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一方その頃なんですが? カクトー王国編

主人公視点以外の2話目

判別できるように1話目のサブタイも変更しました。

23

「いなくなった!?」


 勇者の召喚という大仕事を終えた翌日。

 起き抜けにまったく予想していなかった報告を受け、ユーハは外面を取り繕うことすら出来ずに叫んでしまった。

 報告に来た侍女は、常に王女の規範として大声を出したところすら誰も見たことのないユーハが叫ぶなどとは思いもしなかったようで目を丸くしている。

 そんな侍女の顔を見てユーハも自身の失態に思い至り、咳払いを一つしてからなんとか体裁を取り繕う。


「ごめんなさい。いなくなってしまった勇者様がどこでどうしているのかと心配で思わず大きな声を出してしまいました」


 侍女はその言葉だけでなるほどと納得したような顔をし、礼をしてから下がっていった。

 侍女の後ろ姿を見送ったユーハは、身支度もほどほどに自室を飛び出した。

 まったくもって忌々しい。

 一見して優雅に見えるが、優雅に見えるギリギリの速さで廊下を進むユーハは誰にも聞こえぬように舌打ちした。

 ただでさえ今回の勇者召喚は外れだったのだ。

 本来なら準備に3年ほどの時を要する。

 それを無理に1年と少しの時間で実行したのだから当然と言えば当然だろう。

 そんな中で唯一、英霊召喚という世界を救った古の勇者と同じ有用なアビリティを持った男もいたが、あろうことか詳しいアビリティの説明を聞くこともなく召喚できる枠を使い切ってしまったのだから誠にもって腹立たしいというものだ。

 しかもしかも、話を聞けば城から姿を消したのはその英霊召喚のアビリティを持った男であるという。

 ユーハは周囲を見て人の目がないことを確認するとある・・部屋のドアを乱暴に開け、すぐに中へとその身を滑り込ませた。

 音も無くドアを閉めると、憤懣やるかたない様子を各層ともせずに部屋の主に詰め寄った。


「ちょっと! どういうことなの!?」

「姫様、申し訳ありません」


 ユーハの怒りを正面から受け止め、男は頭を下げる。

 ゲキシゲ・キックス、近衛騎士の中で最もユーハの側にいる男である。

 もしも葉太が彼の声を聞けば、昨夜ユーハの部屋から聞こえた声がこの男のものだと気づいたことだろう。


「謝罪はいいから、詳しく話しなさい」

「はい。ですが、詳しく話そうにも情報はほとんどありません」


 キックスは、今朝になって訓練の集合時間になっても葉太が来なかったこと、いなくなったのが葉太1人であること、また、夕食後に一度部屋に戻ったのを最後に誰もその姿を見ていないことを順に話す。


「問題は今、どこにいるかよ! すぐに見つけ出しなさい! 今回の勇者の中で唯一の当りなのよ! 今は役立たずでも使えるようにすれば、英霊召喚はこれ以上ないほどの戦力になるわ」


 古の勇者、カクトー王国の私利私欲を目的に召喚を行い形だけで勇者と呼ぶ存在とは違い、世界の危機を救った本物の勇者だ。

 過去に存在した幾人もの英傑を従え、人類の旗頭として危機に立ち向かったその姿は数多の詩や歌に謳われている。

 その力は、一騎当千の兵を数多く従えるだけあり一軍でありながら一国に匹敵するとも言われるほどだ。

 今は役立たずと言えようとも、その将来性にユーハが期待するのも無理のない話だろう。


「わかっております」

「わかっているならすぐに見つけ出しなさい!」


 そう言い残してきびすを返したユーハの後ろ姿を見送り、その姿が部屋から消えてしばらくしてからキックスはため息をこぼした。


「アバズレが……」


 心底から蔑すむようにそう吐き捨てる。

 失敗を咎め、責めるだけならサルでも出来る。

 なんら建設的な意見も言わずにただやれと言うのも同様だ。

 勇者の召喚という大役には王家の血が必要であるからこそ無視は出来ないものの、その王家の人間が無能であることがこの国の癌なのだ。

 昨夜の情事を思い出し、もう一度身体を隅々まで洗いたい衝動に駆られるが、そのようなことをしている時間はない。

 ただでさえこの国には時間がないのだ。

 すでに城の中は騎士だけでなく侍女や下男まで動員して捜索が行われている。

 それでも発見の知らせがないと言うことはすでに城を出たと言うことなのだろう。

 そう判断したキックスであったが、そこで疑問となるのはどうやって城を出たのかと言うことだ。

 いなくなったのは夜ということだが、日が落ちてからしばらくすれば城の正門は閉じられる。

 緊急時などに出入りを制限されぬように通用口は用意されているが、そこには常に4人以上の警備が待機しているのだ。

 全員が居眠りしていたなどということはありえず、何者かに眠らされたなどということもない。

 しかし、昨夜警備に就いていた者達は誰一人として通用口を出入りした者はいなかったと証言している。


「…………誘拐?」


 可能性として考えたが、その可能性はすぐに頭を振って否定した。

 勇者の召喚が行われるのを知っていたのは、王族の他は近衛騎士と宮廷魔道士の一部しかいない。

 キックスも彼らのことは知っているが、国に忠誠を誓う馬鹿か自分と同じタイプの人間ばかりなので、誘拐なんて馬鹿な真似を行うはずがない。

 他の人間であれば誘拐もあり得るのだろうが、召喚されてしばらく経ってからであったならともかく、召喚されたその日のうちに痕跡一つ残さずに誘拐することなどは不可能だ。


「いったいどうなっている……」


 窓の向こうに広がる城下を見下ろしながらキックスはそう呟くのだった。


プロットまともに作ってないこの作品が時々怖くなる。

マジで自分が意図せずテキトーにやってた部分がこれからやることに上手いことハマる瞬間が怖い。


「こうしよう」と昨夜の投稿とこの話を書くまでの間に思いついたことを書くために、これから書く話にその展開にするための伏線を入れようと思ったら……すでに書いてあるんですよ。

 10年で4回目の召喚(3年の準備が必要なのに4回目だけ準備不足)とか、ゴブリンやコボルトしかいないはずの森に出るオーガとかetcetc


 まぁ、読者的にはいつどの瞬間にその展開に持って行こうと思ったのかなんてわかんないんでしょうけどねw

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