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一方その頃なんですが? カクトー王国編

更新再開

50

 それは突然のできごとだった。

 最初にソレを目撃したのは、その時たまたま王都を守護する壁が崩れ落ちポッカリと空いた穴の向こうに巨大な魔物の影が現れる。

 悲鳴を上げているのが誰なのかわからないほどのパニックだ。

 穴の向こうから大小様々な魔物が王都に侵入し、王都の民は我先にと逃げ惑う。

 たまたま近くにいた兵士や冒険者が魔物の波を押し返そうと奮闘するが、百や二百ではきかない数を前にしては焼け石に水とばかりに波に飲まれて消えていく。

 誰一人としてまったく予想していなかった魔物の襲撃にカクトー王国は組織立った対応もできなかった。

 それはそうだろう。

 魔物が壁を破壊して襲撃してくるなどと誰も考えていなかったのだ。

 それもそのはずで、王都の直ぐ側に森はあるもののそこに生息している魔物はゴブリンやコボルトばかりでことさら頑丈に作られている王都の壁を破壊できるはずがない。

 100年以上――いや、王都を守る壁が出来てから、王都を魔物が襲撃するなどという事態は一度もなかった事態だ。

 それがまさか今日この日に魔物の襲撃があるとは誰も考えておらず、いつもどおりに警備はおろそかにされていた。

 その結果がこれである。

 人々は逃げ惑い、まともな抵抗もできずに魔物が王都の中心である城に向かって侵攻する。

 その報告を耳にしたユーハは予想だにしていなかった事態にひどく動揺した。

 まさかここまで早い・・とは……と呟いたユーハの言葉は、幸いなことに報告した侍女の耳には届かなかった。

 焦るユーハは普段のおしとやかで完璧なお姫様の仮面も脱ぎ捨て、新たな駒が訓練している練兵場へと走った。


「……あ、姫様」

「姫様……魔物が攻めてきたって……」

「私たちどうしたら……」


 練兵場で訓練していた新たな駒、土湖鹿野高校1年4組の面々も魔物が攻めてきたという話を耳にしたのか不安そうな表情ですがるような視線をユーハに向けてくる。

 自分が戦えと命じれば死すらも厭わぬ勇敢な戦士に変貌する彼らだが、指示を出していなければ素の正確が表に出てしまう。

 この世界に召喚されてまだ2週間――20日も過ぎておらず、訓練ばかりでゴブリン相手の実戦すら未だに経験したことがない彼らには魔物はこれ以上ないほどに恐ろしい存在なのであろう。

 彼らのそんな情けない姿を見てユーハは逡巡する。

 実戦経験もない彼らはまだまだ戦力になりえない。

 王都に侵入した魔物がゴブリンなどであれば、丁度いい機会だと何人か犠牲になっても構わないからと迷うことなく戦いに向かわせたであろう。

 だが、今回王都に攻め入ってきたのはゴブリンやコボルトばかりではない。

 その多くは二つ星以上の魔物であり、ゴブリンやコボルトよりもオークなどの姿のほうが目立つそうだ。

 中にはオーガ、トロールの姿もあり、極めつけには七つ星であるミノタウロスの姿まであったという。

 間違いなく壁を破壊したのはミノタウロスであろう。

 そんな魔物までいるのだから、実戦経験もない彼らが生き残れるはずもない。

 せっかく召喚した駒を簡単に失うのは面白くないことであるし、ここで彼らを簡単に失ってしまったら次に召喚できるようになるまでの余裕があるとも思えない。


「姫! 城門に魔物が迫っております! どうかお逃げください!」


 ユーハが悩んでいると彼女の姿を目にした兵士の一人がそう叫んで城門の方へと駆けていく。

 あまりにも速いと舌打ちし、ユーハは決断した。


「あなたたちも城門に向かいなさい! その命に代えても魔物を城に入れてはだめよ!」


 そう、最悪の命令を下すのであった。


06/12の割烹でお知らせしておりますが、この作品は打ち切りエンドに向かって出発いたします。

物語として終わりになるよう区切りをつけますが、伏線などは基本的に無視しますのでご了承ください。

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