冷酷な眠り
こんにちは!砂糖漬けビターチョコレートでぅす!番外編楽しんでもらってますでしょうか?本編も近いうちに出しますので!よろしくお願いいたします!
「さぁ…覚悟を決めなさいベリアル。」
「…あぁあああ"ッ!!」
ベリアルは頭を抱え冷静さを一瞬にして失った。
「ァあ"…ッ…煩いっ煩い煩い煩い煩いいぃイイッ!!」
「…やっと本来の姿を現しましたね。」
オーディンは奥で立ち尽くしていたサトゥルヌスに手を翳す…と思った時には床に倒れ込んで、気絶していた。力が…違い過ぎる…。
「…オーディン…。」
「剣様…。ご安心ください…貴方は私が守ります。私の事を愛してくれたお父様の為に、恩返しをしなくては…。」
オーディンは僕に優しく微笑んだ。
父さんの笑みにとても良く似ている…。
「オーディンんゥ"ッ…!!」
ベリアルは鋭い牙をむき出しにしてオーディンに襲い掛かる。それを間一髪にかわすとグングニルでベリアルの翼を叩き潰した。
「がァああ"ッ!!」
「やった…っ凄い…」
僕は思わず拳をあげて喜んでしまった。その姿が目に入ったのか、ベリアルは攻撃の標的を僕に変えた。
「調子に乗るんじゃないぞ…餓鬼…ッ…そもそもお前が…お前がァァあっ!!」
「っ…!!」
剣は足がすくみ、動けずにいた。ベリアルの長い爪が鋭く光り剣の首を掻き切ろうとしたその時。ベリアルの頭が吹っ飛んだ。血が噴水のように吹き出し、僕の足元に首が転がる。
「うわああァ!?」
オーディンがやったのか…!?
だ、だけどオーディンは酷く汗をかき目を丸くしたまま首無しのベリアルを凝視するばかりだ…。とても素早い速さだったのでベリアルの体は硬直し、未だ倒れずに立っている。
「…私ではない…っ…私ではないのだ…ベリアルを殺ったのは…私では…ッ…ならば…一体誰が…ッ…?」
「オーディン…私ではないって、それじゃあ一体誰…ッ誰なの?」
「…随分と騒々しい愚神だ…。」
何処からか聞こえたその地響く声。
剣の後から現れ立つ、幾つもの翼。
オーディンの表情が焦りに満ちていく。
「ルシファー…ッ!?」
この魔王群は6人の幹部、1人の王によって構成されている。6人の幹部達は幹部群と呼ばれ、幹部達にも下界へと行動するものも居れば、城に残り遠隔監視をする者が居る。
そして魔王群の中には幹部群を抜け、独立して下界に手を出す者を裏幹部と言い、その第一幹部がこのルシファーなのだ。
「…疲れただろう、オーディンよ。」
ルシファーはオーディンに攻撃する隙も与えず一瞬にして近付き、腹をバックリと切り裂いた。
「っぐァッ!!」
血を吐き出し、裂かれた所からもドバドバと流れ出る血は大きな血溜まりを作った。その血溜まりにオーディンは激しく倒れ込む。
「う"わァああオーディンんんッ!!!」
劈くように叫ぶ剣をルシファーはまるで赤子をあやす母親のように大きな翼で包み込んだ。
「…騒ぐなサタン…。俺はお前を殺したりしない。ただ、邪魔者を目の前から消しただけだ…。」
「ァ…あ…ッ…」
恐怖で声が出ない剣をルシファーの端麗な手が優しく頭を撫でる。
「ッフふ…可愛いヤツよ。」
ルシファーはオーディンとベリアルの残骸にスッと横に手を振る。次の瞬間大きな雷が落ち、二人は真っ黒な粉へと変わってしまった。
「…掃除は任せたぞサトゥルヌス。」
気絶していたはずのサトゥルヌスがまるで糸を引かれたマリオネットのようにビュンっと立ち上がり、その粉を両手で包むと口に含む。ジャリジャリという音を立てながら食べるその姿を見て剣は吐き気を抑えた。
「…さぁサタンこちらへ来い。」
剣はルシファーに抱き抱えられると、そのまま切れたように意識を失ってしまった。
「何も知らなくていい、何も見なくていい…神に弄ばれた可哀想な少年よ…。」
今はゆっくりと眠れ…
…………………………………………
廊下を慌ただしく走る音が聞こえ、第四幹部のモロクがそれに気付きドアを開ける。
「何事だ?何をそんなに急いでいる。」
「モロク…!それが、僕もあまり状況が理解出来てないっていうか…」
幹部二人が見張りに来たのでサタンの部屋を一度離れたバアルは大きな破壊音が聞こえたのでサタンの部屋に戻った。そして血だらけの床と壁、狂ったように何かを食べていたサトゥルヌスを見て、ただ事ではないと感ずいたらしい。
「サトゥルヌスに何があったのか聞いても、呪術を掛けられているのか何も話さないし…。マジ訳わかんねぇ…っ…!どうしよう、モロク…」
「…お前は第二幹部だろう。しっかりするんだ。その後から来た幹部はサトゥルヌスと誰だ?」
「…第三のベリアルだよ…」
「サトゥルヌスしか居なかったという事は…何者かに殺された可能性が高いな…。」
モロクは口元に手を当て、少し考えるとハッと何かに気付いたように表情を一変させた。
「…そう言えばあの餓鬼はどうした、サトゥルヌスだけだったんだろう?」
「…!!」
バアルの顔から血の気が引いていく。
そうだ…ッ何故居なかった…!?
何処に行ったんだ…!?
「この事をお前はレヴィアタン様に伝えてこい。俺は餓鬼を探しに行く。」
レヴィアタンは、この幹部群を指揮いる第一幹部でその素性はあまり明かされていない。その為、第二幹部が直属の伝達係となっているのだ。
「1人で大丈夫…?結構ヤバめな状況だけど…」
「いざとなったら生贄を使う、大丈夫だ。」
モロクは少し微笑むとサタンの部屋に向かって走っていった。
「…無理すんなよ…。」
……………………………………………
…声が聞こえる…。
凄く遠いところから…誰かが…
僕を呼んでいる…?
「おい…いつまで寝てんだ。いい加減起きろ。俺のベッドだぞ?」
誰…なんだ?
目をうっすらと開けるが視界が眩み、よく見えない。
「ッしゃらくせェなぁ!」
その人物は僕を蹴り飛ばし、見下すように鼻を鳴らした。
「ゥう…ん…」
少年は苦しげに転げ落とされた地面から起き上がる。
「おい餓鬼。お前も買われたんだろ?」
目がようやく慣れてきて、その状況がやっと理解出来た。男の子だ…白銀の髪の毛で、顔は綺麗に整っている。…歳はそれほど変わらなく見えるけど…。
「…餓鬼って…君も同じくらいだろ。」
僕が少し皮肉っぽく言うと気に食わないのか僕の胸ぐらを掴み、目をジッと強く合わせてきた。
「質問に答えろ。サタンに買われたんだろ?」
サタン?あぁ…そうだった…。
「…そうだけど。」
「随分と冷静だな…?全然言う事を聞かないクソ餓鬼だって聞いていたのに。」
白銀の少年は馬鹿にするように笑うと、胸ぐらを掴んでいた手を離し、ドカっと椅子に座る。
「…あ、そうか…。その様子だとルシファーに記憶を消されたな。」
「ルシファー…?」
「何でもねぇよ。」
あの後、ルシファーにここまで運ばれた剣はサタンに買われるまでの過程、父親や母親の事を記憶から抹消されてしまったのだ。残ったのは自分がサタンになったという記憶のみ。
「…君の名前は?」
「俺はハデスだ。お前と違って純正の冥府王の血が流れていて…父さん、ハデスから名前を貰い、魔王群の第二王として君臨している。」
天井に顔を向け、気だるそうにそう喋るハデスに何故かサタンは心を開こうと笑顔を向けた。
「へぇ!凄いじゃないか!」
「…第二王の何が凄いんだよ。お前のせいで俺は…また第二止まりだ。ようやくあの老いぼれサタンが居なくなったと思っていたのに…。」
ハデスはサタンを睨み付け、深い溜息を吐いた。
「これはしめた…俺がようやく魔王になれる。そう考えていた時に何処ぞの知らねぇ餓鬼がやってくるんだ…サタンと契約したとな。貴様のせいですべての計算が狂ったんだ!」
椅子から勢いよく立ち上がり、一つ足で地面を踏み付けるとそこが無残にヒビ入り白煙が立つ。
「そんなに怒らなくても…」
僕は人差し指で頬を掻くと苦笑いを浮かべる。
「しばらくここで暮らすことになると思うんだ。父さんも母さんも幼い頃に亡くなっているし身寄りもないからさ…。仲良くしようよ。」
そう言ってサタンは握手しようと片手をハデスに差し出す。
「(…父親を殺されたという記憶も消されていて、別の記憶に書き換えられている。ルシファー、コイツの命果てるまで利用するつもりか…サタンの血に染まるまで…。)」
ハデスはその手を軽く叩くと、妖艶に笑う。
答えてくれたのかと、なお笑顔になるサタンの目が淵から徐々に赤く染まっていくのを…
まだ誰も気付いていなかった。
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すいません