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3.ムキムキ神崎

突然空を裂く音が聞こえたので振り返ったらボーリング球が飛んできた。時速500キロは行きそうな球を反射的にキャッチしてしまった。え?大丈夫かって?一応私は邪神だよ?ヘーキヘーキ。


「え…すごーい!今のどんなマジックを使ったの?」

「秘密。」


隣にいたリリンが慌ててフォローしてくれた。普段は気に入らない奴だが今回のフォローは有難いな。飛んできたのはスポーツ科のビルの方向だよね?授業まで後十分あるから行ってみようかな…ん?誰か走って来た。


「大丈夫かー!?怪我はないかー!?」


身長二メートル超えたマッチョな女の子が走って来た。


「はい、平気です。」

「危ないから気を付けてね?」

「済まないな…それにしても素手で取ったのか?」

「まさか。」


素手で取ってません、手袋付けて取りました。


「愛はマジシャンだからね。色んなマジックが出来るんだよ。」

「うん。」

「嘘はよくないな。あれは素手で取った筈だ。」

「噓じゃないよ。」


嘘はついてないぞ?


「…まぁ、噓じゃないと言うならそれでもいい、放課後私の少林寺拳法の相手をしてくれるならな。」

「えぇ…」


どう聞いてもただの虐めなのですがそれは…


「誰も練習相手になってくれないんだ!頼む!お前が強いのは目を見ればわかる!弱い者虐めには絶対にならないと保証する!私は…更なる高みを目指したいのだ!」


仕方ない…引く気ないみたいだし…


「30分位なら空き時間がありますけど…」

「いいの?」

「うん、いいんじゃないかな?スポーツ科の人とも仲良くしてみたいし、よろしくね…ええっと…」

「神崎桜だ、よろしく頼む。」

「舞愛です、よろしくね、神崎さん。」

「私もちょっと観戦しようかな?」

「構わない、いや…是非とも見て行ってくれ。」

「うん、楽しみにしているよ。」


教室に着いたら五分程遅刻していた。先生マジおこだ。


「愛さん!リリンさん!何をしていたんですか?」

「「ボーリングで遊んでた。」」

「廊下に立つ代わりに二人共芸でもしてください、愛さんがマジックでリリンさんがダンス。教室のステージでやってみてください。」

「先生、リリンが遅れたのは私のせいです。私がリリンの分までやります。」


リリンはあまり人前で踊るのは好まないし、授業に遅れたのは私が神崎さんと長話していたのが原因だ。


「あんたに借りを作る気はないんだけど…」

「実際に私が悪いんだし、ここで何もしなかったらそれこそ私があんたに借りを作る羽目になるよ。」

「そう?じゃあ任せるよ。」

「な…よ…よくわからないけど仕方がありませんね…では愛さん、あなたのマジックで皆を驚かせてください。」

「ん。」


私が手を振り上げたら、クラスの机と黒板が全部浮かび上がった。間違ってもこれ全部手に隠し持っている透明のワイヤーで天井についているパイプを支点に引き上げているなんて言えない。


「!……素晴らしい…」


クラスがざわついている。事実を知ったらもっとざわつきそうだから黙っておこう。ワイヤーがバレる前に全部ゆっくり元に戻す。まぁ…私はリリンやこのクラスの生徒と違ってプロ意識が低いから、これくらいでいいか…


「これでいいですね?」

「はい、相変わらず素晴らしいマジックでしたよ。」


先生の顔が真っ赤になってはぁはぁしてる…まさかただマジック見たくて怒ったふりしていたとかないよな…?


「あら、ご存じなかったのですか?あの先生は愛の隠れファンなのよ?」

「…そ…そうなんだ…」


休み時間に花宮さんから知らなかった方が良かった情報を得た。


「私、愛とリリン以外にもカイと仲良くしてみた…」

「「やめておいた方がいいよ。」」

「え…?」


私とリリンは同時に花宮さんを止めた。


「あのクズ…カイは危ない、本当に関わらない方がいいよ。」

「でも…折角クラスメートになったし、私達と同じ一流の人って感じがしない?」

「あのクズは一流かもしれないけど、一緒にしないでください。」

「私も、あのクズと一緒にされるのなんてごめんだよ。」

「え…えっと…二人共…?」

「香織、あのクズとは関わらない方がいいのは私も愛と同意見。クラスでは人が良さそうに振舞っているかもしれないけど、あれ程クズな人間は見た事ないよ。」

「あっはっは!酷いなー!全部聞こえているよー?」


紫色のセミロングと目をしているクラスメートが会話に入って来た、秋月カイ、クズ、説明する気も起きない。


「視界から消えろ、クズ。」

「…」

「え…ええっと…二人共…何があったかは知らないけど落ち着きましょ?」

「酷い扱いだなー。ねー?香織?」

「あれ?私まだ名前言ってないんじゃ…」

「やだなー!クラスメートなんだから知ってるに決まってんじゃん!仲良くし…」


花宮さんが気が付いた頃にはカイの身体のあちこちに穴が開き、血が一斉に吹き出していた。


「っ…!」


花宮さんが声に出せない悲鳴を上げた。クラス中が一気に大混乱に陥った。


「うるさいよクズ。そんなに死にたいの?」

「相変わらず愛はチョー怖いねー!目が笑ってないよー?」

「愛、もう行こう、香織もおいで。」

「そうだね。」

「え?あ…えっと…わ…わかりました…わ…。」


花宮さんはボディーガードを連れて私達の後ろに付いて来た。


「次のクラスが別の教室で良かった。」

「本当、あ、花宮さん、教科書持ってきてないなら一緒に読みますか?」

「え…えっと…本当にあのままで大丈夫なんですか?」

「うん、五分もすれば治るから。」

「えぇ!そ…そうなんですか?」

「これでも一応マジシャンなので。」


私がマジシャンな事と五分で治る事はぜんぜん関係ないけどね。


「はぁ…」

「そうそう!心配しなくていいから!絶対にあれに心を許しちゃだめだし、関わっちゃだめだからね?」

「は…はい。」


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