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現実に存在するとこの人大丈夫かと心配になるんですが?

お待たせしました&短め

13

 門番さん方に不審者認定されてしまったので仕方のないことだけど、俺と武蔵は揃って詰め所へと連行されてしまった。

 小市民の俺は当然だけど、話が通じない唯我独尊の狂人などではない武蔵も、自分たちが不審者扱いされて話を聞かれるのは当たり前だと思っているのかまったくの無抵抗でおとなしく詰め所まで移動した。


「さて……では話を聞かせてもらおうか」


 ここが取調室なのか、詰め所の一室に置かれた机の一角に俺と武蔵は並んで座る。

 対面に座ったのは、2人いた門番のどちらでもない。

 この部屋に入る前、俺たちを連行してきた門番さんから報告を受けていた女性だ。

 その女性だけでなく、扉の前にもう1人壮年の男性が立っているのは脱走防止だろうか?

 それにしても、門番さん達は皮鎧とでも言えばいいのか、服の上から胴体を覆う茶褐色の鎧1枚といった軽装だったが、この2人はフルプレートメイルとでも言えばいいのか全体的に厳い感じをした白い金属の鎧に身を包んでいる。

 鎧は厳くてゴツいイメージで男性の方は見事にマッチしているのだが、女性の方は兜をかぶっていないので露出した顔が出来る感じのクールな美人さんなのだからなんとなくアンバランスな印象を抱かせる。


「まずは名前からだな。私は近衛第二小隊隊長のジーナという」


 鎧の女性、ジーナさんはそう言って軽く頭を下げた。

 近衛ってエリートなんじゃないのか?

 漫画とかだと、近衛って言ったらお城で王族の側にいるイメージなんだけど、なんで門の横にある詰め所なんかにいるわけ?


「柳野 葉太です」

「宮本 武蔵よ」

「見たところキミはジャポネ出身だろうか? 姓がヤナギノで間違いないかな?」

「ジャポネってのがどこだかは分からないですが、柳野が姓で、葉太が名なのは合ってます。彼女も宮本が姓で、武蔵が名前です」

「ふむ……そうなのか。赤髪のジャポネ出身者は珍しい。さぞ苦労したことだろう」


 なんだか知らないが、ジーナさんは武蔵を見て同情的な感じになっている。

 髪の色だけで苦労するって、ジャポネってどんな国なんだ?

 語感的には物語でよくある日本を彷彿させる国ポジションっぽいけど……


「では、改めてヤナギノ、ミヤモト、キミ達の目的はなんだ?」

「え~と……その……観光?」

「なるほど。王都は栄えているからな。観光で訪れるのも納得だ。何も問題はないな」


 ツッコみどころ満載の俺の言葉に頷いたジーナさんはこれで話は終わったとばかりにあっさりと納得した様子で席を立った。

 え!? これでいいの?


「待ってください。隊長、嘘を言っているかも知れないんですよ? もっと詳しく話を聞かないと」

「む!? そうなのか? ヤナギノ、お前は嘘を言ったのか? 嘘はいかんぞ、嘘は」


 壮年の男性が慌てた様子でジーナさんを引き留める。

 ジーナさんはおとなしく引き留められると再び椅子に腰掛けた。


「あ、いや……嘘ではないです。なんと言えばいいのか……説明が難しいです」


 情報収集を敵意がないように伝えるにはどうしたらいいんだろう?

 そのまま情報収集って言ったら、スパイしに来ましたって言うようなものだろ?

 この世界のこととかを知りたいだけなんだけど、どう伝えればいいのか……


「ふむ……では、ヤナギノ。キミは犯罪者――もしくは犯罪を目的として我が国へと来たのか?」

「いいえ」

「ならば、我が国に敵意があるのか?」

「いいえ」

「ならば問題ないな」


 話は終わったとばかりにジーナさんは再び席を立った。

 いや、だからそれでいいの!?

 こっちとしてはありがたいけど、言ったことをそのまま鵜呑みにするってチョロすぎません?

 不審者の取り調べなんだから、もう少し疑ったりするものじゃないの?


「隊長!? ですから、嘘かも知れないのですから、きちんと取り調べないと……」

「む!? ヤナギノ、キミが言ったのは嘘なのか!?」


 心底驚いたような表情でこちらに問いかけてくるジーナさん。

 あれだ。

 あの男の人が扉をふさぐように立ってるのは脱走防止というか部屋から出さないためだったんだな。

 俺たちじゃなくて、ジーナさんの、だけど……


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