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23/57

インテリさん(♂)が優しくてイケメンでちょっと惚れそうなんですが?

少なくとも主人公にBLはありません。

22

 さて、武蔵が俺の事情を説明しやすい状況を作ってくれたわけだけどどうしたもんか……

 こちとら何となくで高校に通っている成績はちょっとばかり盛らないと普通の、とも言えない劣等生が、一国の王様を相手にどう話せばいいというのか。

 まぁなるようにしかならないか。


「えぇ……彼女は違いますけど、俺はご想像の通りカクトー王国で召喚された勇者の1人です」


 俺の言葉に王様達の表情に戸惑いが浮かんだ。

 それもそうだろう。

 圧倒的な強者である武蔵は召喚された勇者ではなく、どう見ても平凡な俺が勇者だというのだから。


「彼女は俺のアビリティで召喚した……俺の世界の? いや、別の世界の英雄です」

「改めて英雄と言われると照れるわね」


 武蔵さん。

 真面目な話しているんで腰を折ろうとしないでください。


「別の世界の? まさか英霊召喚か!?」


 あ、王様も知ってるの?

 有名なアビリティなんだろうか?


「そうです。で、紆余曲折あって彼女を召喚して、彼女のおかげでカクトー王国から受けた精神支配……って言えばいいんですかね? カクトー王国のために! お姫様のために! みたいなことを考えるようになってたのを、解除してもらったわけです。彼女を召喚するまでの話って詳しくした方がいいですかね?」

「頼めるかな?」

「あ、はい」


 王様の横に居たインテリ風の男性に促され、最初に召喚したのがほとんど知識のない大久保さんと浮世絵武蔵だったこと、偶然お姫様の愚痴を聞き、森に出てレベル上げをしようとしたことなどを順序立てて説明していく。

 武蔵を召喚することになった15メートルぐらいあるオーガの話になると王様達がそろって驚きの声を上げた。


「15メートルクラスとなると、エンペラーオーガでは?」

「うむ。その可能性が高いだろうな」

「魔石は持っているのかね?」


 口々にそんなことを言っている。

 生憎と魔石はギルドに売ってしまったことを話すと王様の隣、インテリさんとは反対側に座っていた老人がなにやら侍女さんに耳打ちした。

 侍女さんはそのまま部屋を出て行ってしまったけど、何の話をしていたんだろう?


「話の腰を折ってしまってすまなかったね。続けて」

「あ、はい」


 インテリさんに再び促され、話を続ける。

 とは言ってもそこからの話なんてほとんどない。

 一緒に召喚されたクラスメイトを助けるために情報を集める必要があると考え、武蔵に頼んでこの王都まで来たことぐらいだ。


「これが、昨日から昨夜……と言うか、今朝方までの話ですね」

「昨日!?」


 昨日の話だと言ったらまた驚かれた。

 何でも、カクトー王国の王都からドリンコ王国の王都まで旅をするならだいたい10日前後はかかるらしい。

 馬を乗り継いでも5日以上かかると言うのだから、王様達が驚くのも当たり前かもしれない。


「武蔵、お前どんだけの速さで走ったんだよ……」

「あなたのことを運んでいたから、あまり無茶も出来なかったわよ。時速で言うなら100キロくらいかしら?」


 そりゃ着いた時にあんだけの吐き気に襲われるはずだよ……

 まぁ、ぶっ飛んだ身体能力のキャラクターが多い侍学園で最強の武蔵だから、生身で時速100キロ出せてもぜんぜんおかしくないんだろうけど、よく俺が耐えられたよな……


「100……」

「人間の速さなのか?」


 ほら、インテリさんとかも思わずって感じで呟いてるよ。

 なんか、運んでたってところに反応してるのかすごい生暖かい目を向けられてる気がするんだけど気のせいだよな?


「ごほんっ。話はわかった。つまり、キミの目的は一緒に召喚された友人達の解放と元の世界への帰還が目的で、我が国と敵対する意志はない、と言うことでいいんだね?」

「はい。まぁ、この国がカクトー王国の味方ではないなら、ですけど」


 俺の言葉にインテリさんは頷いた。


「それは安心してくれていいよ。我が国……と言うよりもほとんどの国がカクトー王国には迷惑をかけられているからね。特に我が国は頻繁に勇者召喚をして戦争を仕掛けられるからカクトー王国は不倶戴天の敵と言っていい」


 ジーナさんの監視役さんの言葉で予想した通りだったな。


「しかし、キミの言葉通りなら大分余裕が持てそうだ」

「余裕?」

「まぁね。カクトー王国が勇者を召喚するのはここ10年で4回目だ。召喚を察知する努力はしていたけど、前の3回は察知できたのは戦争になる少し前でね。対策を練るのも時間との闘いだったんだ」


 あぁ、なるほど。

 俺が召喚された翌日に情報を届けたおかげで、向こうが勇者の訓練して戦争を仕掛けるまでの間に自分たちも準備できるってことか。

 それにしても、10年で4回? そんなに異世界から誘拐を繰り返していたのか……酷い奴らだな。


「ところで……」

「なにかな?」

「元の世界に帰る方法などに心当たりはありませんか?」


 俺の問いにインテリさんだけでなく誰もが揃って難しい顔をした。

 召喚は一方通行で元の世界に帰る手段はないとか言われたらお手上げなんだけど?


「方法は難しくはない」

「そうなんですか?」


 難しくないなら、なんでそんな渋い表情なんでしょうかね?


「元の世界に帰るためには召喚者……つまり、カクトー王国の姫の力が必要だ」


 おっと? なんかいきなり難易度上がったな……

 あの屑姫に俺たちを帰らせさせないといけないなんてできるんだろうか?


「って、あれ? 俺たちが召喚される前に召喚された人って?」


 10年前ならよほどの老人でもない限り全滅ってことはないだろう。

 意外とすぐに帰らせるのか?


「我が国との戦いで死亡するか、大怪我を負う者が大半だな」

「被害者だとはわかっているけど、こちらも国を守る必要があるからね……」


 ……なるほどな。

 つまり、戦力にならないから追い返してるわけだ。

 中には無事なやつもいる……と思いたいけど、召喚された直後はそこまでじゃなかった精神支配は、時間が経つほどに強化されていった。

 たった半日ほどで、簡単に命を懸けようと思えるぐらいになるんだから、戦争に出るまで訓練するほどの時間を過ごしたら立派な狂信者の出来上がりだ。

 無事なやつがいる可能性は低いだろうな。

 これはなんとしても戦争が始まる前にみんなをたすけないと……


「とりあえず、話は以上でいいかな? 終わりでいいなら、キミ達のことも含めて今後のことを話し合わなくちゃいけないんだ。キミ達も疲れているだろうし、夕食までは身体を休めるといいよ」

「あの……俺たちに協力してもらえますか?」

「この場で答えることは出来ん」

「協力するかしないかも含めての話し合いなんだ。ただまぁ、期待を裏切ることはないと思っていいよ」


 すぐに協力を取り付けられず、せっかく武蔵にお膳立てしてもらっておきながら機会を活かせなかったと王様の言葉に落胆しかけたが、インテリさんがすぐにフォローしてくれた。

 そうか、期待していいのか。

 緊張感が解けたのか、俺の意識はそこで闇に落ちてしまった。


トラブルとかではない。

夜中にゴブリン退治して、オーガに襲われて、ジェット武蔵コースターして、ギルドでトラブって、お姫様に人質にされて、王様も交えてのお話。

徹夜状態でこれだけやれば、高校生が緊張感が解けて気絶するように眠ってもおかしくはない……と、思う。

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