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6.謎の少…年

昨日クズに催眠された朝比奈さんの様子が気になって普通科のビルにやって来た。


「おはよう、朝比奈さん。具合はどうですか?」

「あ…愛さん…昨日はご迷惑を掛けてしまってごめんなさい。」

「正気に戻ってくれてよかった、一つお願いがあるんだけどいいかな?」

「な…何でしょうか?」

「プログラミングやハッキングに興味があるんだ。暇な時でいいから教えてくれるかな?」

「え…?」

「お願いします。」

「は、はい!」

「ありがとう。」


顔が真っ赤だ…昨日も具合悪そうだったし、風邪ひいたのかな?


「本当に大丈夫ですか?保健室まで一緒に行きますか?」

「いえ!大丈夫です!」

「そう?じゃあね。朝比奈さん。」


一応この事はリリンには伏せておこう。朝比奈さんが万が一私のせいで殺される事になったら嫌だしな。


「今日赤薔薇高校の生徒が見学に来ます。」


朝一のとんでも情報にクラスが途端にざわついた。青薔薇は一応女子高だから同年代の男子に慣れない生徒が大半なのは当然として、男嫌いな子や恋したくてもできない欲求不満の子もいる。まぁ…芸能科の子は基本的にそういう子は少ないと思うけど、それでも驚いたな、理事長は生徒が恋愛に現を抜かさない為に態々男女を別々の学校に隔離したのではないのか?


「理事長は恋愛は勧めないけど学生同士の競争や自分達の才能のアピールはして欲しいそうです。よって、あくまでお互いステージで芸を披露するだけになります。勿論、観客席は男女別々で設置されていますし、男女同士で会話してはいけません。」


これには安堵した子と不満を漏らす子がそれぞれいた。うーん…興味ないな…


「今回は芸能科から二人ステージに出て貰いますので、抽選で決めます、二人一組で芸をしてください。」


数秒の沈黙の後、耳を塞ぎたくなる程の不満が爆発した。まぁ…仕事上違うジャンルの人と組まなきゃいけない場面もあるから慣れている子もいるかもしれないけど、やっぱり自分だけで何とかしたい、自分が一番目立ちたいって子は多いだろうね。それに…今日で連携を何とかしろって…無理があり過ぎる…


「えっと一人目は……リリンさん。」

「は?」


よりによってリリンかよ…無理だろ、絶対引き受けないだろ。リリンは立ち上がって机を誰もいない方向に蹴り飛ばした。


「ふざけ…」

「リリン落ち着いて、皆嫌なのは同じなんだし、私がリリンと組むから、ね?」


「たぶん後でくじ引きでクラス全員二人一組で分けられるから…」と言って落ち着かせた。私もリリン以外の生徒と組むと色々と動きにくいからな…


「…じゃあもう一人は愛でいいですね?」

「お願いします。」


少しリリンに気圧された先生は話を続けた。


「では、二年生になる前の皆さんのパートナーは抽選を決めます。あ、リリンと愛はもう決まったので引かなくていいですよ。」

「リリンと愛は三時間後にステージが始まりますから、先に練習や打合せに行ってください。」

「「はい。」」


三時間後って早っ!道具と仕掛け急いで用意しないと、それにしても…


「ある意味ラッキーだったね。」

「何が?」

「私もあんたも、あのクズとだけは絶対に組みたくないでしょ?」

「…それもそうだね。」

「それと、一応鳥に頼んでリンネを呼んでおいてくれる?ステージの片付けを頼みたいんだ。」

「わかった。おーい!そこの白いのー!そうそう!君だよ君!」


リリンは動物と会話する事ができる。動物からしてもリリンは逆らいにくい存在らしく、簡単な頼み事なら引き受けてくれる。


「じゃあ私は話して来るから、後の準備よろしく!」

「うん。」


ステージの準備は一時間でできた。それにしても私何時から見られていたんだろう…


「ねぇ。」

「なぁに?ウサギのお姉さん。」


真っ白い制服を着た小柄の女の子がステージの下で立っていた、少し跳ねている秘色の髪と同じ色の目をしている、可愛いともかっこいいとも言える中性的な子だ。普段なら美形だな…と思わず気が緩んでしまう程の外見だけど…全然油断できない。こいつ下手したら私よりも強いし、修羅場もかなり潜って来ている、かなり頭も良さそうだし…身長以外どの面でも私より優れているんじゃ…?っていうかこいつ人間か?


「さっきからずっと見てるよね?授業は大丈夫なの?」

「え?大丈夫だよ?俺ここの学生じゃないし。」

「…」


そう言って肩に付いてる赤薔薇男子校の校章を見せてきた…そういや着てるのうちの制服じゃないし、男だったのか。


「もしかして俺の事、女だと思った?」

「…ごめん。」


そしたら少年はおどけた様に笑って言った。


「えー?傷付くなー、慰めてよ。」

「こら銀糸テメー!女子と話し掛けるなって言われただろうが!」

「げ、玄貴だ!にーげよ。じゃあねウサギのお姉さん!ステージ楽しみにしているよ!」

「…」


喋ってしまったからもう手遅れだと思うけど黙って笑顔で手を振った。玄貴って人がこっちに気付いて一礼してきたのでこっちも一礼して返す。それにしてもあんな完璧超人に期待していると言われると途端に不安になってくるな…大丈夫かな…?


「珍しいね、あんたが不安そうにするなんてさ。」

「うん…来た学生に一人只者じゃない奴がいたから、今回のショーはいつも以上に頑張らないと見破られちゃうかもな…」

「ふーん、まぁあんたが本気なら合わせるけど…そんなにやばい奴なの?」

「封印が解除されても勝てる保証がないかも。」

「…それって人間?」

「…みたい。」

「そう。」


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