったわけだよ」


 なるほど……


「元の世界に戻る鍵を握るユーハを逃したのは痛いけど、今は俺の配下が行方を追っているからそのうち帰れると思うよ」


 それはありがたい。

 まさか俺が何をする必要もなく問題が解決することになるなんて思わなかった。

 俺が皆を救うんだ! (キリッ)とか思ってたのに恥ずかしい。


「ねぇ……ちょっといいかしら?」

「なにかな? 君等はいったい……」


 クラスの皆から俺のことは聞いていたようだけど、さすがに武蔵や華佗のことは知らなかったのだろう。

 今初めて彼女らに気づいたようで時屋さんは正体不明の2人が何者なのかと首を傾げている。

 そんな時屋さんの疑問を無視して武蔵は話を続けた。


「あなたがあのエンペラーオーガやオークキングとやらを飼っていた飼い主かしら?」


 ………………え!?


あと2、3話で終わりです

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