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WFWの精霊召喚術師  作者: 栗花落
1章:初めてだらけの世界
13/18

12:凶刃

ユニークPV2万5千人突破していました。この小説を読んで頂いている皆様。

いつも本当にありがとうございます。

――空気が一気に変わった。

先ほどまでは、ただ囲まれただけ……各個撃破で何とかなる、そう思っていた。

けど、それは……たった一体のモンスターによって思い違いだったと思わされる。


――『強靭なスナールドッグ』

もはや、別のモンスターなんじゃないかと見間違える位には、通常のスナールドッグとは姿形が変わっていた。

「……っ、どうしようどうしよう、どうしよう」幸い、聴こえてはいないようだが、また前と同じような場面にどうしても焦りは隠せず、呟くようではあるが、声に出てしまっていたようだ。


「大丈夫だよ。みーちゃん――何とかなるって」

いつの間にか、モンスターへと斬り込んでいた筈のしーちゃんが、横に戻ってきており私の頭へとポンッと手を置く。

「とりあえずは、周りにいるスナールドッグを倒しちゃおうか。正面のアイツは一旦無視!! 回避に徹しながらね」

弱い部分から叩く……戦術の基本の基本だよ!そうしーちゃんは言いながら、後方を取り囲んでいたスナールドッグを標的と定め、戦闘を仕掛けに走っていく。


後方のスナールドッグにはフェーリとアイリスもちょっかいをかけている。

そのせいもあるのか、さっきと比べると、HPを3~4割減らしたスナールドッグが忌々しそうに唸っていた。

(フェーリ……アイリスありがとう)

そう思いながら、今は前方のこちらの動向を探っているだけの『強靭なスナールドッグ』に背を向け、しーちゃんに続く。そのさい、もし動きがあれば、アイリスに迎撃してもらう様、指示を飛ばしておくことも忘れない。


走りながら、後方にはどのくらいの敵がいるのか、感覚だけでも知るために、気配察知を使う。

『気配察知のレベルが上がりました。』Lv1→Lv2

システム音が響く――丁度いいタイミング。戦闘時に少しずつでも、気配察知を使っておいてよかった……そう思いながら、以前の気配察知とどう変わったのかを、確認する。


Lv1では、本当にいるかな?程度だったが、レベルが上がったことから、明確に、そこにいるという事がわかるようになっていた。ただ何体いるかっていうのは、やはり曖昧なんだけどね……


まぁでも――この時ばかりは何体位いるでもいい。そう思いながらしーちゃんに伝える。

「しーちゃん!その右の林の中に数体……たぶん4,5体いるよ!」

次いで、支援術のアクセルをしーちゃんに発動MPが5減る。(25/30)


しーちゃんは「わかった!」と言いながら、林の中へと跳躍……着地と同時に、抜刀する。

どうやら、林のすぐ後ろに固まっていたようで「これなら大丈夫ー!残り宜しくね!みーちゃん」と余裕のある声で、返事が返ってくる。

それから、剣術を発動させたのであろう。ここからではしーちゃんの姿は見えないが、エフェクトの光がこちらに見えた。


「……んじゃぁ、フェーリ私たちは左の林に行くよ。こっちには多分6体位いると思うから、気を付けていこうね」そうフェーリに声をかける。

私のすぐ横にいるフェーリは「キュッ」と力強く鳴き、走り始めた。

続くように私も走り、林の中に飛び込む。一足先に林へと足を踏み入れたフェーリは中にいたスナールドッグを発見したのだろう。狐火を発動……1体のスナールドッグへと奇襲をかけていた。


一方で、空中で周囲のモンスターの動きを見ていたアイリスは、強靭なスナールドッグに動きが有った事をきっかけに、迎撃を始める。強靭なスナールドッグの足元に向けてエアスライスを一発放つ。

……が、あまり聞いているようには見えず、少しずつこちらに向かってくる。

それでもアイリスは、冷静さを欠くことはなく、パラシオンを私にかけ、エアスライスをもう一発放つ。(残MP10/30)

これにはダメージがあったようで、強靭なスナールドッグの足が止まる。そして、鬱陶しい!! そういわんばかりの双眸で、アイリスの事を見つめていた。


その様子を見たアイリスは、冷や汗を垂らしながら、空中にいる分を活かし……少しづつ高度を上げる。

ここまでは、飛んでこれないだろうという高さまで上がり、MP補給のためにミアへ向かってアクセルをかける。


ミアは自身に支援術がかかった瞬間にフェーリにこの場をいったん任せ、2,3度バックステップを挟んだのちにMPポーションを飲む。

(アイリスが、魔法を使ったってことは……正面のモンスターに動きがあったんだ。早く終わらせないとね。)MPが全快したところで、再度スナールドッグの群れに突入。棒術スキルを行使する。


「てやぁぁ!」棒術スキル:一凛花を使用。眼前のフェーリが狐火をお見舞いし、顔を左右に振って状況を呑み込めていないスナールドッグを強襲。その一撃でまずは一体目のスナールドッグが光へと消える。

そして、すぐに周囲の状況を確認……何体のスナールドッグがいるかを目で見る。

……ざっと見て、7体ぐらい周囲にスナールドッグがいたが、すぐに終わらせるよ。と心の中で思いながら私は、一軸を正面に構えた。


――フェーリは小さな体を高いAgiを活かしながら、隠遁術を絡めヒット&アウェイで戦っている。時折隙があれば狐火を周囲に巻いて、スナールドッグの動きも牽制している様だった。

それに続くように私もスナールドッグへと斬り込む。上から叩き切るように一軸を振るい……そのまま右側方へと、薙ぐ……ヒットはしているが、流石に多勢に無勢なのか。攻撃から漏れているスナールドッグがその爪を振るい攻撃を仕掛けてくる。


……初撃、二撃と打ち払いはするが、段々と対処が追い付かなくなり、その後の攻撃を捌き切れず……爪が私の体を裂いていく。かすり傷程度ではあるが、腕や頬や足と、傷を負った場所にヒリヒリする痛みを感じてきた。ダメージももちろんもらっており……HPは50削られている。(HP300/350)

――が、まだ余裕のあるHPを見て、まだいける!と思っている私は後ろに後退することはなく、フェーリに再度攻撃指示を飛ばし……一軸を正面に構え走る。


フェーリの『爪術:一閃』によって、2体目のスナールドッグが消滅。残り6体となる。

そのタイミングでアイリスから再度アクセルがかかる。

今のまま、もう少しスナールドッグの数を減らしたい……この一瞬を無駄にしたくない。

そう思い、走ったままMPポーションを飲みMPを回復させる。


眼前には先ほどの狐火によって行動を制限されているスナールドッグが3体。こちらに獰猛な目は向けている。それを気にすることなく、私は棒術:円線棍を発動させ……3体を消滅させる。

(これで……残り3体)


油断することなく、残っているスナールドッグを見据える。

しーちゃんの方が、一足早く戦闘を終えたのか……こちらに走ってくる姿が見える。


その間に、私に3度目のアクセルが付与される。

MPポーションをまた飲み、しーちゃんに聴こえる様にお願いをする。

「もう少し、あと少しでこっちも終わるから!だから、強靭なスナールドッグの足止めをお願いできる?」


「わかった、無理しない程度で牽制しておくから……早く来てね!みーちゃん」

そのまま、足を止めることなく、しーちゃんは強靭なスナールドッグのいる方へと走っていく。


「さて、フェーリ……すぐにでも終わらせるよ!」

そう言い、残り3体のスナールドッグへと向かい疾走……一体のスナールドッグはフェーリの狐火によって消滅。もう2体は、私の棒術で消滅し……すべてのスナールドッグを消滅させた。


「さて……それじゃぁ私達もしーちゃんたちに続こうか」フェーリは短く鳴き答えるのだった。



強靭なスナールドッグは結果から言えば、最初に居た位置からあまり動いていなかった。

HPゲージは削れてはいない物の……異様なスナールドッグは数を2体減らし、残り一体となっていた。

アイリスは少し疲れているのか、私の姿を見ると私の頭の上に乗り……そしてため息をこぼした。

「ごめんね。アイリス、無理させちゃったね」そういうと、アイリスは首を左右に振りながら「マダ……ダイ……ジョ……ブ」と答えるのだった。


「あと2体か……いけるね……たぶん」しーちゃんは、そう言いスナールドッグへと攻撃を仕掛けに行く。

フェーリにはしーちゃんの援護をお願いする。前のもみくちゃにされたのが余程気に障っているのか……一瞬嫌な顔を見せるが、両手を合わせてお願い!! と懇願することで「キュッ」と頷き……何とか援護へと走り出してくれた。


私は、HPが少し減っているので、HPポーションを飲みHPを全回復させておく(350/350)


とりあえず、大きいの一回お見舞いしておこうかアイリス……と、お願いをする。

「パラシオン」小さく答え支援術を発動……

そして、「精霊魔法お願いね!!」そうアイリスに指示を出す。


アイリスは頷き……頭の上に立ち上がり、精霊魔法を行使する。

『アローワインド』

鋭い風が2発分アイリスの周囲に生成される。こないだは、そのまま放って私を助けてくれたが、今回はそのまま風を待機させ……アイリスは目を瞑り短く言葉を紡ぐ。

その言葉を号令に風の矢が発射される。一発は残っている異様なスナールドッグに……もう一発は強靭なスナールドッグに。MPポーションを飲みながらその様子を見守る。


……結果的に、この魔法・・・・の行使は失敗だった。それに、気づいた時にはもう遅いのだが。


異様なスナールドッグは風の矢が着弾した瞬間ものすごい勢いで吹き飛び……その姿を消滅させる。

強靭なスナールドッグは着弾した瞬間、のけぞりはしたものの……その体制を崩すことはない。


そして、この時、強靭なスナールドッグの標的ヘイトはミアに定まる。

当然……ミアは気づかない。

――MPが全快したところでもう一度アイリスに魔法の行使を指示。

その姿を見た強靭なスナールドッグは、大きく遠吠えをし『撃たせるか』そんな様子で突進してくる。


その場所には私がいるため、回避行動をとり……なんとか回避し距離を取ろうと後ろにステップを踏もうとした――瞬間、強靭なスナールドッグはそのまま回転……「みーちゃん!?」その言葉が届くよりも速く、大きな尻尾が私の体を吹き飛ばした。


――車が衝突したときのような、鈍い音をたて私の体は宙に浮く。「……えっ?」そう声に出した時には私は、木に激突……肺に溜まった空気をすべて吐き出してしまい口をパクパクさせ、崩れ落ちる。

……けど意識だけは手放さない。くらくらする頭を押さえながら、HPを確認する。

『HP40/350』危険域レッドゾーンを越えたことによって、危険を知らせるアラートが頭の中で鳴っていた。

……焦るな焦るな……そう冷静に考える。

とりあえず、早く回復しないと……回復薬を出そうと立ち上がり……そのまま前へと倒れてしまった。

「あれ……おかしいな。」うまく動かない体に、思わず戦闘中という事を忘れ平然と言葉を紡ぐ。

激突したときに、頭を強く打ったのか……次第に視界もぶれてくる。

(あ……やばい)


目の前にいる強靭なスナールドッグのヘイトは依然としてミアにあるため、しーちゃんにヘイトを移す……なんてことはなく、私を確実に倒すために、止めを刺そうと走ってくる。


しーちゃんは、その姿を見てすごく焦ったのだろう。

「みーちゃん!!」悲痛な叫び声が聞こえる。精霊術はさっきの気に激突してしまった時に、無意識に解除してしまったのか……アイリスの姿はどこを探しても見当たらない。

フェーリも走りながら、狐火を飛ばしてはいるものの、しーちゃんよりも先に進んでいた為、攻撃は届かず。


強靭なスナールドッグは、名前の通り……その鋭利な牙を剝き、その凶刃を私へと突き立てようとする。

(あぁ、はじめての死亡デスかー。痛いのは嫌だなぁ……)

周囲の状況から、避けられないことは明確だった為、せめて……と目を瞑る。


「ガアァァァ!」その大声に……思わずギュッとより強く目を瞑る。

そして……その衝撃は数十秒たとうが私に届くことはなく。

「あれ……?」思わず素っ頓狂な声をあげ、目に涙を浮かべながら目の前を見る。


――そこには、大きな盾を持った男性が一人……立っていた。


次回の予告!!

盾を持った男性「大丈夫か?お嬢ちゃん」

???「間一髪だったなぁ……さて、お嬢ちゃんに提案がある!俺たちを一時的にPTへと入れてくれ。そしたら、ほら……別に、アイツは倒してしまっても――問題なかろう?」

≪フラグ≫

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