表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
WFWの精霊召喚術師  作者: 栗花落
1章:初めてだらけの世界
14/18

13:援軍

大変遅くなりました。

PVユニーク3万突破してました。ありがとうございます

次回は土曜日日中の予定です。余裕があれば土曜日中に二話行けると思います。

――立っていた男性は、強靭なスナールドッグの攻撃を、持っていた盾で弾いた(パリング)ようだ。

それから、こちらに目を向け、サムズアップをして答える

「危ない所だったな!! 嬢ちゃん……大丈……夫ではなさそうだな。」

おい、回復してやれと、その男性は誰かに声をかける。


――前の景色が歪んで、うまく見えない私の体に包まれるような感触が生まれる。

「……大きな怪我、状態異常はないようね。なら、きっと軽い脳震盪のうしんとうね」

優しい声色が聴こえる。


「痛かったでしょう?今回復するわね……」


……詠唱に乗せて、私を抱きしめながら、その人は水属性の、回復魔法を行使した。


「水よ、彼の傷跡を覆い、癒したまえ……アクアヒール」


すり傷だらけの体を、ひんやりとした感覚が駆け巡る。

ぶれてうまく見えない視界も、焦点が定まったかのように、晴れて見えてきた。


「……あ」それでも先の衝撃は余程大きかったのか、まだうまく言葉を発せず、私を抱きしめている人へと視線を向けることが精一杯だった。

「まだ、動いちゃだめよ?あのデカ物なら私たちが引き受けるわ……」


その回復魔法が切れるころには、しーちゃんとフェーリは私の傍へと戻ってきていた。

しーちゃんは、女性と何やら話をしている。

そして、話が終わるとしーちゃんは静かに頷き、なにやらステータス画面をいじくっていた。


盾持ちの男性が、声を飛ばす。

「……まだかよっ!!意外とキッツイんですけどぉ!?」


「やれやれ、仕方ねぇなぁ……俺も、ちと加勢してくるわ。後の事よろしくシルヴィ。リーダー投げといたから」

もう一人、そう呼ばれた、女性の後ろから男性が肩を回し歩いていく。

シルヴィと呼ばれた女性はゆっくり笑いながらうなずく。

「安心して?この子の回復は今してるわ!! っていうか処理が終わったらそっちの加勢するから!」


(何の話?)そう思っているとしーちゃんが、『ごめんね!みーちゃん』と謝りながら今の話を説明してくれる。

簡単に言えば、一時的に今いるシルヴィさんのPTが私達のPTに入るってことだった。


……どうして?と思う前にしーちゃんはさらに詳しく説明してくれる。

「私たちが先に戦ってたのを横から手を出したら、ハイエナだろうからってさ。PT組んだなら同士だ……いいだろ?ってあの男の人がね」

しーちゃんは、今歩いて行った男性を見る。

そうして、苦笑いした後に、決定キーを押したのだろう。

PTに3名の名前が追加される。


「シルヴィさん……クラッドさん……フォルドさん……」

徐々に頭の靄も晴れてきており、言葉を正常に発せるようになってくる。


それをみたシルヴィさんは今一度、とアクアヒールを行使。

それから私に向って声をかけてくる。

「初めまして。ミアさん、私はシルヴィよ……いまは、まぁ後にしましょうか。勝手だけど今回は手助けさせてね?それと、あとで魔術師の戦い方ってのを教えてあげるから!!よく見ておいてね?」



「はい……」これが精一杯だった。本当はしーちゃんと私が!! と言いたかったけれど、私は倒れている。これが現実……なら今回は……いや、今回限りでと決意を胸にしながら体を起こす。


そして今、目の前で繰り広げられている戦いを、一瞬でも目を離すものか!と見る。

その様子を見たシルヴィさんは情報を追加する。

「それから、あの盾を持ってる方がフォルド、もってない方がクラッドよ覚えておいて損はないかも」

それはPTに入った2人の男性の名前だった。それから、シルヴィさんは、やや駆け足で2人の後を追っていった。



「おっまたせぇ~、では行くよー?」2人に追いついたシルヴィさんはやや弾んだ声で2人に問いかける。


「「おっせーんだよ」」男性二人の声が重なる。

「どうしたー?あの女の子に惚れちまったか?」クラッドさんが茶化すように言う。


「あら、それもいいわね……今後はあの二人とPT組もうかしら?面白そうだし?」あえて、挑発するように右手の人差し指を口に当て、ニヤリと笑いながらシルヴィさんは言う。


「ハハハ、冗談きっついなぁ!おれの負けだ、さー派手に行きますか!!フォルド頼むぜ?」

クラッドさんは肩をすくめながら指示を飛ばす。


「はぁ、まぁ任せろ……被弾しても文句は言うなよ?」

フォルドさんは盾を構えながら、強靭なスナールドッグを見据える。

そして盾スキルを行使した。


「お前の相手は俺だよ。さっこっち来いよ犬っころ!!」

敵の目標ヘイトの強制移動――挑発だった。


強靭なスナールドッグは唸り声をあげその鋭利な犬歯をフォルドさんに向ける。


眼がフォルドさんに向けられた……その瞬間を狙ってクラッドさんは駆ける。

そして、強靭なスナールドッグがクラッドさんに目を向けるよりも早く、クラッドさんはスナールドッグの首へと拳を叩き込む。スキルは……不使用。

そのまま軽業師のように。スナールドッグの体の上でステップを踏み飛び上がる--そして右足からの踵落としで追撃をする。


華麗に着地した、クラッドさんに鬱陶しいとばかりに、スナールドッグは首を横に薙ぐが、そこにはもうクラッドさんの姿は見えない。

代わりに、シルヴィさんの水属性魔法が着弾する。


「水よ、集え……悪しき魂を打ち払え アクアスピア」

槍状の水は、スナールドッグの首へと突き刺さる。そしてのけぞった所に再度クラッドさんが駆け込む。

「きっついの!いくぜっ!!」

拳を握ったまま、クラッドさんはスキルを発動する。


拳術:乱撃

右……左とクラッドさんは計6発渾身の力で強靭なスナールドッグを殴打する。

そして、すぐに後方へとバックステップを踏みながら戦線を離脱している。


……しーちゃんはこちらを見ながら「ちょっと私も混ざってくる。やっぱりあの人たちだけに任せてちゃいけないね……みーちゃんはもう少し休んでていいよ?」

そういい、剣を納刀し走り出していった。


その間に、私はせめてと再度≪鑑定≫を実行……

出てくるHP情報では、強靭なスナールドッグはHPを3割散らしていた。


「私も、まだちょっと動けそうにはないけど……支援しなくちゃ。」

おねがいフェーリ……スナールドッグを攪乱してあげて?お願いすると、私の顔を舐め、一礼してから、男性のいる方を向きかけていった。


「さて……それからもうひとつ。ごめんねアイリス……今呼ぶね」

風の精霊を呼ぶための、祝詞を口ずさむ。


「私を、世界を見守る空気かぜよ……今一度、私に力を」

声量はないけれど、けれど力強く凛とした声で、アイリスを呼び出す。

「マス……タ……ダイ……ジョ……ブ?」若干、呼び出されたアイリスは涙目だった。


「ごめんね、アイリス、気づかないうちに術が解けてたみたい。もう一度力を貸してくれる?」

アイリスは力強くうなずいた。


精霊術を使った私を見て、シルヴィさんは微笑む。

そして、「やっぱりミアちゃんって面白い子」こう、呟いたのだった。


……助太刀をしてくれている3人の力は偉大だった。

フォルドさんは挑発で敵のヘイトを取り、強靭なスナールドッグの攻撃を全て盾弾き(パリング)している。

その体制を崩した所を見逃さずクラッドさんもヒット&アウェイで攻撃を続けていた。

シルヴィさんは時折、どうしてもよけきれない攻撃でダメージを負ってしまったクラッドさんとフォルドさんを回復したり、敵へと罠を張ったりしている様子で、すこし憧れを抱いていた。


しーちゃんも、途中から参戦しクラッドさんにあわせる様に攻撃へと務めている。

スタイルもクラッドさんと同じ、ヒット&アウェイに切り替え……居合いを使っている。

フェーリも、攪乱してあげてと私が指示したが、フォルドさんが定期的に挑発を使いながらヘイトを管理しているため、心置きなく狐火と爪術を使いながら、縦横無尽に駆けまわっている。


そうしているうちに、段々と強靭なスナールドッグのHPが削れ、残り5割となる。


このころには、私もゆっくりと立ち上がれるようになってきたため、MPの残量を確認し……

シルヴィさんの少し近くまで歩いて移動する。

シルヴィさんは「あら、まだ休んでていいのよ?」と言う。

「大丈夫です。十分休みましたから……それに私もこのままじゃ終われませんから」

そう切り返すと、そうゆう所も私の好みだわぁ……と言いながら、スナールドッグへと攻撃魔法を使っていた。


それから、私も……とアイリスへと風魔法の指示をだす。

アイリスは頷いて、精霊言語を使った詠唱をし、エアスライスを強靭なスナールドッグの胴体へと散らす。


その姿をみて、にこりと笑いながら、シルヴィさんは声をかけてくる。

「少し、MP回復するから……選手交代ね」といいMPポーションを飲み始める。


「アイリス……きいた?今のうちに大きいの行くよ?」

と自身でパラシオンを行使。MPが25へと減る。

その後、アイリスへと精霊魔法(風)の行使をお願いする。強靭なスナールドッグを倒すという意志をもって。

アイリスは目線だけで頷いて詠唱を始める。

その間、クラッドさんとフォルドさん、しーちゃんはヒット&アウェイを繰り返していく。

拳、剣を交えながら確実に一太刀ずつ、スナールドッグへと傷を負わせていった。


そして、強靭なスナールドッグのHPが3割ごろになると……

スナールドッグの眼の色が変化、黒く赤く濁っていく。そして、大きな遠吠えに衝撃波が加わる。

接近していた3人その衝撃波に後方へと倒されてしまう……が、この瞬間を私は見逃さない。

「フェーリ!!今!狐火こいつの足を止めて!」

号令に、シルヴィさんは思わず目を見開く。

スナールドッグの頭上から現れたフェーリは、渾身の力で右足へと狐火を撒く。

攻撃後の硬直時間のせいか、スナールドッグは避けることはせずそのまま、体を地面へと倒す。


「ここ……!!」アイリスに指示を送る。

アイリスの精霊魔法(風)が完成し、発動する。

『アローワインド』放たれた2つの力強い風は、強靭なスナールドッグの喉と体を抉る。

それでも致命傷には届かないが、3割残っていたHPをそれだけで1割ほど削っていた。


シルヴィさんは「やるじゃない……じゃぁ、今度は私ね。とっておきよ?」

と、詠唱を始める。

「集え、火の御身……魔を焼き払う剣を、彼の身に突き立てろ!」

ふぅ……と息を吐き出し、術を行使する。

「フレイムタン!!」

強靭なスナールドッグのアギトを打ち抜く。

絶叫にも近い、唸り声が周囲へと響き渡る。


「私の現時点での最高魔法……どうよ?」

スナールドッグを地面へと縫い付け、フレイムタンは、燃え盛る――周囲の草花を燃やしながら。

スナールドッグのHPを散らしながら。


フレイムタンが消えるころには、スナールドッグも燃え尽きている。HPを数ドット残し。

「嘘……でしょ!? これを耐えるの……?」

驚愕の眼差しでスナールドッグを見つめるシルヴィさん」


まだ起き上がっていない3人を横目に見て、フェーリを探す。

……どうやら、フェーリも咆哮によって飛ばされている様でかろうじて立ち上がった……といったところだった。

――今、ここで動けるのは私だけ。

まだ……少しだけ、かすむ視界、ぼやける思考のままアイリスに指示を飛ばす。

「お願いアイリス……届かせて!!」

その言葉に強くうなずいたフェーリは精霊言語で詠唱を始める。

若干だけども……私にも紡いでいる言葉が聴こえてくる。

まだ理解はできないけども。ログポップには精霊言語のスキルレベルが3になったことを知らせる表示……(でも、今はそんな事いい……アイリスお願い!!)

ただ、もてる最後の一撃を……アイリスに祈りを込めて放つ……


アイリスが詠唱を完了する。

眼を見開き、スナールドッグを視界にしっかりと捉え、魔法を発射する……!

――エアスライス!!


スナールドッグが3人に攻撃するよりも一足早く、そのHPを削り飛ばす!!

……弱く鳴き声をあげ、強靭なスナールドッグはその体を地面へと落とした。


――その後姿を散らした、スナールドッグを見て安堵し、私は……また膝から崩れ落ちた。

今回の3人の詳しい話は次回へと回します。

もっと、場面をわかりやすく……していきたいので後々加筆するかもしれません。

精進いたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ