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新たなる必殺技ハイパー板垣タイダルウェーブなんですが?

サブタイによる盛大なネタバレ


前回のあらすじ

「フィアがピチュンされた」

45

 なぜだかはわからないが十中八九と言わず、十中十で死ぬ状況だが驚くほどに落ち着いている。

 剣を構えて豚の隙を窺いながら俺の心は凪いだ水面のように穏やかだった。

 辛うじて正気を取り戻したリングをその場に残し、俺とデンさんは武器を構えたままそれぞれが豚の左右を挟み込む位置までじりじりと移動する。

 せめて狙いを分散するのが目的だけど、効果があると期待はしていない。

 フィアの前に回り込んだ速さを考えれば、どちらか一方を仕留めて反転しても十分に背後からの攻撃に対応できる速さを持っているのだ。

 防御力はわからないが、ピロシキ教官が与えただろうダメージは見当たらず、オークの回復力を考えれば俺たちの攻撃で致命傷を与えるのは期待薄だろう。


「さてはて……どうしたもんか……」


 剣の柄を握り直し、緊張で乾燥した唇を舐める。

 状況は何も変わらず絶望的で、打開できるような妙案も思い浮かばない。

 相手の攻撃は一撃でこちらを死に至らしめるし、動きは恐ろしいほどに速い。

 それに対して、こちらは攻撃力が不足し、速さも足りず、それを補う暴力と言えるほどのもない。

 俺に出来るのはゴブリン相手なら楽勝ぐらいの剣技と板垣さんしか召喚できない英霊召喚だけだ…………ん?

 あれ?

 これはもしかしてやる価値あるか?

 幸いなことに豚はこちらの動きを探るように見るばかりで動こうとはしていない。


「デンさん! リング! 一瞬時間を稼いでくれ!」


 俺が叫ぶのと同時にリングが短弓で矢を放ち、デンさんがアビリティで飛ぶ斬撃を放つ。

 自身の命を脅かすには到底威力の足りない攻撃であっても、警戒している状態で攻撃されれば反応してしまうのは生き物として当然だ。

 別方向から飛んでくる二つの攻撃に反応し、豚の意識が俺から外れた瞬間に俺は動いた。


「英霊召喚!」


 なぜだかわからないけど、出来るとわかった。

 実に100を越える英霊召喚が発動したことを示す紋様が地面に広がり、辺りにまばゆい光が溢れる。

 初めて召喚した時とは比べものにならない速さで光が収まり、そこには紋様の数だけの板垣さんが姿を現していた。


「召喚続行! 順次突撃!」


 板垣さんなら無限に召喚できるぐらい魔力の消費が少ない。

 それは100体同時召喚しても、魔力の回復量が召喚の消費量を上回っているからだろう。

 そして、俺の指示に従って板垣さんが豚へと突撃していく。

 豚の持つ金棒の射程など関係なしに素手の板垣さんは真っ直ぐと突き進み、案の定豚の射程に入った瞬間金棒で横薙ぎに吹っ飛ばされた。

 だが、吹っ飛ばされたのは戦闘にいた10人程度だ。

 残りの90人はさらに前へと進む。

 返す刀でさらに10人が吹っ飛ばされても残りの80人はさらに距離を詰め、また10人が吹っ飛ばされても残りの70人が前進を続ける。

 ようやく残った70人を倒し終えた時には、追加量産された10000近い板垣さんに囲まれているという寸法である。


「これぞ新たなる必殺技、ハイパー板垣タイダルウェェェェィッブ!」


 ちなみに10000を突破しても板垣さんの量産は止まらない。

 と言うか、10000人いても板垣さんがあの豚を倒せるとは思えない。

 最低でも億は必要だと思う。

 板垣退助の津波は豚を押し込み、仲間が吹っ飛ばされて光の粒子に変わっても前進を辞めない。

 前進を続けた板垣さんは自身の攻撃が届くところに辿り着けば、子どものような威力で拳を叩き付けている。

 しかも、後ろからどんどん新たな板垣さんが進んでくるので、前にいる板垣さんは豚と板垣さんの板挟みで押しつぶされたりしてしまうのだから、さりげなく自滅で光になるのも少なくない。

 だが、自滅と豚の攻撃による消費を上回る供給により板垣さんの津波が途切れることはない。


「ふははははっ! フィアの仇だ、板垣さんの津波に呑まれるがいい!」

「…………なんなのこれ?」


 あまりにもあんまりな光景に死ぬかもしれない戦場で呆れた表情のリングとデンさんが板垣さんをかき分けてやってきた。


「ハイパー板垣タイダルウェーブだ」

「だからそれがなにかって言ってんのよ!」

「しょうがねぇだろ! 思いついちゃったんだから!」

「意味分かんないんだけどぉ!?」


 思いついちゃったんだよ。

 何かって言われても板垣タイダルウェーブの進化形はハイパー板垣タイダルウェーブになるのは自明の理なので、説明できるはずがない。


「…………なぁ」

「はい?」

「あれ」


 ギャーギャーとわめくリングを無視して板垣さんの召喚を続行しているとデンさんが豚を指し示した。

 何か問題でも起きたのかと視線を向けると板垣さんが前進を続けすぎて、豚の頭まで覆い隠すような山――というか1つの塊になっていた。

 中で消える板垣さんの光が漏れ出るうごめく板垣さんの塊は控えめに言って気持ち悪い。

 あれって中で豚動けるのか?

 なんだか片方だけ塊から飛び出ている腕がもぞもぞしてるけど、まともに動けているようには見えない。


「ぴ、ぴぎゅあぁぁぁっ」


 豚はそんな情けない声を上げて完全に動きを止めた。

 しばらく板垣さんの量産は止めずに前進を続けさせるが、豚の腕はぐったりとしたまま動く様子が全くない。


「ちょっと散開」


 板垣さんに新たな指示を出すと、塊が解かれて板垣さんが豚から離れていく。

 完全に板垣さんの呪縛から解放された豚はドタンと大きな地響きを起こすような倒れ方をして動く気配がない。

 これ……あれじゃね?

 動いた時にはすぐに対応できるようゆっくりと豚に近づき、剣の先で頭をつんつんと突いてみる。

 しかし、豚は動かない。


「………………うん」


 完 全 勝 利 !!!


あるぇぇぇぇっ!?

なんで? なんで勝っちゃったの!?

完全に予想外すぎて書いてる自分が一番ビックリなんですけど!?


そもそもハイパー板垣タイダルウェーブなんて出す予定なかった(ガチで主人公が思いついたタイミングで思いついた)のにこんなもん使っちゃうからだよ……


本当はなんとか善戦するも苦戦して、3人目を召喚できるようになるところで引く予定だったのに……


でもまぁコメディの神がヤレと言ったからしょうがないな。

この後の展開どうしよう……

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