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案山子でも集まれば脅威に見えてしまうんですが?

大量の板垣さんがいたことを忘れていた。

48

 ピロシキ教官が倒れ、豚を討伐し、フィアが一命を取り留めるという一大騒動が重なった日から2日が過ぎて、ようやく俺たちはドリンコ王国王都へと帰ってくることができた。

 徒歩で。

 それはそうだろう。

 馬も御者もあの豚によってミンチより酷いことにされ、原形を留めてすらいないどころか存在が弾け飛んでしまったのだ。

 馬車はほとんど無傷で残されていたが、俺たちの誰かが馬車を引くなんてできるはずがない。

 ほぼほぼ問題が起きることのない初心者コースの遠征討伐訓練とは言え、そこは腐っても冒険者といえばいいのか、食料はきっかり2日分ではなく不測の事態に備えて4日分が馬車に積まれていたのが幸いだった。

 さすがは冒険者ギルドが用意した荷物である。

 おかげで今回のように不測の事態が起きても、歩いて王都に帰るという苦労を除けば帰り道には問題なかった。

 いや、問題はあるな……

 豚と戦うために大量に召喚した板垣さんだ。

 正確に数えたわけではないが、どう考えても5千人以上が生き残ってしまった。

 あまりにも残った数が多い。

 食料は6人で4日分なので、これだけの人数が増えてしまうと1食分にもならないだろう。

 軽く小突くだけで光の粒子となってしまう板垣さんだが、まさか用がなくなったからと言って俺の手で殺すなんて酷いマネはしたくない。

 さてどうしたものかと考えていたら、板垣さんは食事を必要としないという驚きの発見がありなんとか食糧問題は解決した。

 だが、問題となるのはそこではない。

 板垣さんは防御力は紙で、攻撃力も子ども並みだが、食事を必要とはせず、体力も無限だった。

 つまりどういうことかと言えば、王都まで歩く俺たちに全員がついてこれたのだ。

 それが何を意味するのか。

 問題となるのはやはり数だ。

 5千人を超えるとなれば、街道沿いで暴れ回る盗賊団なんてメじゃないほどの一大勢力である。

 実際の戦闘力は見ただけではわからないので、置いておくとして、端から見れば所属不明の1軍が攻めてきたと思われても仕方ないほどの数なのだ。

 そうするとつまりどうなるのかと言えば、王都に近づいたらめっちゃ警戒されるのである。

 と言うか、すでに王都の外に軍が待ち構えているんですけどどうしたらいいですか?

 とりあえずは何か言われる前に足を止めたが向こうからの指示もないのでどうすればいいのかわからない。

 驚いているのかもな。

 なにせこちらは99%以上が身長から顔、服装に至るまでまったく同じなのだ。

 俺や華佗、デンさんたちを見つけるのなんてオーリーを探せより難しいだろう。

 ドリンコ軍の皆様にとってこちらは全員全く同じ姿形の軍勢なのだから不気味なことこの上ないと思う。

 そんな俺たちの姿におののくドリンコ軍から一人、こちらへ向かってくる姿があった。

 俺たちを恐れない勇者などではなく……なくはないのか? ある意味勇者のような気もするが、まぁそれはいい。

 こちらへ向かってくる人間の姿を見れば、遠目からでもわかる巨大な斧を背負った男だ。

 あれ、スティングさんじゃねぇの?

 よかった。

 スティングさんなら俺のことを知っているし、見た目に反していい人だから話も通じそうだ。


「お前達は何者だ!?」


 先頭にいる板垣さんの少し手前で立ち止まったスティングさんは、いつでも武器を構えられるように警戒しながらそう言った。

 やはりスティングさんだったので、俺は慌てて板垣さんをかき分けて前に出る。


「スティングさん! 俺です! 葉太です!」

「ん? 坊主か?」


 板垣さんの壁から姿を現した俺の姿を見てスティングさんは驚きの表情を浮かべた。

 それもそうだろう。

 全員同じ顔のやつしかいないと思ったら、その中から自分の見知った顔が出てくるのだ。


「そうです。こちらに敵対する意志はありません。警戒も必要ないです」

「これだけの人数がいるんだ。いくらお前でも、はいそうですかと頷くわけにはいかない」

「えっと……オランさんとかいませんか? あの人ならこいつらが俺のアビリティで召喚されたやつでほとんど危険がないってわかるはずなんですけど」


 王様立ち会いの下、俺のアビリティが英霊召喚だと証明するために板垣さんを召喚したことがある。

 その時に、板垣さんの使えなさ具合をその目にしたのでオランさんなら、この大量の板垣さんが案山子の群れだとわかるはずだ。


「ちょっと待ってろ。確認に行かせる」

「お願いします」


 スティングさんは、俺がオランさんの名前を出したため、俺が姿を現したことで下げた警戒のレベルをもう1つ下げたようだ。

 王の名の下に身分を保障されている俺が、スティングさんの上司であるオランさんも知っていると言えば、ある程度安全が保証されると思ったのだろう。

 一旦指示を出すために下がるようだ。

 それからしばらくしてオランさんもこの場に姿を現し、安全が保証されたので俺たちは無事に王都への帰還を果たすのだった。


連続更新開始から1ヶ月、綺麗に50部分にして1章が終わりそうです。(今回が49部分)

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