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朝早く、私の我が儘な行動に護衛のタリは付き合ってくれる。

シャルの屋敷まで歩いて20分、だから早朝の散歩となったの。


「いきなり無理言ってごめんなさい」

「お気になさらないでください。私はただの護衛ですから」


私とタリは並んで歩いている。

タリが護衛はそんなことしないと拒んだんだけど、私は話し相手が欲しかったからお願いした。


「だって、タリだって都合があるのに、そうでしょう?」

「まったく、ルミーア様は…」

「呆れた?」

「はい、護衛の人間にそこまでお気を使われる方は初めてです」


けれども、タリはそう言いながらも、適度な距離で私を護衛してくれる。


「これから、よろしくね?」

「はい」



そんな話をしながらシャルの屋敷に向った。

当然の様にシャルは待っていてくれる。




そして、朝を25寮で食べてこなかったから、シャルと一緒に食べてる。

また私の大好きなクロワッサンが焼きたてなんだ。

それに、今日はアイスクリームもある。

ムフフ、焼きたてのクロワッサンの上にアイスを乗せて頂く…。


「美味しい!」

「美味しいものは栄養も豊富だぞ?」

「いいの、いっぱい運動すればいいでしょ?」

「朝からか?」

「え?」


シャルの目は…、馬鹿。

誰もいないからいいけど…。


「何を言ってるの?」

「それはミアに言いたい台詞だな」

「シャル、意地悪」 

「ちなみに、午前中は何も用事がない」

「もう…、ン」


シャルの手が私の顎を掴んで、キスしやすいように仕向ける。


「さぁ、」

「馬鹿…」


そう、私も馬鹿だから、私からキスしちゃう。

唇が離れるとシャルが囁いた。


「素敵だ」


今度はシャルから…。


「あ、ん、セバスチャンが、来ちゃう、よ」

「来ない」

「え?」

「デザートまで出したら、来ない」

「あ、」


唇がまた触れる。

せっかく整えてきた髪を、シャルの指がクシャクシャにする。

けど、それさえも心地よいから、始末が悪いって思う。

充分にキスを交わしたらシャルが変な事を言う。


「もうちょっと食べてからにすれば良かったな?」

「もうちょっと、って、それって、我慢出来ないってこと?」

「当然だ、昨夜は我慢したんだぞ?」

「だって、それは、私も、同じ…で、」

「なら、いいだろう?」

「まだ、朝なのに?」

「朝だろうが夜だろうが、ミアがいる時間はいつも触れていたいんだ」


負けちゃう…。


「うん…、」

「愛してる」

「私も」


こっそりとシャルの部屋に戻って、私達はキスの続きを始める。

こんな時っていつもよりその気になるみたいで、良くない。

シャルの舌が、私の肌に触れるとそれだけで続きを求める私。


「あん、」

「色っぽいな、」

「だって、あ、」

「声を聞いてたい」

「もう、、あ」


シャルの髪に触れると時間を忘れてしまうから、駄目なのに…。


「もっと、いいだろう?」

「あん、」

「ほら、感じてる」

「けど、これで、最後、ね?」


残念そうな顔をする。


「仕方ないか?」

「うん、戻らないと。姉様がいるから」

「わかった、じゃ、もう一度だ?」

「もう一度って、」

「やめる?」

「やだ、」

「だろ?」


そう言って散々私を感じさせてから、シャルが私の中に入ってくる。

愛おしくてたまらない。

シャルを抱きしめて離したくなくなる。




けれど、身支度を整えて、軽い軽食を一緒に食べてから25寮に戻った。



ちょっとくっつき過ぎな位な私達は居間に入る。


「ただいま…、」


あれ、誰もいない。

姉様はどこに行ったのかしら?


「どうした?」

「誰もいないの。姉様もいないし、マドレーヌは午後からは授業がないはずだもの。寮に戻るって聞いてるのに」


そこにナターシャが現われた。


「お帰りなさいまし」

「ただいま、ねぇ、皆は?」

「マドレーヌ様はケイト様と外出なさいました。ラルディア様はお部屋に」

「ラル?疲れたのかな?」

「きっとそうだと思います」

「ラルと言うのは、昨日、マドレーヌの隣にいた女性か?」

「そうなの」

「見事な赤髪だった。綺麗な女性だ」


ラルを褒めてくれて私まで嬉しくなる。


「でしょ?ラルはね、私達の中で1番女ぽくて、気が利いて…、だから、あんなことになったんだけど…」

「あんなこと?」


どう言って伝えたらいいんだろうか。


「お茶を用意してきます」

「お願い」


居間に2人きりになった。

手短にラルとネルソンのことを話した。


「あいつが、そうか…」

「酷いでしょ?」

「まぁ、…、そうだな、うん」


歯切れが悪い。


「俺はネルソンのことを責められないから」


あ、側室がいた人だった。


「男の人って、そうなの?」

「ルミーアがいるから今は違う!誓って違うからな!」

「わかってる…」

「なら良かった…」

「けど、ネルソンが酷いのは違うの?」

「そうだな、酷いことには変わりはない。けど、男性としてネルソンの気持ちが分かるってこと」

「そう」


そこへラルが降りてきた。

足取りは軽い。

私達と向き合うように腰掛ける。


「おはようございます」


そして、急にこんな事を言い出す。


「殿下、少し話してもよろしいでしょうか?」

「俺とか?」

「はい、申し訳ありません、私ごときが殿下と話したいなどど、まことに、」


シャルは笑顔で答える。


「気にするな。俺も人間だ。それに俺はなりたくてこの地位にいる訳じゃない。何も起こらなければネルダーでルミーアと一緒に商売でもしてた筈だからな」

「そう?」

「もちろん。ミアは何の商売がいい?」

「そうだね、漁師?」

「それもいいな」

「でしょ?私、毎日シャルの帰りを待って、あ、」


みっともない所を見せそうになったから、慌ててラルに謝る。


「って、ごめん、ラル」

「いいんです。お2人を見てると、なんだか気持ちが楽になります」

「ならいいんだけど」

「ラルディアの髪は見事な赤髪だ。美しいな」

「あ、ありがとうございます」

「セントニアの出身か?」

「はい、殿下はお詳しいのですね?」

「俺の剣術指南がセントニアの出だからな。彼の赤髪も美しい」

「その方のお名前は?」

「ジルバート・オデッセイ」

「あ、ジル小父様ですか」

「知り合いか?」

「父の友人です。そういえばここ何年か会ってませんでした」

「元気にしてるぞ、会いたいか?」

「そうですね、会いたいです」

「城にいる。いつでも会えるようにしておこう」

「ありがとうございます」


知り合いがいるって分かると心強いよね。


「で、俺に聞きたいことってなんだ?」

「あのですね、その、殿下には側室がいたと聞きました」

「いたな、けど、今はいないからな、本当だぞ?」


私に念を押してくる。

可愛い。


「分かってるから」

「うん、で?」

「あの、その、殿下はその、側室に慰められたと感じたことはありますか?」

「「え?」」


驚く。

だって、ラルの言葉は突拍子もないものだ。


「あのですね、好きではない女性と、その、いたした時は、満足の他に、救われたとか、助けられたとか、思うものなのですか?」


思わず顔を見合わせる私達。


「シャル、私、席外そっか?」

「いや、いてくれ」


ラルは申し訳なさそうに言葉を出す。


「すみません、このようなことを聞いてしまって…」

「大丈夫だ。ラルディアは好きでもない女性と寝ることによって救われることが、本当に在るのか知りたいのだな?」

「はい」

「そうか、」


シャルは瞼を閉じて黙ってしまった。

ラルは不安そうに見ている。

その瞼がゆっくりと開かれて言葉が続く。


「救われるという事に焦点をあてるならば、俺は救われたことがある」

「本当でしょうか?」

「ああ、すくなくとも独りじゃないと感じることは出来た。それだけでも救われるものだから」

「良かった…」


分かりやすくラルは安堵してる。

やっぱりだ、ラルはネルソンを気にしてる。


「決めました!」

「何を?」


ラルが私達に宣言する。


「ルミーア、私、クラブを辞めようと思います」

「え?」


びっくりだ。



そこに…。




「ラルはいますか!」








怒ったマドレーヌが帰って来ました。






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