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時間跳躍篇 終章 嵐の前

 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。

 立川飛行場。


 大日本帝国陸軍航空隊の基地である立川飛行場は1940年代には実戦部隊は置かれていない。しかし、陸軍航空部隊の研究、開発、製造が行われている。


 立川飛行場は自衛隊の施設部隊と民間の土木業者等により、滑走路の延長、整備、宿舎等の建物が建設された。


 ここを使っているのは陸軍、陸海空自衛隊の航空部隊、陽炎団航空隊、水神団航空隊、海上保安庁航空隊、機動隊、SAT、SST等が駐屯している。


 立川飛行場に設置された射撃場ではSAT狙撃支援隊(通常は狙撃支援班であるが、陽炎団警備部に所属しているSATは中隊編成でその下は班ではなく、小隊編成している)に所属している高荷は相棒の観測手と共に射撃訓練をしていた。


 PSG-1の狙撃眼鏡を覗き、人型標的の頭部に照準を合わせ、引き金を引く。


 バン!


 PSG-1の銃口から火が噴き、7.62ミリ弾が撃ち出される。


 7.62ミリ弾は人型標的の頭部を吹き飛ばした。


「お見事」


 観測手である田和(たわ)(むら)栄一(えいいち)巡査長が観測用の双眼鏡を覗きながら言った。


「距離500メートルで無風なんだ。命中して当たり前だ」


 高荷は誇ることもなく、言った。


「まあ、そうだろうな。全国の警察で5番目(射撃)に入るからな。これぐらいは朝飯前か」


 田和村は高荷の肩を叩いた。


「さて、次の目標の指示を出してくれ」


「よし、わかった。次は右だ。400メートル先、風は無風」


 田和村の指示で高荷は右にある人型標的の頭部に照準を合わせる。


 十字線を頭部に合わせると、息を吐いて、止める。


 手ぶれが止まり、その一瞬のうちに引き金を引く。


 PSG-1の銃口から火が噴き、人型標的の頭部を吹き飛ばす。


「命中だ。射撃訓練は終了だ」


 田和村の言葉に高荷はPSG-1の安全装置をかける。


 伏せ撃ちの姿勢から、立ち上がった。


 高荷は大きく背伸びをした。


「疲れたか?」


「そんな訳ないだろう。だが、ずっと同じ姿勢にいるのは辛い」


「そうだろうな」


 その時、拍手の音が射撃場に響いた。


 高荷と田和村が振り返ると、紺色のアサルトスーツを身につけた長身の男が拍手をしながら、近づいてきた。


「そっちの訓練も終わったのか?」


 高荷は大阪府警察学校時代からの友人である男に笑みを浮かべて言った。


「ああ、終わった」


 長身の青年も同じく笑みを浮かべて答えた。


 彼は陽炎団SAT第1制圧小隊に所属する森山(もりやま)重信(しげのぶ)巡査長だ。


「新しい特殊銃の具合はどうだ。特殊部隊の主力装備だからな使い勝手はいいだろう?」


 高荷が質問すると森山は頭を掻きながら、答えた。


「さすがに実績のある銃は89式5.56ミリ小銃とは違うね」


「M4A1だけ、陸上自衛隊で特殊作戦群が採用されている」


 田和村が言った。


「そうだよ。でも慣れるのにしばらく時間がかかるな。もう少し射撃訓練したいけど、無理な願いだからな」


 森山が腕を組みながら、つぶやく。


「仕方ないさ、この時代に持ち込んだ弾薬には限りがあるからな。工場で生産しているとはいえ、すぐにはできないさ」


 高荷がPSG-1を見下ろしながら、言う。


「しかし、なんで今になってM4A1を警察が導入したのかな?」


 田和村が首を傾げる。


「それは決まっている俺たちの戦場は室内が多いし、最近のテロリストは近接戦が基本だ。近接戦闘がしやすいM4シリーズがうってつけなのさ。それにM4は俺たちSATだけではなく、刑事部のART(人質立てこもり事件突入救出チーム)にも導入されているらしい」


「なるほどね」


 高荷の説明に田和村がうなずいた。


「大変なのは特殊銃だけではない」


 森山が言った。


「部隊の規模がでかくなったから、連携をとるのも大変だ。まあ、他県だっていっても同じSATだから、少しは楽だけど」


 陽炎団警備部所属のSATは警視庁、大阪府警察、北海道警察、千葉県警察、神奈川県警察、愛知県警察、福岡県警察、沖縄県警察に所属しているSATから選抜された隊員たちで編成されている。その数は60人である。


「ところで、俺たちに何か用か?急用でなければここには来ないだろう」


 高荷が聞くと、森山は答えた。


「いや、急用という訳ではないが、明日、帝国陸軍、自衛隊、海上保安庁、警察、消防でチームを編成して野球をやるそうだ。それで高荷、SSTのチームが不足しているから、そこに入ってくれよ」


「いや、俺は・・・」


「攻撃しかできないのは知っている。SSTもそれで十分だと言っていた。だから、入ってくれよ」


 森山に頼まれると、高荷はしぶしぶとうなずいた。


「わかった。攻撃だけでいいなら、やろう」


「しかし、誰が言い出したんだい?」


「陸軍のお偉いさんだそうだ。まあ、一種の親善を兼ねた交流試合ってやつだな」


「ふ~ん」


 スポーツを通してお互いを理解し合うのもいいかもしれない。


 高荷はそう思う事にした。





 しかし、年が明けてすぐに事件が彼らを待ち受けていた。

 時間跳躍篇 終章をお読みいただきありがとうございます。

 誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。

 こちらの作品は不定期でまとめて投稿します。

 次回の投稿予定は2017年の1月末から2月上旬までを予定しています。

 詳しくは本編のあとがきで報告します。

 次回は昭和事変篇です。

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