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WFWの精霊召喚術師  作者: 栗花落
1章:初めてだらけの世界
18/18

17:イベントの動向

御免なさい……遅刻です。

そして短いです。

次は、土曜日の夜に更新できたら……いいな。

――イベントがスタートした。

ステータス画面を開くと、新しいお知らせが表示されている。


【特殊イベント:イニティウムの森、攻略戦スタート】

その下には、先ほどのアナウンスで徐々に説明されていたものが、一纏めに表示されていた。


噴水の広場周辺に居たプレイヤーは雄叫びとともに、イニティウムの森を目指して姿を消していく。

その中にいる私達のパーティーはすぐに飛び出すことなく、周囲の状況を探っている。


「あれ、クラッドさん……皆さんはもうスタートしてしまったようですよ……?」

どうして、すぐに行かずにこの場にとどまっているんですか?不思議に思った私は小首を傾げる。

先ほどまでは、あんなに『腕が鳴る』って言ってたのに……


クラッドさんは答える。

「こうゆうのは、開始直後が肝心だが、今回に言えば必ずしもそれは最善じゃない……なぜなら、情報が全くないからな。モンスターの情報。マップの情報……規模すべてが不鮮明だ。故に、俺たちは後ろを行く」

……先に言ったやつらの様子を見ながらな。


そう告げてから、森へと歩き出した。


――イニティウムの森へと行く道中、いろんな人が戦闘を開始していた。

中には見たこともないモンスターの姿も見える。

……まぁ、多くの人はスナールドッグとの戦闘を選んでいるようだったが。


クラッドさんはその様子を見ながら、以前のβテスト時の事を思い出しているのか……

何か考え事をしている様だった。

「あのモンスターはもっと攻略を進めないと出てこないモンスターだったはずだなぁ……」


そう言い放ったクラッドさんの視線の先には2体のモンスターがこちらを見据えていた。

一体は、爬虫類の蛇のようなモンスター。もう一体は空を浮遊しているやや小型の蝙蝠のようなモンスターだった。

私達が発見した方が先だった為、慌てず≪鑑定≫を行使する。


――まずは、空に居る蝙蝠へ行使。

『レインバッド』

雨の日を好み、外を飛行する少し変わった蝙蝠。

どんな大雨が降ったとしても、飛行し続けられるだけのエネルギーと翼の翼膜を持っている。

また、超音波だけでなく視力をも使って餌を探し飛び回る。……肉食で主に鼠などを捕食するが、過去の例にはスナールドッグなどを捕食している文献もみられている。



……説明文を見て一瞬だけたじろぐ。

蝙蝠が大雨の日でも飛ぶという事に、スナールドッグといった自分より大きい者をも捕食してしまう事実に。


同様は隠せないまま、蛇の見た目をしたモンスターにも鑑定を行使。

――『ロングスネーク』

一般的な毒をもつ蛇。

そのあごの力は強力であり一度喰らいついた相手には毒を注入し終えるまで死んでも離さないと言われている。


……なんというか、≪鑑定≫しない方がまだ冷静に戦えていた。

そんな気が沸々と沸いてくる。

絶対に接近したくない。そう思ってしまう。

……しーちゃんはそんなことないようで。

腰に携えた刀に手を当て、ロングスネークへと間合いを詰めていく。


正確な刀捌き。一刀のもとにロングスネークの首を斬る。

それでもHPは全損しなかったようですぐにしーちゃんに向けてロングスネークは飛びかかる。

その姿を見て、振り切った刀を返しロングスネークを地面へと叩きつける。

そして、追撃という風に、地面に倒れたロングスネークに二撃、三撃と攻撃を加え


「うん。やっぱりスナールドッグよりも単調というか……遅いね」

そう言いながら何度も首を縦に振るしーちゃんは……

『やっと私の見せ場が来た!! 』とでも言うようにドヤ顔を決めていた。


そんなしーちゃんを見た私は、頼もしいなぁ……とはにかむ。

クラッドさん達はその様子を見て、笑っていた。


……この時、陰ではクラッドさん達はよからぬたくらみ事をしていた事に私は気づかない。

そしてしーちゃんも、それに気づくことは無かった。


「その調子で、あの蝙蝠も頼むぜ」とクラッドさんが言う。

しーちゃんは、任された!とでもいう風に、胸を叩き蝙蝠にも攻撃を加えようとするが、超音波で察知をしたのか、紙一重で攻撃を避ける。


「あらあら……」

困ったようにシルヴィさんは笑い、風の魔法を使う。

「さて風の刃よ、切りなさい……」

その言葉を合図にレインバッドの周りに風のエアスライサーが複数展開される。

その攻撃に翼膜も耐え切れずに切れたのか……レインバッドは地に落ちるのだった。

「今よ……」軽くシルヴィさんはウィンクして答える。


「ん……ありがとうございます」

短くそう言ったしーちゃんは、レインバッドも撃破する。


一方で周囲の人は、イニティウムの森へと到着し始める人が出てきたようだ……

ステータス画面の告知欄にも【イニティウムの森到達者10人】と表示されていた。

「……これは、さっさと行った方がよかったかなぁ?初のイベントだっていうから少しだけ慎重になりすぎちまったかなぁ」 

クラッドさんがボソボソと呟いていた。



しばらくすると、初の戦闘での死者デスが出たのか、アナウンスが入る。

【イニティウムの森内部にて、イベント初の死者(デスが出ました。】

これが何を意味するのか全く分からないけど……

少なくても、進まないと何もわからない。

そう思い、森へとまた足を進める。


周りの森へと進んでいるプレイヤーがモンスターも倒しているからなのか。

そこからは比較的、戦闘は挟まずに森へとつくことができた。

だが、森へと一歩足を踏み入れると、飛んでくるのは怒号……

熱気を帯びた人たちの声。気合の入った声……

今まさに森の中で戦闘を挟んでいる人たちの声だろう。


クラッドさんはそれを聞いて

「俺も、高まってきたなぁ……と悪い顔を浮かべていた」

その顔をみて、シルヴィさんとここまで沈黙を貫いてきたフォルドさんはため息を一つして

「やめときなよ」とクラッドさんに注意を挟むのだった。


実際、しーちゃんもその声を聴いたからなのかどこかソワソワしていた。

「どうしたの?」そう訊ねると。

「はやく、いろんなモンスターと戦ってみたいなぁ!! って思ってたの!! 」

実に楽しそうな声で、しーちゃんは微笑んだ。


……こっちはこっちで、一種の戦闘狂バトルジャンキーなのかなぁ……としーちゃんをみて、ため息をこぼすのだった。


【イニティウムの森攻略戦】

……その題名通り、森の中にはモンスターがわんさかいる。

先ほど見たレインバッドやロングスネーク……これまでに見たスナールドッグやスライムも混じっている。


その敵の姿を見た瞬間。

「もう、我慢しちゃいられない!! 」

「……だよねぇ!! 奇遇だねクラッドさん!!」

叫びながら、クラッドさんとしーちゃんは肩を並べて走り出す。


シルヴィさんを見ると額に手を当てて「やめておけって言ったのに……」と頭を悩ませている様だった。

しかし、すぐに気持ちを切り替えたのか。

装備を杖に持ち替えて、詠唱を始める。

「クラッド……やるからには全部倒すのよ?わかった?? 」

……案外乗り気じゃない。そう思わずにはいられなかった。


フォルドさんは、そんなシルヴィさんの前に立ち盾を構える。

「ここより後ろには通さんよ……安心せい」

何故か、私の方を向いてフォルドさんは言うのだった。


……っていうか、私も一応前衛で戦える武器持ってるんだけどなぁ……

心ではそう思いながら、今回はどうしようかなぁ……と悩む。

(とりあえずは、フェーリとアイリスにお願いしないとね)


何かしらアクションをしないとさぼっている!! そういわれそうなので……

フェーリとアイリスを迎撃に当たらせる。


そして皆を見ると実に楽しそうにモンスターを各々の武器で魔法で倒していた。

だからなのか……? 考えることを次第にやめ、私は武器を手に持ち、気づけばしーちゃんとクラッドさんに続くように、戦闘を始める。

「……しーちゃん。私も混ぜてよね?」

そういう私の顔は確かに笑顔だったと。

戦闘を終えた後に、しーちゃんは言っていたが……


今の私はそんなことに気づきもせず、武器を振るうのだった。


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