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7.マジックダンスショー(花宮香織視点)

悔しい…リリンと愛が組んで私が認めた人間と組めなくなってしまった…先生にひたすら待ったをかけて抽選の時間を遅らせたけど、組みたい人なんていない!…一旦落ち着こう、リリンと愛のショーを見ながら今後についてゆっくり考えてもいい筈だ…


「香織様、ショーが始まりました。」


ボディーガードの一人が私に話しかけた同時にステージのカーテンが吸い込まれる様にステージの真ん中に集まっていき、いつの間にかそこには無表情の愛が小さく圧縮されたカーテンを片手に持った状態で立っていた。愛の手に持った圧縮されたカーテンが燃え出した、愛は黙ってそれを宙に放り、手刀で真っ二つにした途端、燃えるカーテンの中から満面の笑顔のリリンが現れた。


「これでようやく二人になりましたね。」

「準備時間三時間しかなかったのよね?大丈夫かしら…」


落ちてきたリリンが愛の頭目掛けて回し蹴りをする同時に愛がシルクハットの端を持って目深に被り、体を低くしてそれを躱す。二人はお互いに距離を取り、愛は複数のトランプを空中にばら撒くとそれがリリンに向かって追尾を始めた。対するリリンは踊りながらトランプを避けたりキャッチしたりした。トランプの中にはリリンをすり抜ける物やステージに当たった瞬間小さく爆発した物もある、でもリリンにキャッチされたトランプは全部何ともない。


「あーあ…あいつら、またいつもの喧嘩だよ…」


後ろに座っていたカイが何だか気になる発言をしたけど今はそんな事よりもショーに集中しないと。リリンが踊りからスライディングに繋げて愛に距離を詰めた後、手を地面に付けて身体を翻し、愛のお腹に向かって蹴りを入れようとしたが、愛はその場で消えた。次の瞬間消えたと思われた愛はリリンの真上に現れて、シルクハットをレイピアに変えて両手で持ち、リリンの頭上目掛けて落下してきた。


「そんな…うさ耳シルクハット可愛かったのに…」

「え?問題そっち?」


私の漏れた心の声に後ろに座るカイが突っ込みを入れる。リリンは攻撃を躱すとレイピアは深々と地面に突き刺さった。レイピアが地面に刺さった次の瞬間ステージから幾つもの高台が突き上がり、リリンはバックジャンプでそれに飛び乗った。愛は右手でレイピアを地面から引っこ抜き、リリンの方向に向かって切りつける。レイピアから炎と冷気の斬撃波が飛ぶ。リリンはそれを踊りながら高台から飛び降りたり飛び乗ったりして躱す躱す…二人共凄いな…


「でもやっぱり愛にはウサギのシルクハットが似合うな…」

「どんだけそのシルクハットが気になるのやら…」


後ろから呆れた声が聞こえて来たけど無視無視。その時頭上から爆発音が聞こえて来た。女の子が後ろのビルの窓から落ちてきた。リリンはステージから一気に観客席を走り抜き、ジャンプして女の子をキャッチした瞬間、愛がレイピアをリリン達に向けてから振り上げた。リリン達は突然謎の力によって後ろに引き上げられ、ステージに立ったまま着陸した。愛はレイピアからシルクハットに戻してかぶり直した後、リリンと共に真っ蒼になって慌てている女の子を真ん中に挟み、左右対称に笑顔で礼をしてマジックダンスショーが終わった。一瞬の間を開けて皆で一斉に拍手した。


「二人だけじゃなかったのかしら…?」

「真ん中のあの子はアクシデントで落ちてきただけだからね…」


ん?どういう事だろう…でもカイに話し掛けると二人に嫌われちゃうかもしれないから聞けないしな…まぁいいや。それにしても愛の笑顔は優しさが含まれていていいな…もっと笑ってもいいのに…


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