雨降って地固まったんですが?
今日は無理かも知れないと言ったな。
アレは嘘だ。
41
デンさんの話はそれほど長くなかったので、まだまだ目的地には到着しない。
なんとも気まずいような沈黙が続く馬車の中で、おもむろにリングが立ち上がった。
「デンさん、ごめん。聞こえちゃった」
4人しかいない静かな馬車で話していたのだから、聞こえるのもおかしな事ではない。
それでも、リングは律儀に謝罪した。
「構わん。隠しているわけでもないからな」
「でもさ……フェアじゃないと思うのよ」
「フェア?」
リングは何を言っているのだろうか?
いや、何が言いたいのだろうか?
「ほら、フィア、アンタもこっちきて」
「うん、わかったぁ」
リングはフィアも呼ぶと俺たちの前に座った。
フィアも揺れる馬車の中を倒れそうになりながらも移動し、俺たち4人で車座になって座る。
「もう初心者コースも終わるけどさ。私たちも同期なんだから、最後のクエストを前にもっとコミュニケーションを取るべきだと思うのよ。デンさんの話も聞いちゃったし、せっかくだからみんなでなんで冒険者になるのか話しましょ」
どういう理屈なんだそれは……
いや、別に俺なんかはデンさんと違って重い過去もないし……ないよな?
あのクソ姫のことは、一応話すわけにはいかないだろうし、俺の場合は武蔵って言う強力な協力者が……親父ギャグみたいだな。
いや、まぁ、武蔵がいるおかげでそこまで悲観的な状況ではない。
ドリンコ王国の協力も得られるって決まったし、重い過去ってほどの話ではない。
せいぜい、俺が冒険者になる理由なんて、武蔵の訓練を受けられるように基礎体力をつけるのと魔物を倒して英霊召喚のレベルアップをするぐらいだ。
表向きの理由なら話すのは問題ないので、拒否はしないけど、今更そんな話をする必要はあるんだろうか?
まぁ、空気が読める日本人なので、あえて声に出して指摘はしないけども……
「アタシは、デンさんみたいに立派な目的があるわけじゃないけど、スカウティング系のアビリティだから冒険者でもやっていけると思ったからよ」
「リンちゃんったらぁ」
「なによ」
「ほんとはリンちゃんは、村で狩人としてやっていけたんですよぉ。でも、私はトロいからぁ家で役にも立てないし、冒険者になるしかなかったんですぅ。そしたらぁ、リンちゃんが私だけだと危なっかしぃからってぇ、一緒に冒険者になってくれたんですよぉ」
「っちょ!? フィア! それは違うって言ったでしょ!」
慌ててフィアの口をふさごうとするリングの様子を見れば、フィアの言っていることが事実で、リングは図星をつかれたのだとすぐわかる。
最初の自己紹介では、幼なじみだからとフィアの面倒を押し付けるなと言っておきながら、訓練でも座学でも自分の方からフィアの面倒を見ていたほどだ。
美しい女の子の友情だろう。
「あぁっ! もぅ! ヨータ! 次はアンタよ!」
「はいはい……とは言っても、俺も大した理由じゃないんだよ」
照れ隠しで話題を逸らそうとしているのは丸わかりだが、あえて指摘するのは可哀想だ。
俺は苦笑しながら話を引き継いだ。
「俺もリングと同じでデンさんみたいに明確な目的があるわけじゃないよ。自衛のためとかちょっとした理由があるとかまぁ、色々と細かい理由はあるけど、強くなるためってのが一番の理由かな?」
「強くなるためぇ……ですかぁ?」
「うん。ほら、俺のアビリティは英霊召喚だけど、召喚できるのはほとんど知識のない英雄だったから能力も高くないって言っただろ? アビリティを使えば使うほど能力がよくなるって言うし、新しい英雄を召喚できるように強くなりたいんだ」
「なるほどね。そう言えば、アンタ初心者コースが始まってから一度もアビリティ使ってないのよね? それなのにゴブリンには圧勝しちゃうし、ほんとにアンタのアビリティって英霊召喚なの?」
別に嘘をついてるわけじゃないですよ?
確かに俺と違って皆は訓練でもバリバリアビリティを使っているようなので、俺のようにアビリティを一切使わないで訓練する人間は、この世界では珍しいのかもしれない。
それに加え、皆は格下のゴブリン相手でもアビリティを使って戦っていたのに俺だけが純粋に剣技だけでゴブリンと戦っていたのだから疑われても仕方ないのかもしれない。
なにせ、英霊召喚はアビリティの中でも有名で珍しい部類らしいし……
「それはほら、使う機会がなかっただけだよ。冒険者になるんだから、自分も強くならなくちゃって思ったから、剣も頑張って使えるようになったし」
「まぁ、嘘だとは思ってないけど、アンタの成長速度を考えるとねぇ……自身なくすわ」
まぁ、7日程度で最下位から全員抜いちゃったからねぇ……
実は、肉体強化系のアビリティで、初日は使わなかったけど徐々にアビリティを使っていったと言われた方が納得しやすいのかもしれない。
だけど、俺のアビリティは正真正銘英霊召喚です。
そんな調子で目的地へ向かう馬車での短い旅を俺たちは和気藹々と過ごした。
もしかしたら、俺たちはこのまま冒険者としてパーティを組むことになるんじゃないか? と、そんな風に思えるくらい楽しい旅路だったんだ。
明日こそ無理かもしんないので、更新できなかったらすんまそん。
そう言えば、この作品もすでに9万文字を越えました。
私としては、区切りもいいので10万文字で1つのエピソードを終わらせる感じで書いているのですが……
あと5千文字で終わらせるとか無理じゃね? って感じです。
だってこのあと、出会いがあって、化け物と対峙して、死人が出て、バトって、負けて、主人公が死んで、神様(作者)パワーで主人公が復活して、主人公だけ無双ゲー状態になって、これなら俺は武蔵にも勝てると調子に乗った主人公が武蔵にボコにされて、武蔵が勢い余って主人公を逝かせちゃって、またまた神様パワーで主人公が復活して、武蔵が主人公を無限にサンドバッグにするまでを5千文字で終わらせるとか不可能です。
ちなみに途中から完全に嘘予告ですのでご了承ください。




