8:確認
遅くなりました。
お仕事が忙しい……と言ってしまえば言い訳なのですけども、少しバタバタしていますのでもしかしたら2日に一遍となってしまうかもしれません。努力はしていきますのでよろしくお願いします。
※ユニークPV6000人突破。ジャンル別日間5位……総合日間37位……ありがとうございます。
感謝しています。これからも、少しずつ精進していきます。
……それから、30分程度ようやく落ち着いた私は、フェーリとアイリスから手を離す。
2人は、『本当に大丈夫?大丈夫?』と言いたげな顔で、こちらを見つめている。
――「もう、大丈夫だよ。ごめんね」そう口にしながら近くに生えていた木を支柱代わりにして、立ち上がろうとする。
(少し、疲れちゃったな……)
そんなに長い時間の戦闘をしていないのに、一日中戦闘を続けていたかのような……
そんな錯覚を覚えながらもどうにか立ち上がるが、木から手を離すと足元がおぼつき……フラフラッとよろめく。
『……やっぱり大丈夫じゃないじゃん』そんな風に思っているのだろう。2人はこちらをジト目で見てきた。
「だ、大丈夫だから!! ほら!ほら!!」そう言いながら、その場で足踏みを何度も繰り返す。
その様子を見た2人は、『やっぱり大丈夫じゃないね』そんな風に思ったのか、呆れたように目を背けるのだった。
「……無理はしてないよ。本当に」そう2人だけじゃなく、私自身にも言い聞かせるように呟く。
……たった一回の戦闘を通しただけなのに、ひどく憔悴してしまった私は、今日はもうユーフェンスの街に帰ろうと2人に告げ、街に向って歩き始める。
その間に、何度かモンスターと遭遇はしたが、ほとんどがスライムだった……こちらから手を出さない限り、戦闘状態にはならない為、2人には「無視しようね」と言いながら歩き続けた。
♦
……やっとの思いでユーフェンスの街まで戻った私は、小さな声「戻ってきた……」と呟く。
その様子を、門番であるバーニャさんが見ており、心配して「何かあったんですか?」と声をかけてくれた。
……実は、と話し始めた私の話を聞いて、バーニャさんは微かに険しい表情を浮かべる。
「スナールドッグ……ですか。この辺りにはスライム位しかいないはずなんですが……」と言う。
ちなみに、どの辺まで狩りに出かけたんですか?と聞かれた為、覚えている限りの地形を説明する。
「――周りに、木が生え始めるあたりですね……先には雑木林が見えてはいましたが、流石にそこまでは足を運びませんでした。周囲が見えない状況で初めて使う魔法を、使いたくなかったので」
そう、告げた私に、やはりどこか険しいままのバーニャさんは「そう……ですか」と歯切れ悪く答え、何か考え事をし始めた。
「……私の言葉に、何かおかしい所はありました?」
思わず、そう訊ねた私にバーニャさんは表情を崩さないまま言葉を切り出す。
「いえ、雑木林まで足を延ばしたならスナールドッグに出会うのはわかるんです。日が陰り、周囲が見渡しにくくなる……その中でスナールドッグと戦闘になってもおかしくはないんですが……」
やはり、言葉の歯切れは悪い。
「つまり、雑木林よりも手前で戦闘になる可能性は、ほぼあり得ないってことでしょうか?」
答えを先読みするように私が尋ねると、バーニャさんは静かに頷いた。
(……そう言われると、あの時のスナールドッグについていた、『異常な』という部分がやっぱり関係しているのかな?)そう考えた私は、合わせてバーニャさんに報告をする。
――するとバーニャさんは血相を変える。
「それ、本当ですか!! そうならすぐに各ギルドに報告しないと……」
もしかしたら、その時の状況を今度ミアさんにお訊ねするかもしれませんが、よろしいですか?
そう聞かれ、「覚えている範囲でいいなら……」と答える。
――それから、私の滞在先を訊ねるため、バーニャさんに教えていただいた≪赤猫の鈴≫という事を伝えると、少しだけ表情を緩め「わかりました。ありがとうございます」と言った。
その後すぐに、表情を引き締め、早速今の状況を各ギルドに報告してきます……と立ち去ろうとするバーニャさんに「待ってください」と声をかける。
「何か……大変なことなんでしょうか?」少しだけ震えた声で尋ねる。
「そうですね……ミアさんは当事者ですし、これからきっと質問されることもあるでしょうから説明しますね」とバーニャさんは『異常なスナールドッグ』の説明を始める。
≪鑑定≫スキルを持っている人がいないと、わからない事ではあるが……と前置きして。
――時折、通常のモンスターとは異なったモンスターが発生することがある。
その多くは、住処に自身より強いモンスターが住み着いた時に起きるか……『モンスターの大量出現』している場合の2つなんだよという説明をしてくれる。
そして、今回の場合は……『恐らくモンスターの大量発生』だろうという事も、説明をしてくれた。
――どれくらいの規模かわからないが、簡単に言うと、モンスターが一定量増えるにつれてより凶暴な個体が現れることがある。そう、バーニャさんは言う。
……そして血相を変えた理由はもう一つの事に起因する。
『大量発生したモンスターは、ある程度数がそろうと……街に向って進行してくるんだ』詳しい事はわかってないんだけどね。
「――だから、今の現状をギルドに報告しておかないといけない。まぁ、何事もなければそれが一番なんだけどね。たまたまミアさんが、出会ってしまったモンスターが、何かしらの理由で暴れていただけならね」
そういってから少し間を置いて一言付け加える。
「……だけど、常に最悪の展開を予想しておかないとね。ほら、よく言うだろ……備えあればなんとやらってね」重たくなった空気を壊すかのように、バーニャさんは、大丈夫、気にするなと言って、詰め所にいるほかの門番と見回りを交代して、ギルドがあるであろう方向へと歩いて行った。
♦
……何となく、先ほどの説明にざわつく心を抑えながら≪赤猫の鈴≫へと戻ってきた私達は、落ち着いた環境を求めて、宿泊している部屋へと戻る。
ちなみにレリックさんには「その狐?と精霊……はどうしたんですか?」と聞かれたため、『私の召喚獣と精霊術です」と答えると「ものすごい才能をお持ちなんですね」と言っていた。
……部屋に戻ってきた私はベッドに寝っ転がる。アイリスとフェーリはそんな私のおなかの上にゴロンと横になった。
(……少し重い)そう思ったのは内緒である。
それから、ステータス画面を開き、先ほどの戦闘ログを確認する。
やはりLvは2上がっている。フェーリとアイリスのLvは上がらなかったが……これは経験値の増え方やレベルアップまでに、必要な経験値が違うんだろうなと納得してステータスを確認する。
【キャラ名:ミア】 【性別:女】 【種族:人間】
【職業:冒険者】
Hp 300/300
Mp 35/35(70)
Str 12
Int 12
Def 12
Mdf 12
Dex 12
Agi 12
Luc 12
【習得スキル】
―戦闘スキル―
・精霊術Lv1『アイリス』
・召喚術Lv1『フェーリ』
・水魔法Lv1 ・支援術Lv1 ・棒術Lv1 ・気配察知Lv1
―生産スキル-
鑑定Lv2 採取Lv1 細工Lv1
―言語スキル―
精霊言語Lv1
残り『SP10/10』
――一通り上昇値を確認したが1ずつしか上がっていなかった。
ここから推測されるのは、冒険者の間はステータスは1ずつしか上がらないという事。
……そうなるとLv10になった際のステータスはAll20となる。
そこからが、本当のスタートなんだね。と思いつつ……
上昇によって、もらえているステータスポイントを確認し、どれに振り分けようかを考える。
……ステータス値によってどんな影響があるか、説明文が出てきているため、それを読みながらゆっくりと考える。
Str:物理ダメージに影響。また武器によっては必要値が設定されていることもある。
Int:魔法スキル系のダメージに影響。杖や魔導書を扱う際に必要となる場合がある。またMPの上昇率に若干の補正がかかる。Int値が高ければ高いほどLvUP時のMP上昇率が上がる。
Def :物理ダメージ軽減に影響。鎧装備時に必要値が設定されていることがある。またHPの上昇率に若干の補正がかかる。Def値が高ければ高いほどLvUP時のHP上昇率が上がる。
Mdf:魔法ダメージ軽減に影響。ローブや魔鎧に必要値が設定されていることがある。また、値が高ければ高いほど、状態異常にかかる確率が減る。
Dex:物理.魔法の命中率、クリティカル率に影響。また弓装備の際の攻撃力――クリティカル確立に影響。弓の装備に必要値が設定されていることもある。
Agi:素早さに影響。値が高くなれば高くなるほどスピードが上がり周囲の世界の体感速度が下がる。また長距離走れるようになるため、一日当たりの移動距離に影響する。
Luc:様々な事柄に影響。アイテムドロップ率や、クリティカル率などetc....
――頭の奥を一つずつ情報が流れていった。その中からMPが半減していることを一番気にしている私は。
ためらわずIntの値へと4Pふった。
【キャラ名:ミア】 【性別:女】 【種族:人間】
【職業:冒険者Lv3】
Hp 300/300
Mp 35/35(70)
Str 12
Int 16
Def 12
Mdf 12
Dex 12
Agi 12
Luc 12
ステータスの値は現在こうなっている。
ポイントの振り分けに必要な値は、10の位の数に影響されているのか……現状は、1Pでステータスが1あがった。
その様子を確認した私は、お腹の上でいつの間にか眠っているフェーリとアイリスをそっと撫でて、一息つこうと、目を閉じた。
ギルドへの報告――バーニャさんの血相を変えた話。異常なスナールドッグ。
どれも、少し先のクエストへとつなげるためにあえてここで書いておきます。
たしか、最初はステータス周りだけをかこうとしていたような気がしたんですが・・・・