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WFWの精霊召喚術師  作者: 栗花落
1章:初めてだらけの世界
15/18

14:βテストプレイヤー

PVユニーク4万言ってたらしいです。ありがたい限りです。

今回、しーちゃんはいるはずですが空気です。

それから、暑い夏時期です。皆様も体調変化には気を付けてくださいね……



――強靭なスナールドッグは弱く嘶き、その体を地面に落とした。

そして、恨めしそうにこちらを一度、睨み付け……その体を光へと消滅させた……


――その安堵からか、私は膝を崩し、浅く速い呼吸を繰り返していた。

まるで、遠くに聴こえる様に、ファンファーレがなり、自身のレベルが上昇したことを告げるが。

その、表示すら……今の私には見えていないのだった。


目前に迫った死亡デスの恐怖が頭を支配し……落ち着いた今だからこそ、より恐怖を感じ、体を震わせていた。


そんな私、抱きしめるかのようにしーちゃんが背中から手を回す。

そして、一言。「ごめんね……みーちゃん」

そう言ったのだった。

その声は、か細く、途切れ途切れで若干、嗚咽を含んでおり……いま、しーちゃんが涙目で、鳴きそうなのは声だけで感じることができた。


だからなのか……それとも暖かい感触に安堵したからなのだろうか?

いつの間にか、私の体の震えは止まっていた。

一度、目を閉じ……ゆっくり深呼吸をしてさらに気持ちを落ち着かせる。

そして、私の体へと回されている手へと手を重ね一言……

「んーん。ごめんね……は、私の方がだよ。」

焦って、攻撃を仕掛け逆に攻撃をもらってしまう。

それで、しーちゃんを、フェーリを、アイリスを……心配させてしまったことに対して、只申し訳なく思った。

そんな一言だった。


……ゆっくりと立ち上がり、しーちゃんの眼を見据える。

「ごめんね。次は、同じようなヘマはしないから。信じて」


そうして、見つめあう……


「全くしょうがないなぁ!! 今回だけだよ?」


少しだけ涙を貯めた目を拭い、しーちゃんは笑う。

その様子を見ていたフェーリは『全く、仕方ないご主人だよ』とでも言うように首を振り……私の肩に飛び乗ってきた。


そのフェーリの頭を軽く撫で……一言「フェーリも、ごめんね」そう言うと……フェーリは『本当だよ!!』とでもいうように、私を見つめ、『仕方ないなぁ』と言うように顔を私の頬に寄せてじゃれつく。


「……そろそろいいかな2人さん?」

ゆったりとした雰囲気にどう踏み込んだものか……そう考えていたかのように、クラッドさんは両手を組みながら、私達へと問いかける。


「……あっ!! わっ、わっ……大丈夫です!なんでしょうか?」

若干、援軍としてPTに参加してくれていた3人を忘れていた為、焦りながら声を紡ぐ。


クラッドさんは何かを考えながら真剣な表情で言葉を紡ぐ。

「まず、あんなスナールドッグは見たことないんだが?クエストかなんかを受注していたのかい?もしそうなら……その情報を教えてくれないか?」


「……クエスト?ですか……いえ、誰からもそんなものは受けていませんが……」


明らかにクラッドさん含め3人が驚愕する。

シルヴィさんが確認するように声を挟む。

「それじゃ……偶然遭遇したってでもいうの? 明らかにフィールドボスよりも強かったわよ!? 」

どう考えたって、特殊クエストでしょと言う風にシルヴィさんは顔をしかめる。


そして、そこに私が意図せず……爆弾発言をしてしまう。

「そもそも……クエストって何ですか?」

しーちゃんも、あっ、この娘言っちゃったという顔でこちらを見ている。


――辺りを数十秒、静寂が支配する。


「……えっと、ミアちゃん……?今なんて言ったのかな?」

シルヴィさんが、ちょっと怖い位の声で私に問いかける。


……あれ?? 私何かおかしい事言ったかな。

なぜか、周りの時間が止まっているような気がする。

「ですから……クエストって……ふえぇぇぇ!?」


何ですか……?もう一度、質問する前にシルヴィさんにほっぺをムニムニされる。

「ふぇ?? ……ふぁにふふんふぇふふぁ!?」


「いや、おかしなこと言うのはこの口かなぁ?と思ってねぇ」

にっこりと笑ったシルヴィさんは、これでもかと言う位私のほっぺをいじる。


クラッドさんと、しーちゃんがその様子を見て、同時に言葉を発する!!

「シルヴィその位にしとけって……どう見ても、怖い人にしか見えないぞ」

「そろそろ、やめてあげてくださいシルヴィさん……」


フォルドさんは、我関せずの様でこちらを見てはいるものの、口をはさむことはしなかった。


「もう、わかったわよ……で、ミアちゃんはクエストを知らないってことなのね……」

手を口に当ててシルヴィさんは考え始める。


「こんな、モンスターβテストにも出てこなかったな?」

クラッドさんも考え込む……


ん……? 今、クラッドさんはなんて言ったのかな?

……βテスト?? あれ……今βテストって言った??

「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」


確認するよりも速く、驚愕の声が上がっていた。


フォルドさんは若干、予測していたのか、やれやれといった様子でこちらへと歩いてくる。

「クラッド……考えてる事声にもれてっぞ、嬢ちゃんたちが驚いてんじゃねぇか。」


それから、確認するようにフォルドさんは私たちに問いかける。

「というか、名前を見てピンとこない辺り、嬢ちゃん達は新規組か……」


βテストしてれば、俺たちの名前を知らないはずがないからな……

そう、フォルドさんは告げる。


それから、フォルドさんは、クラッドさんとシルヴィさんに声をかけるも……

2人とも、自分の世界に入り込み……深く考え事に没入している為反応がないと嘆き……

考え事が終わるまで、俺たちの話をしてやると、木陰に案内し話を始める。


曰く、βテストプレイヤー時にプレイヤークラブ「GrowSeed」と言うクラブを立ち上げて、攻略の最先端で戦っていたらしい。

クラッドさんが、クラブリーダー。フォルドさんとシルヴィさんがサブリーダーのクラブだったとの事。

また、当時はそれぞれに通り名……ほかのゲームプレイヤーから呼ばれている通称があったほど強かったとの事。


若干自慢も入っているのだろうか?

それとも2人の反応がないからだろうか……

先ほどの寡黙な印象とは打って変わり饒舌になったフォルドさんは、通り名とその由来を教えてくれる。


「クラッドの奴は……『幻影』だったな。拳一つで戦っているにもかかわらず、敵の攻撃をまったく被弾しなくてな……よくチートだって言われてたぜ。 実際は敵の攻撃を予測しながら動いているだけらしいが。」

俺が見たってチートみたいなやつだぜアイツは……そう語るフォルドさんは笑顔だった。


「それから、シルヴィは……『魔女』だな。まぁ、当時、ほぼ全属性の魔法を使いながら戦ってた魔法馬鹿だ……本人は魔女って言われると、キレる(・・・)。まぁ、魔女って言ったら悪い奴だろっていうイメージが原因らしい」


シルヴィさんに魔女はNGワード……まぁ、言う事はないだろうけど覚えておいて損はない。

頭の片隅に置いておけとフォルドさんは苦笑いをする。


「そして……俺が『鉄壁』だな……まぁ当時も盾を使って盾役タンクを担っていてな……挑発スキルに防御上昇スキル……惹いては盾弾き(パリング)なんかしてたら、いつの間にかついてた名だな」

2人に比べれば多少地味だがな……


まぁ、でもこんな適当な奴らなんだけどな……と、フォルドさんは笑う。


それから、今の考えに至っているわけを話す。

「なんで、そんな情報を求めているのかと言うのは、2つあるんだ」。

急にまじめなトーンとなったフォルドさんが言う。一指し指を立てて。


「1つは、俺たちが立てていた『GrowSeed』というクラブに関連する。そもそもβテスト時に俺たちは正式サービスが始まったら攻略組で攻略をしながら、初心者育成もしようと考えたギルド名なんだ……。だからもしこれがクエストであれば、経験値や戦闘の練習になる。勿論俺たちも込みでだがな?PTで行けば、ある程度レベルが低くても、俺たちがカバーすればレベル上げになるだろう……という考えが一つ。」


さらに中指を立てて、説明を続ける。

「2つ、そもそも俺たちが知らないクエストがあるのが気になる……ただ、それだけだ!!」

ニカッと笑いフォルドさんは笑う。


丁度その頃に、シルヴィさんとクラッドさんも考えがまとまったのか、話に合流してくる。

「「そうゆうことだよ」」

……完璧なタイミングでハモりながら。


そしてクラッドさんは二言三言、シルヴィさんと相談をして私達に質問する。


「クエストを受けていないのはわかった。ただ、一つだけ気になることがある……なにかこのモンスター達が現れる前に……予兆だったりユーフェンスの街でNPCと話を挟んだりしていないかい?」


そう言われ考える……。

予兆……?そんなのあったっけ……と過去を振り返る。

ふと、脳裏に浮かぶのは以前異常なスナールドッグと戦闘をしている事とその後、ユーフェンスの街の門番、バーニャさんに話をした際……慌ただしく、冒険者ギルドへと報告しに行った事を思い出す。


……うーん……たぶん、これがそうなのかなぁ?

その時、しーちゃんはいなかったけど……たぶんそうだよね?


自分に言い聞かせるように、顔を頷き、私はクラッドさんたちに告げる。

「以前に……異常なスナールドッグと戦闘した後、ユーフェンスの街の、門番をしているバーニャさんに話をしたら……慌てて冒険者ギルドへと報告しに行ったっていう事があったんですが……」


……それだっ!! と電撃が走ったように、クラッドさんとシルヴィさんは目を見合わせる。

フォルドさんは、ただその状況を聞いて、不敵に笑っている。


「ミアちゃん、きっとそれが原因トリガーだわ……でも、クエストは発生していない……」

「つまり、これはまだ、トリガーでしかないって事だ!! 嘘みてぇだけど……それしかありえないよな」

2人が、言葉を交互に紡ぎながら、私に迫る。


うっ……ちょっと怖い……


その反応を見てなのか……フォルドさんは、二人の襟首をつかみ制止する。

「よく見ろ、2人とも……嬢ちゃんが怖がってるぞ」


冷静になった2人は……「すまん」、「ごめんなさい」と謝る。


隣にいたしーちゃんは、ポカーンと、放心した様にこちらを見ている。

なぜポカーンとしているのか……

……たぶん、空気になっているから……だよね?

……そうゆう事にしておこう。



「んと……じゃぁ、この後はユーフェンスの街に戻って、バーニャさんに今回の事を報告すればいいんですかね?」

とりあえずは一旦、街に戻ろうかなと、私は提案してみる。

「そうだなぁ……もし、ミアが良ければ俺たちも一緒していいかな……?」


助けてもらった事だし……むしろ、私としては好都合だった。

けど……しーちゃんも今回はいる為、一応確認をする。

「しーちゃんも……それでいいかな?」

けど……返事がない。

しーちゃんの体を叩き揺らし、もう一度確認する。

「ねぇ!! しーちゃんも……それでいいかな?」


ようやく、現実に戻ってきたのか……ギギギと、ぎこちない動きで、こちらに首を向ける。

そして一言。

「ウン……イイヨ」

――何故か、片言の言葉で声を発した。


その後も、しーちゃんはブツブツと何か呟いている。

「私空気。今回役に立ってない……空気」

みたいなことを言っているが……気にせずにおこう……うん……街に戻るまでには戻るよね……?


一応は、今後の予定を立てたことだしと自分自身で自己満足の答えを出し。

クラッドさんにお願いする。

「むしろ……こっちからお願いします!! もしクエストに発展したら、力を貸してください」

その答えに……クラッドさん、フォルドさん、シルヴィさんは『任せな』と胸を叩いた。


――そして、一段落したところで……私達はユーフェンスの街へと足を向けるのだった。

前話の魔法の詠唱ですが……ぶっちゃけ「必要はありません」

スキル選択してポチるだけです(通常は)

では、なぜ詠唱していたかはその内魔女が語ってくれ……(ゴゴゴゴゴゴ)


あと、ミアは雰囲気に乗せられただけです。

そして、今回表記していませんが……スナールドッグを倒したことでレベルアップした表記などは……次回以降に

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