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メタなことを言えばただの偶然なんですが?

ちょっとサブタイで遊んだ。

後悔はしていない。

だって事実だ。

21

 物語だったりするならば、置いて行かれた人間が後を追おうとしたら迷ってキーになるキャラクターと出会ったりするんだろうが、どっこいこれは現実です。

 慌てて追いかけることになったけど、無事に2人の姿を見つけることが出来た。

 と言うか、ラッテさん案内役なら相手が揃ってることぐらい確認してもらえません?

 内心ではそう思いながらも、口に出すような勇気はもっていない。

 無言で絵やら壺やらが並べられた通路を通り、突き当りにある一際大きな扉の前までやって来た。


「正式な謁見ではないので、儀礼などはありません。姫が迷惑をかけたお詫びといくつかお話ししたいことがあるそうなので、最低限の礼節さえ持っていただければ礼儀について厳しく指摘することもないのでご安心ください」


 どうやら俺が心配していたようなことは向こうも織り込み済みだったらしい。

 それもそうか。

 見ず知らずの相手だ。

 しかも俺は、このあたりでは相当珍しいらしい黒髪なので、他国の人間だとすぐにわかるのだろう。

 他国出身だろうと貴族とかならいざ知らず、相手の出自も分からなければどんな教育を受けてきたのかも分からないのだ。

 正式な作法を知っている前提で段取ったりしないだろう。

 重厚な扉を開いた先にあったのは、十分な広さがあるものの中央に大きな円卓を置いた会議室のような部屋だった。

 てっきり、真ん中に赤絨毯を敷いてある他はほとんどなにもなく、ただ王様が座る椅子だけがある部屋だと思っていたので少しばかり驚いた。

 円卓には入ってきた扉の正面、部屋の奥側に――1、2……5人がすでに座っている。


「……来たか」


 すでに席に着いていた中でも真ん中に座っていた初老の男性が、手にした書類のようなものから顔を上げてそう言った。

 なんて言えばいいんだろうか?

 威厳とかそんなものを感じる。

 他の人は肩に掛かるだけの短すぎるマントを着けているし、王冠や杖のようなアイテムはないけれど1人だけ違う格好をしているのだからこの人が王様なんだろう。


「ドリンコ王国国王、ダイ・ドー・ドリンコである」


 書類を円卓に置いてから居住まいを正し、真っ直ぐとこちらを見ながら王様は名乗った。

 やっぱりこの人が王様だったか。


「えぇっと……柳野 葉太です」

「宮本 武蔵よ」


 王様は、俺たちが名乗ると一つ頷いてから座るように促した。

 あ、この椅子すごい座り心地いいな。


「此度は娘が迷惑をかけたようだな。王族の身でありながら、私利私欲で他者を傷つけかねん真似をする馬鹿な娘だ。謝罪しよう」

「…………はぁ」


 謝罪しようとか言ってるけど、誤る態度じゃない。

 頭も下げないし、堂々とした態度を崩そうともしないじゃないか。


「立場があると頭を下げることも出来ないのよ。王族が平民相手に謝罪すると口にするだけでもありえないことでしょうね」


 武蔵がそっと耳元に顔を寄せながらそう囁く。

 なるほど。

 確かに、偉い人がペコペコ頭を下げていたらそれに従う人は不安になるかもしれないな。

 いろいろと制限されることも多くて、苦労してるのかもしれないな。

 ある一点を見ながら俺はそんな風に思う。


「謝罪は受け入れましょう。それで? 本題はそこじゃないでしょう?」


 武藏の言葉に王様達の表情に緊張が走ったようだった。

 てか、武蔵さん。

 危険な目に遭った当事者の俺じゃなくて、あなたが謝罪を受け入れるんですか?


「遠回しにしても仕方ないか……ここにあるのは、門でお前達を取調べたジーナからの報告書だ」


 王様は俺たちが部屋に入るまで呼んでいた書類を指し示しながらそう言った。

 速いね。

 俺たちが王都に入ってから2時間と経っていない。

 それなのにもう末端の報告書が王様のところまで来るんだな。


「何て書いてあったか当ててあげましょうか?」

「?」

「カクトー王国の召喚した勇者と思われるが、敵対するのは得策じゃない。そんなところでしょ?」


 何を言うのかと思えば、あの言われたことを素直に受け入れちゃうようなチョロいジーナさんだぞ?

 違うと言っておいたんだから、そんなこと書かれてるわけが……あれ?

 なんか、王様達が渋い顔してる。

 馬鹿な!?

 あのジーナさんにバレていたなんて……


「安心しなさい。私たちの目的はあなたたちが危惧しているようなことじゃないわ。むしろあなたたちの助けになるかもしれないわね」

「助け?」


 武蔵は王様が聞き返すとフッと笑みを浮かべた。


「さ、お膳立てはしてあげたわよ。ここからは自分でなんとかしなさい」

「…………武蔵、お前」


 まさかお前ここまで計算してたのか?

 思わず耳元で囁いてきた武蔵の顔を凝視する。

 侍学園でも未来が見えてるんじゃないかってぐらい、知るはずのないことまで考慮したような状況判断をする武蔵だったが、現実でもそんなことが出来るって言うのか?

 ラミが王女だと察して、敢えて城に連れて行かせるよう仕向ける。

 あとは書類の内容を察していたように、王様と上手いこと面会できるような布石も打っていたんだろう。

 剣になると言っていたのに、俺を守る盾にもなろうとしてくれるし、知恵袋にもなるって……

 超人なのは知ってたけどお前有能すぎるよ。


怪我の功名なのかわからないけど、武蔵を好き勝手動かせたのを軌道修正してたらこうなった。

偶然って怖い。


今日で連続更新1週間継続

ご褒美にブクマや評価してくれてもいいんですよ |ω・`)ちら

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