絶体絶命大ピンチなんですが?
状況は芳しくないと言ったな?
あれは事実だ!
だがなんとかしている。
ちょっと短め
前回のあらすじ
『森を抜けたらそこは巨大なオークに襲われてピロシキ教官が死ぬところだった』
今回も微妙に残酷な描写があります。
苦手な方は次回の更新をお待ちください。
次話か今回の後書きを読めば何が起こったかはわかるはずです。
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まずい。
まずい。
まずい。
何が拙いって、何もかもが拙い。
相手は6級冒険者すらほぼ無傷で圧殺する化け物だ。
6級冒険者と言えば、危険度二つ星なら楽勝だし三つ星相手でも互角以上に戦えるくらいの戦闘能力が求められる。
そのピロシキ教官が多少の手傷を負わせた程度で負けていることから、相手の危険度は四つ星以上なのは間違いない。
それに対して、俺たちの方は二つ星には勝てない程度の2人と三つ星相手になると厳しいのが2人の計4人。
どう考えても勝てるわけがない。
隠れてやり過ごしたいところだが、悲鳴を聞かれたので向こうは完全にこちらを補足しているので、戦うか逃げるのどちらかしかない。
戦う?
勝てるわけがないのだから、そちらを選ぶ馬鹿はいない。
だが、逃げることも難しいだろう。
馬車は残っているが、御者と馬の姿はない。
馬車の周りに赤いものが見えるのはそう言うことだろう。
そうすると自分の足で逃げるしかないのだが、オークは成人男性とほとんど同じ身体能力を持っている。
違いは驚異的な回復能力とタフネスだ。
普通のオークがそうである以上、このどう考えてもオークの2つ3つは上位種としか思えないこいつはオーク以上の身体能力を有しているに違いない。
よしんば、身体能力的には成人男性と同じだとしても、体力が違いすぎてこちらが先にバテるのは目に見えている。
こりゃアレじゃないの?
詰んでるんじゃないの?
「プゴォアァアァァッ!!!」
豚野郎くんがこちらを威嚇するように咆哮した。
そんなことしなくても、こっちは完全にビビってるんですけど?
くそっ!
武蔵は王都だし、ここに召喚することは出来ない。
どういうわけだか、武蔵を召喚してからはもう1人武蔵を召喚することは出来ないし、あの浮世絵っぽい武蔵の方も召喚できなくなった。
そのため、今の俺が召喚できるのは板垣さんだけだ。
ゴブリン程度なら板垣タイダルウェーブでどうにかなるだろうけど、こいつはあのオーガほどじゃないが、板垣タイダルウェーブ程度で倒せるとは思えない。
「いや……イヤァァッ!」
「ばっ!」
「フィア! 待って!」
先ほども悲鳴を上げたフィアは豚の咆哮で完全に正気を失い、警戒も何もなくその場から逃げ出した。
俺たちの中では最も身体能力の低い彼女だが、まったく注意を払っていない状況から走り出されては止める暇もない。
豚の正反対である森の方へ逃げなかったのは、魔物が跋扈するこの世界の森を恐れる本能なのだろう。
森と豚を結ぶ直線から垂直方向に走り出した。
だが、それは今の状況においてはこれ以上ないほどの悪手だった。
「……あ、お母さ――――」
逃げるフィアの正面に豚が恐るべき速さで回り込んだのだ。
目の前に死を実体化したような化け物にふさがれたフィアはその表情を絶望に染める。
命乞いをする暇も、この場にいない母に助けを求める暇さえ与えず、豚は振り上げた金棒を無慈悲に振り下ろし、また1つこの場に赤い花が咲いた。
「フィアァァァ!」
悲鳴のようなリングの絶叫。
俺たちの仲間で彼女の幼なじみは、あまりにもあっさりと短い生涯を終えてしまったのだ。
しかし、悲しみに暮れている暇などない。
このままでは俺たちもすぐに彼女の後を追うこととなるだろうし、現状を打開する術がない以上それはほとんど確定事項だ。
「この豚野郎がっ――」
フィアがやられたことで激昂すると予想していたのか、今度はギリギリでデンさんの手が豚野郎に向かって飛び出そうとするリングの肩を掴んだ。
酷なようだが、唯でさえ絶望的なこの状況で戦力を浪費するわけにはいかないという判断だろう。
どうやら、デンさんも生きることを諦めてはいないらしい。
「……どうします?」
「さて……どうするか……」
しゃがんでいては動くこともままならないので、ゆっくりと立ち上がりながら俺たちは言葉を交わす。
お互いに有効な手立てがないのだから、生き残りたくても死ぬのは確定かな?
フィア退場。
リングとフィアのどちらを退場させるか迷ったけど、敗因はリングが死んでるのにフィアが生き残る状況をイメージできなかった。
微妙な状況は継続中、でもせめて13日までは毎日更新を継続したい……




