5:図書館にて
7/9日 累計アクセスPV1万突破+ジャンル別日刊10位ありがとうございます!少しでも楽しんでいただけるよう頑張ります。
これまでの話を少し再考しました。特に四話は変更が多いかなと思います。
目的地→ギルドから図書館へと変更。(二話の1Lv~10Lvのチュートリアルの話からLv変動描写まだないため)
広場までの道を歩いている道中私は、レリックさんの奥さんが作ったというサンドイッチをお弁当箱の様な物の中から一つ手に取る。
「……んー、いい匂いがする。歩きながら食べれるし一つ食べてみよ」
サンドイッチを綺麗に挟んでいる包み紙を外し口へと運ぶ。
少しサンドイッチを挟む力を強めてしまったのか、中に入っていたソースが漏れてくる。
(こんな所まで、細かく再現してるんだ……)思わずそう考えてしまった。
手にソースが少しついてしまった事も気にせず、そのまま小さく一口齧る。
流れ出たソースはピリ辛く、ほんのりと酸味を感じさせる。
サンドイッチの中身に入っていたお肉は弾力が強く、噛み切ろうと力をこめると肉汁があふれ出てきた。
一緒に入っていた卵はやや甘く味付けされており、口の中に広がる辛さを中和しており、後味を爽やかにしているように感じた。
口の中からサンドイッチが溢れないように注意しながら一気に残りを口に運ぶ。
ゆっくりと咀嚼しサンドイッチ飲み込んだ私は、月並みの言葉で感想を口にする。
「すごく、おいしいこれ……」
料理の味をここまで再現している……その技術に驚くよりも先に、サンドイッチの味へと心を奪われていた。
こんなにおいしいものを一つだけじゃ我慢できない……
まだ3つ残っているサンドイッチを次々手に取り口へと運ぶ。
あっという間に2つを食べきり、残り1つとなった時、ふと思う。
(そういえば、この具材、何を使ってるんだろう?)
ゲーム内のモンスターの者なのか、それとも違うのかが気になって仕方なくなってしまう。
そう考えを膨らませていると、鑑定スキルの事を思い出す。
「これって確か、いろいろなものに使えるんだよね……スキルレベルは低いけど、どうかな?」
情報に出れば儲けもの。そんな気持ちで鑑定スキルを、サンドイッチに向けて実行する。
――アイテム名が表示される。
≪ボアエッグサンド≫
……続いて、説明文が流れる。
『キーンエッグとレッグボアのもも肉をふんだんに使い、辛口のソースで挟んだもの。後味が爽やかに感じるように隠し味されている』
短いながらも料理名と何の素材を使っているかが分かった。
隠し味がされているということから、このボアエッグサンドは普通と違うのだろうということも推測できた。
「鑑定レベルが上がるともっと詳しくわかるのかな?」
そう呟きながら残り一つとなったボアエッグサンドを口へと運んだ。
♦
それから噴水の広場まで戻ってくる。
レリックさんからもらった図書館までの地図を見ると、意外とすぐそばにある事がわかった。
地図を見ながら図書館を探す。
いま噴水を前に見て右の路地から出てきたから……
『左の大きな道に進めばいいのね』星印で記された図書館までの道を導き出す。
ある程度図書館までの道がわかった所で、メモしまい歩き出す。
しばらくすると、大きくて立派な建物が見えてくる。
その、建物には一見してわかるように入口に建物名が書かれていた。
【ユーフェンス大図書館】わぁ、安直だぁ……
そう思いながらも、図書館へと足を進める。
図書館内に入ると右手に受付カウンターが見え、そこに一人の女性が座っている。
あの人は受付の人かな………?闇雲に探してもすぐに見つからないだろうし…
こうゆうときは尋ねるのが一番だよね!ということで、声をかける。
「あのぉ、すいません……」
女性はこちらに顔を向け答える。
「あら……図書館へようこそ。ご利用は初めてでしょうか?」
「はい、初めてです。本を探しているのですが……」と尋ねる。
「では、本題に入る前にこの図書館について説明さていただきますがよろしいですか?」と途中で、遮られる。
「構いません。どんな事でしょうか?」
「簡単なことですよ。貸出の事についてとその際の日数。そして貸出カードの説明ですね」
と、毅然とした態度で彼女は答える。
「さて、では……説明の前に、私はこの図書館の司書を担当しています、レイラと申します。何かわからないこと、お探しの本があれば、お気軽にお尋ねください」
――その一瞬だけ、こちらを向いて微笑んだ……が、すぐに表情を引き締め、説明を続ける。
「この図書館の本は貸出が可能です。その際にはこちらの貸出カードを使用しますので後程、作成させていただきますね」とカードを見せてくれる。カードは。現実世界の学生証のような物だった。
「……本の貸出は2週間となります。図書館内では当然、ご自由に読めますが読み終わったものは元の位置へとしまってください。またこれも当然ですが、図書館内ではお静かにお願いいたしますね」説明は本当に簡単なものだった。
その後、貸出カードを作るために紙に、名前を書き込んでいく。
必要な情報として、名前――職業--出身地……などがあった。
当然、名前と職業しか書けない私は、レイラさんに尋ねる。
「あの名前と、職業しか書けないんですが……大丈夫でしょうか?」冒険者と綴られている、紙を眺めレイラさんは「それで大丈夫ですよ。冒険者の方は流浪の人が多いですから」と答えた。
……それを聞いて安心して、名前と職業を書き込みレイラさんに渡す。
「すぐ作りますので、お待ちくださいね」と必要な情報を紙から読み取り何かの機械に打ち込んでいく。
……それから、ほどなくして「できました、こちらがミアさんの貸出カードになります」とカードを手渡された。失くしてしまうと再発行には、200ルクセントかかりますのでご注意を。
そういった後にレイラさんは「……では説明を終わりにして、どんな本をお探しですか?」
と切り出した。
「……精霊術と召喚術に関しての本を探しているんですが、この図書館にあるでしょうか?」
――尋ねられるままに答えると「少しお待ちくださいね」と、カタカタと先ほどの機械を指でたたいていく。
それから「この通路の本棚の周辺にあると思います」と機械から図書館の案内図の様な物を印刷して私に手渡した。
「ありがとうございます。もしかしたらかりる事になるかもしれませんので、そしたらまた来ますね」とレイラさんに告げ、案内図を手にゆっくり後歩き出した。
図書館の中は、思っていたよりも広く目的のコーナーへ着くまでも10分程度の時間がかかった。
たどり着いた時には軽い疲労感を感じたが、それよりも精霊術と召喚術の事についての興味が先行し
休むといった選択肢は浮かばなかった。
召喚術と精霊術の本がおいてコーナーを端まで眺めていく。
その中には≪誰でもわかる魔法大全≫≪初めての精霊術≫といった基礎教本を始め、≪白き精霊術師≫≪伝説の召喚術師≫といった、子供が読むようなおとぎ話まで、ずらりと、本が並んでいた。
その中でも気になったものをいくつか手にとって、近くに設置されていた椅子へと腰掛ける。
私が手に取ってみた本は≪精霊術の手引き≫、≪召喚術の全て≫≪魔法と精霊術の違い≫≪精霊と召喚獣≫
といった、おそらく教本であろう2数冊と、個人的に気になった2冊である。
まずは≪精霊術の手引き≫をパラパラとめくっていく。
……冒頭には。
『精霊術をこれから学ぼうと思っている読者へ、精霊術は魔法とは違い、呼び出される精霊は生きているそのことをまず念頭においてほしいと』丁寧に言葉が記されている。
呼び出された精霊は、魔法によってこの世界に生み出される。
――言わば契約した瞬間にこの世界に生まれ落ちるといった背景が書いて有った。
その為、成長するために契約直後は術者の多くのMPを使うことになるだろうと、注意が書かれている。
その次には、成長した彼らは術者の大きな力となるだろうとも書かれているが。
契約時にはMPを消費する。そして精霊のクラスや、属性によって消費MPには偏りがある。
……これはMPポーションを利用することになりそう……
スキル説明に書かれていた精霊の階級については簡単に触れられており。高位に近づけば近づくほど、人型に近くなると書かれていた。
中位であれば、動物をかたどり、下位になると姿がとらえにくいらしい。
だが彼らはそれぞれ、自我があり精霊言語を用いて会話が可能と書いてあった。
また召喚する精霊は、術者の気分や願望をある程度反映して属性が決まる……確証はないがとも小さく書かれていた。
その小さく書かれていた事に、この世界の人でも知らないことはあるんだなぁと私はほっこりする。
その後もほんのページを進めたが、ほとんどはスキルの説明で語られているような事ばかりだった。
大きな収穫は契約したときにこの世界に生まれるという事と、ある程度術者の気持ちを反映するっていう事かなと考えながら≪召喚術の全て≫という本を手に取る。
先ほどの本と同じで、冒頭がありそこには
≪召喚術の全てを知りたい読者へ、まずは召喚獣は読者と同じで生きている≫
なにかデジャヴを覚える言葉がつづられている。
……まさか!! と、著者を確認すると、どちらの本も同じ著者が書いていることが分かった。
(これは……何となくほんの内容が予測できる……)
と嫌な予感を覚えながらも私は本のページを若干震える手でめくり始めた。
……
ある程度読み進めたところで乾いた笑いを浮かべる。
そうだろうなーとは最初から思ったたけど、その通りで本には精霊術の本と同じようなことが書かれていた。
著者が同じ時点でやめておけばよかったと、少しだけ後悔する。
それでも、この世界には召喚術と精霊術を学ぼうとする人がいる、学んでいた先駆者がいる。
それを知れただけでも、やっぱり少し違うんだろうなと思った。
残りの本はあと2冊ほどあるが、先ほどから本を読めば読むほど、私の心がうずうずしている。
やっぱり自分は精霊とか召喚獣が好きなんだなって実感する。
そして、はやく自分が召喚する契約する。自分だけの精霊が召喚獣が見たいんだって
残りの二冊。それは魔法との違い、召喚獣と精霊の違いについて書かれているであろう本だが…
それよりも先に、早くスキルを使いたいという気持ちが勝った為、本を受付カウンタ―へと持っていく。
レイラさんはそれを見て微笑み「いい本は見つかりましたか?」と言葉をかけてくる。
「……ええ! やっぱり私は根から夢物語が好きなんだなって。それが自分でもできるのかもって思えるような……そんな本に出合いました」満面の笑みで答えると「そんな大袈裟な……」と、レイラさんは首をかしげる。
「今の私は少しでも早く試したいことができました。なのでこれをかりてもいいですか?」と先ほどの2冊の本と、貸出カードを渡す。
レイラさんは「わかりました。」と情報を打ち込み、どうぞと本を手渡してくる。
ありがとうございます!そう答えた私は図書館を足早に出て昂る気持ちを抑えながら街からフィールドへと続く道を走り出す。
これから出会うであろう、精霊や召喚獣に想いを馳せて。
やはり、言葉って表現って難しいなと実感しております…。いろいろ表現できるよう頑張ります。
その他、なるべく見直して誤字などなおしているつもりですが、ありましたらご助言を・・・