予想外の状況なんですが?
待っていた方がいらっしゃいましたら、お待たせしました。
せっかく買ったのにゲームをやる時間すらないのはどうなんでしょうかね?
短め
52
王様の好意で馬車を借りることができたので、1週間ほどでカクトー王国の王都に辿り着くことが出来た。
逸る気持ちもあったし、武蔵に担いで運ばれることも辞さない思いだったが、武蔵の助言で華佗も連れて行くために馬車での旅となった。
魔物に襲われたんだから怪我人のために華佗の力が必要になるってのは納得だ。
薬などを積み込み、魔物に襲われたと聞いたから商売になると思ったと王都の門を守っている門番には説明したんだけど、門をくぐったら彼らが苦笑していた理由がよくわかった。
王都は平和だった。
もう、そう表現する他にないぐらい平和だった。
つい数日前に魔物によって王都が陥落するほどの被害を受けたとは思えないほど通行人は普通に生活しているように見て取れる。
建物にも被害らしい被害は見当たらず、わざわざ華佗を連れて行こうと決まった怪我人の姿なんて見当たらない。
「どうなってんだ?」
城下町には一度も出ていないので顔バレはしないだろうが、黒髪を隠す理由もあって念のためにフードで顔を隠しながら王都の様子を伺いつつ呟いてしまう。
王族はみんな逃げ出したと言うし、魔物がどうなったのかは情報がなかったので分からないが、魔物の手で荒廃した様子は欠片も見当たらない。
そう思っていたら王都の中心――城に向かっていくと徐々に建物や地面に残された傷跡が見え始める。
とは言え、王都が陥落するなどという一大事が起こったとは思えないほど微々たるものだ。
「…………マジかよ……」
城の入り口を目にして、信じられない光景に思わずそう漏らす。
城の入り口に立っているのはオーガだった。
エンペラーオーガよりはるかに小さく、威圧感も比べ物にならないが見た目からしてオーガに間違いない。
いったい何がどうなっているのか。
町の中に魔物がいるというのに王都の人間は少しも怯えた様子がないのは異常だ。
「おいアンタ、城に何の用だ?」
あまりの衝撃にジッと城を見ていたのがいけなかったのだろう、何者かに怪しまれてしまったようだ。
職務質問されるのは好ましくないが逃げるわけにもいかない。
俺はフードを前に引っ張ってできるだけ顔を隠し、相手の顔を見ないようにしながら答えた。
「いえ、王都は初めてきたのでどこに行けばいいのかと思ったら……あの、お城にオーガらしい姿を見て驚いていただけです」
「なるほどな……アレはこの国の救い主の部下だ。攻撃しようとしなければ襲われないから怖がる必要はない」
救い主?
いったいどういうことだ?
「一応、フードを取ってもらおうか?」
「え?」
事情を説明してくれたし、理由に納得してもらえたかと思えばフードをとれと言われて焦ってしまう。
状況はまだ飲み込めないし、顔を見せるのは不安だ。
黒髪を指摘されたらジャポネの人間が親だと言い訳すれば大丈夫か?
チラリと声をかけてきた相手の顔を窺うとポロッと声が出てしまった。
「片井くん?」
俺に誰何してきたのはクラスメイトの片井 拳次郎くんだった。




